Managemant Eye

「食」を通じた「風景」をつくりたい

「日本の『食』を未来へのソリューションとして発信」

カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役 楠本修二郎氏
カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役
楠本修二郎

リレー形式で展開しているこの企画ですが、今回はロート製薬株式会社の代表取締役会長 山田邦雄氏からバトンが渡されました。

山田さんとのご縁は、東日本大震災が一つのきっかけでした。「食から日本復興を目指そう!」と仲間と立ち上げた一般社団法人「東の食の会」や、「東京から、ラブレターを。」を合言葉に全国の生産者に感謝と尊敬の気持ちを伝える収穫祭「TOKYO HARVEST(東京ハーヴェスト)」などにも大変共感をいただき、サポートしていただいています。また、ロート製薬は「食」事業にも挑戦されていますが、昨年8月にはお互いの強みを生かして「食」を通じた健康的な生活に貢献しようと、資本業務提携しました。

社名となっている「カフェ」は、「CAFE = Community Access For Everyone」に由来しているそうですね。どんな思いで起業されたのでしょう。

2001年の創業以来、「CAFE」、つまり「食を通じたコミュニティの創造」を企業理念として、「WIRED CAFE(ワイアード・カフェ)」をはじめとする路面や商業施設内の飲食店、サービスエリア、ホテルなど、日本国内外に100店舗以上を企画・運営してきました。

そもそも、僕は「風景」をつくりたかったんです。学生時代を振り返ると、たむろしていた喫茶店でそこに集う人やそこで触れた音楽などが記憶の中に風景として存在していることに気づきます。人は、そんなさまざまな風景をシェアしながら、人生を紡いでいるともいえます。また、カフェというリアルな場にはコミュニケーションや情報伝達などのメディア機能も期待できる。そこに魅力を感じたことが起業の理由です。

社員とはどんなコミュニケーションをとっているのでしょうか。

カフェは、すごくマルチな場所。「縁側」であり、リビングであり、ダイニングやキッチンであり、ワーキングスペースであっていい。それはある意味、街の「余白」でもありますよね。だからこそ、当社にはマニュアルがありません。その街の「余白」をどう生かすのか、社員一人ひとりが自ら考え、企画・運営をするコミュニティプロデューサーを目指して欲しいと、日々、会話をしています。現在、約50ブランド・80店舗ほどを展開していますが、僕の中ではマルチブランド戦略の発想ではなく、それぞれの地域に合ったカフェを創ることで、コミュニティが醸成され、それを基点にソーシャルインパクトを生み出していきたいというミッションドリブンで創っているんです。時代が変わると求められるコミュニティの在り方が変わるように、風景をつくる僕ら自身も変わらなければならない。どう変わっていくべきなのか、僕自身も常に問い続けています。

今後、日本の「食」はどのように変化していくのでしょうか。

人口減少社会である日本は、世界に対してどのようにイニシアチブを取り、社会課題解決に対してどう貢献できるのか。コロナ禍が収束した後に行きたい国ランキングでも日本はトップクラスで、その目的の多くが「食」にあります。また、日本の食産業全体の市場規模も117兆円を誇るのです。産業全体がワンチームになり、ファッションやエンターテインメントなど他産業とも連携を図ることで、日本の強みである「おいしい」を生かして未来を創っていきたいと考えています。

現在は、日本の「食」の中でも「発酵」と「鮮度」に注目して新たな事業も推進しています。今年7月に発酵フーズという会社を立ち上げ、「発酵」をテーマにした新ブランドの店舗のオープンを予定しています。また、「鮮度」についても、近々、日本の「おいしい」を最大限に生かして世界にも発信できるような革新的な技術の発表を予定しています。日本の「食」の素晴らしさが資産になるよう、僕もしっかり貢献していきたいと思います。

ヒト・モノ・コトが出会う場所「WIRED CAFE」
「つながり」をテーマに、ヒト・モノ・コトが出会う場所「WIRED CAFE」。カフェを通じて多様なライフスタイルコンテンツを発信している。
「Disney HARVEST MARKET By CAFE COMPANY」
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社とのライセンス契約に基づき運営する、カフェとギフトショップを併設した「Disney HARVEST MARKET By CAFE COMPANY」。