ファッションを再定義する新時代のセレクトショップ
| 取材先 (社名50音順) |
株式会社アイディーランドカンパニー | 「1LDK」 PR担当 | 吉池 優氏 |
|---|---|---|---|
| 株式会社TOKYO BASE | 「THE TOKYO」メンズディレクター | 中根大樹氏 | |
| 「THE TOKYO」ウイメンズディレクター | 澤之井頌子氏 | ||
| 株式会社阪急阪神百貨店 | モードファッション商品統括部 モード商品部 モード戦略自前売場MD担当 | 芝崎慶子氏 | |
| 株式会社ユナイテッドアローズ | 「ユナイテッドアローズ」メンズファッションディレクター | 内山省治氏 | |
| INTERVIEW | 株式会社ビームス | 代表取締役社長 | 設楽 洋氏 |
| 取材先(社名50音順) | ||
| 株式会社アイディーランドカンパニー | 「1LDK」 PR担当 | 吉池 優氏 |
|---|---|---|
| 株式会社TOKYO BASE | 「THE TOKYO」メンズディレクター | 中根大樹氏 |
| 「THE TOKYO」ウイメンズディレクター | 澤之井頌子氏 | |
| 株式会社阪急阪神百貨店 | モードファッション商品統括部 モード商品部 モード戦略自前売場MD担当 | 芝崎慶子氏 |
| 株式会社ユナイテッドアローズ | 「ユナイテッドアローズ」メンズファッションディレクター | 内山省治氏 |
| INTERVIEW | ||
| 株式会社ビームス | 代表取締役社長 | 設楽 洋氏 |
1955年に東京・有楽町で「サンモトヤマ」が創業し、その後1970年代に「シップス(SHIPS)」、「ビームス(BEAMS)」が開業したことで市民権を得たセレクトショップ。ファッショントレンドを敏感に察知する“目利き力”を生かし、時代を編集することで消費者に価値を提供してきたセレクトショップだが、SNSが普及し、ECサイトで洋服が容易に買える時代において、「セレクト」や「編集」は専売特許ではなくなりつつある。その役割が改めて問い直されている今、セレクトショップを運営する各社は、新業態の開発や新たなコミュニケーションチャネルの開拓などに取り組んでいる。本号では、新時代を見据えてさまざまなチャレンジを行う各社への取材を通して、これからのセレクトショップ像を探る。
顧客一人ひとりにスペシャルな商品や体験を提供
変化する「セレクト」、「編集」の在り方
「セレクト」、「編集」という行為には、性質の異なるさまざまなものを選び、つなぎ合わせることによって、新しい価値を生み出す力がある。1970年代以降のファッション業界において、まさにこの「セレクト」、「編集」の力で新たな価値を提供し続けてきたのがセレクトショップだ。
セレクトショップ御三家の一つとして業界を牽引してきた株式会社ユナイテッドアローズの「ユナイテッドアローズ」メンズファッションディレクター 内山省治氏は、「当社は創業時より、さまざまなファッションをカテゴリーに捉われず同じ視点で見てきた。社会の潮流やライフスタイルなどに鑑みた上で、さまざまな衣服をフラットな目線で捉え、時代の変化に対応したスタイリングを提案することでお客様にご満足いただけるように心がけてきた」と語る。「生活文化のスタンダードの創造」を掲げ、「食」、「住」と並ぶ生活の3大要素である「衣」が時代に果たす役割を常に意識してきたという同社は、コロナ禍以降の衣服の在り方を見つめ、ファッションが持つ力の最大化を図っていく構えだ。
インターネットやSNSの発達により、膨大な情報にアクセスでき、さまざまなモノをオンラインで購入できるようになった現代は、誰もが「編集者」や「バイヤー」になれる時代ともいえる。株式会社阪急阪神百貨店で自主編集売り場のバイイングやMDを担当してきたモードファッション商品統括部の芝崎慶子氏は、「コロナ禍でオンライン消費が加速したこともあり、店頭に商品を並べるだけでは売れない時代になっている。ブランド側が伝えたいことを深掘りした上で、商品の背景まで伝えるコミュニケーションを考えていくことが不可欠」と語り、「食」をはじめ異分野とのコラボレーションを通じて来店者の五感を刺激しながら、ブランドの世界観を深く伝える売り場づくりに力を入れている。
そこにしかない商品や体験を提供
「セレクト」による差別化が難しくなる中、そこでしか買えない旬のブランドの別注品やオリジナル商品の重要性が年々高まっている。ベーシックで上質なスタイルが支持されている「1LDK(ワンエルディーケー)」では、人気ブランドの別注品や上質なオリジナルブランドが若い世代からも好評だ。「ファストファッション全盛の時代を生きてきた20歳代のお客様に訴求していくためにもハウスブランドを強化していく必要がある。それを入口に当社のスタイルを好きになっていただき、たとえ同じブランドの商品でも『1LDK』で買いたいと思われる流れをつくりたい」と語る、株式会社アイディーランドカンパニーで「1LDK」のPRを担当する吉池 優氏。オリジナルブランドは、「ファッション離れ」が危惧される若者世代とセレクトショップをつなぐ役割も果たしているようだ。
新たな顧客層の開拓が課題になる中、日本ブランドに特化した「ステュディオス(STUDIOUS)」を運営してきた株式会社TOKYO BASEは、大人世代に向けたセレクト型コミュニティストア「ザ トウキョウ(THE TOKYO)」を2021年にオープンさせた。会員顧客限定のサービス提供などに力を入れるウイメンズディレクターの澤之井頌子氏は、「コレクションピースなど挑戦的なデザインの商品は本来売りにくいものだが、お客様の顔が見えている私たちは特定の顧客を想定して仕入れられる。こうした提案がしっかりできることによってブランド側との信頼関係も深まっている」と語り、顔が見える関係性の中でつくり手、売り手、買い手のトライアングルをつなぐことから新たなビジネスの構築を図っている。
「個」を軸としたコミュニケーション
阪急阪神百貨店の芝崎氏が、「実店舗での購買をコミュニケーションのカギとしたときに、その前後でいかにお客様とつながれるかが重要です。単発ではなく、ストーリーを組んで長期的に複数のコト・モノを仕込むMD施策と、LINEなどの顧客施策の両軸でつながり続けるための方法を模索している」と語るように、オンライン・オフラインを問わず顧客と継続的な関係性を構築していくことが今後のポイントになるだろう。こうした関係性を築くにあたって各社が口を揃えるのは、スタッフの個性を軸に据えたコミュニケーションの重要性だ。「1LDK」の吉池氏は、「多様性が尊重される時代において、店舗のスタイルを押し売りするだけでは通用しない。コロナ禍を通じて生活様式が大きく変化し、ますます多様化している今、お客様のことを第一に考えて動ける店頭のスタッフたちがより個性を発揮できる施策を打ちたい」と力を込める。
「ザ トウキョウ」を担当するTOKYO BASEのメンズディレクター 中根大樹氏が、「もはやすべての商品をバイヤーが仕入れる時代ではない。『ザ トウキョウ』ではバイヤーよりもお客様一人ひとりのことをよくわかっている店長も買い付けを行っている」と話すように、「個」を重視する流れは販売のみならず、商品の調達にまで広がっている。
ユナイテッドアローズの内山氏は、「近年、業界全体に『別注』というワードがあふれているが、別注品に限らず、お客様に長くご愛用いただける価値あるものを提供してきた自負がある当社は、すべてがスペシャルな一品であるという考えに改めて立ち返る必要がある」と語る。最新のファッショントレンドをキャッチするだけではなく、顧客一人ひとりにスペシャルな商品や体験を提供していくことが、これからのセレクトショップに問われる「目利き力」なのかもしれない。
