特別な購買体験を提供するパーソナルオーダーの新潮流
CASE❸ 株式会社ジョイックスコーポレーション
世界に一着だけのスーツがつくれる人気ブランドのパターンオーダーサービス
2019年10月にPaul Smith(ポール・スミス)大阪店でスタートした「Paul Smith」の「Made to Measure(メイド トゥー メジャー)」は、スーツのパターンオーダーサービスだ。厳選した生地や遊び心あふれるプリント柄を含めた裏地、ラペルやボタン、ステッチなどを豊富なバリエーションから選択でき、世界に一着だけのスーツを仕立てられる同サービスについて、担当者に聞いた。

笠原徹也氏
株式会社ジョイックスコーポレーション 第1事業部 商品企画1部 企画1課 課長
日本独自のパターンオーダー
当社は、昨今のカジュアル化の中でも、付加価値のあるスーツの選択肢を提案するとともに、お客様との新しいコミュニケーションチャネルをつくることに注力してきました。その一つとして、2019年10月のPaul Smith大阪店オープンを機に、「Made to Measure」の日本におけるサービスを開始しました。
体型に合うスーツを自分好みにカスタマイズする感覚で、個性を加えることができるパターンオーダーサービスですが、日本独自のオプションとして今秋冬シーズンからは銀座、丸の内、大阪の旗艦店でジャケットとコートの「Made to Measure」を本格的にスタートさせました。現在は、銀座、丸の内、大阪の旗艦店を軸に6店舗で常設し、その他、期間限定で全国の店舗を巡回しています。
Paul Smithらしい豊富なバリエーション
お客様の中心層はスーツにこだわりを持つ40歳代から60歳代ですが、成人式や結納返しなどに合わせてご利用いただく20歳代~30歳代のお客様も増えています。既存のお客様が次のステップとしてオーダースーツに挑戦されるケースが多く、毎シーズンオーダーされるリピーターの方もいらっしゃいます。
英国やイタリア有数のメーカーから厳選した100種類を超える生地をご用意し、シーズンごとに新たなアートワークがリリースされるなど多彩なプリント裏地、ラペルやボタン、配色ステッチなどディテールのバリエーションが豊富なことが特徴で、世界に一着だけの「Paul Smith」のスーツをつくることができ、それがサービス独自の強みになっています。
また、既製服の販売以上にスーツに関する知識が重要になるため、スタッフの勉強会を定期的に行うなど、1時間半から2時間に及ぶ接客の時間をお客様に安心して過ごしていただけるように心がけています。サービスを運営することが結果的にスタッフの育成になるだけでなく、スタッフのモチベーションも高まっていると実感しています。
オーダーの傾向を既製服にも活用
オーダースーツとしては後発となるため、新規顧客の開拓が今後の課題ですが、プロモーション施策などを通じて認知度は高まりつつあり、今後はECでのサービス展開なども視野に入れています。
「Made to Measure」は完全受注生産のため、在庫などの無駄をつくらないという点においても非常に重要なサービスです。また、オーダーのデータが蓄積されることによってお客様の好みの傾向などが見えてくるため、既製服の生地選びなどにもこれらのデータを反映していくつもりです。今後は既製服と「Made to Measure」の2つを軸に、「Paul Smithといえばスーツ」という認知をさらに広げていきたいと思います。

