ファッションを再定義する新時代のセレクトショップ
CASE❷ 株式会社TOKYO BASE
顧客との関係を強化するセレクト型コミュニティストア
日本ブランドを発信するセレクトショップや、メイドインジャパンにこだわるブランド展開で事業を成長させてきた株式会社TOKYO BASEが、2021年9月に新業態店舗「ザ トウキョウ(THE TOKYO)」を東京・丸の内にオープンした。ファッションを愉しむ大人へ向けたセレクト型コミュニティストアとして、セレクトショップの未来を示唆する取り組みについて二人のディレクターに話を聞いた。

中根大樹氏
株式会社TOKYO BASE 「THE TOKYO」メンズディレクター
澤之井頌子氏
「THE TOKYO」ウィメンズディレクター
大人に向けた新たなセレクトショップ
「日本発を世界へ」を掲げるTOKYO BASEでは、一貫して日本人デザイナーのブランドや日本製のモノづくりにこだわってきました。開業からすでに15年を超える「ステュディオス(STUDIOUS)」に加えて、主に30歳代から50歳代のお客様のためのセレクトショップとして、「ザ トウキョウ」の1号店を丸の内にオープンさせました。
取り扱うブランドは「ステュディオス」と重なる部分もありますが、大人向けのラグジュアリーなアイテムなど買い付けるアイテムは大きく異なります。また、日本人クリエイターとのプロジェクト「ザ パーマネント アイ(THE PERMANENT EYE)」では、日本人クリエイターの感性と当社が培ってきた日本の生産背景を生かし、エレガントで買いやすい価格帯のリアルクローズを展開しています。
顧客にパーソナライズした接客を
現在、丸の内、六本木、表参道に展開している「ザ トウキョウ」では、全店にラウンジスペースを設けています。ご予約の上でご来店されるお客様に対しては、事前に伺っているニーズをもとに、そのお客様のためにご用意した商品をラウンジでゆっくりお選びいただいています。こうした接客を通じてお客様のお好みなどをより深く知ることができるため、各店の店長がブランドの展示会に足を運んだ際に、特定のお客様のために商品を買い付けることもあります。
現在、売上高のおよそ半分はこうした常連のお客様によるものですが、新規のお客様開拓のため、別注の仕入を強化していきます。また、お客様の信頼を獲得するには、ご希望のコーディネートを提案することが重要であるため、スタッフがスタイリングしやすいように同一ブランドのアイテムを同じ時期に全型仕入れるなどの工夫もしています。
情報発信の速度と濃度を高める
欲しいブランドの洋服をECサイトで簡単に買える時代において、特別感のある商品やそこでしか買えないものがあることが非常に重要になります。ブランドと消費者の距離がどんどん近づいている中で、セレクトショップを運営する当社には、情報発信・情報伝達の速度と濃度がこれまで以上に求められており、バイヤーはブランド側とのコミュニケーションをより深めていく必要があります。一方、エンドユーザーに情報を伝える販売スタッフに関しては、単に洋服の知識があるだけではなく、お客様に対する気遣いや振る舞いはもちろんのこと、洋服以外の情報もご提供できるような豊かな人間性や個性を磨いていくことが求められてくるはずです。
「ザ トウキョウ」では、9月23日より阪急百貨店と協業した、「H THE TOKYO」がオープンしました。今後は当社の接客サービスを通して、百貨店の顧客の方々に日本のブランドを発信していくという取り組みを国内外に広げていけたらと考えています。


