“持たざる消費”に呼応するサブスクリプションの新潮流
CASE❷ 株式会社Sanu
コロナ禍による「自然回帰」のニーズを捉えた都市生活者向けの月額制セカンドハウス
「Live with nature.」を謳うライフスタイルブランド「SANU(サヌ)」が展開するサービスとして、2021年春にスタートした「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」。自然の中にもう一つの家があるライフスタイルを月額5.5万円から提供することを掲げ、山中湖や北軽井沢など都心からアクセスしやすい7つの拠点に計50棟の宿泊拠点を展開。ウェイティング登録者が多数控えるなど大きな話題となっている。

柴田菜々子氏
株式会社Sanu 広報担当
自然の中で「生活者」として過ごす
「SANU」は、都内を中心に話題のホステルやホテルをプロデュースしてきた本間貴裕と、大手コンサルティング会社を経て、ラグビーW杯日本大会の運営に参画した福島 弦が2019年に設立しました。
自然の中で遊ぶことが大好きな二人が、「自然と共に生きるライフスタイル」を提案するサービスとして始めた「SANU 2nd home」は、都市生活者に向けたセカンドホームのサブスクリプションサービスです。都心で暮らす人たちは都市の刺激に魅力を感じていることが多いのですが、コロナ禍で自然回帰の動きが強まり、移住や別荘など地方で暮らすニーズも高まっています。しかし、別荘は維持管理費など高額なコストがかかるため、簡単に手が届くものではありません。また、ホテルや旅館のように「消費者」として非日常的な体験を享受するのではなく、あくまでも「生活者」として美しい自然に通い、暮らしを営むことが「自然と共に生きるライフスタイル」につながるという思いから、別荘でもホテルでもない「第3の選択肢」として当サービスを立ち上げました。
安心をもたらす共通のユーザー体験
会員は初期費用ゼロで都心から2、3時間の距離にある自然豊かな第2の家を利用でき、登録、決済、チェックイン・アウトまですべてモバイルで完結します。主なユーザーは共働きのカップルや夫婦、若いファミリー層で、経営者やクリエイティブ層の利用も見られます。週末は家族で過ごされる方が多い一方、平日はワーケーションなどさまざまなシーンでお使いいただいています。
宿泊棟の「SANU CABIN(サヌ キャビン)」は自然環境に最大限配慮した建築で、デザインや仕様、ベッドやキッチン、コンセントの位置まですべて共通です。窓から見える景色以外を統一することで、四季折々の美しい自然に触れながら、自分の家に帰ってきた感覚でストレスなく生活していただけるように配慮しています。
会員とともにサービスを育てる
定期的に行うヒアリングやアンケート、宿泊レビューなどをもとに施設の改善を続けており、会員の声を受けて仲間や家族のためにもう1棟予約できる「One more Cabin(ワンモア キャビン)」や、愛犬と共に過ごせる「SANU CABIN - Dog Friendly(ドッグ フレンドリー)」、バレルサウナを併設した「SANU CABIN with Sauna(ウィズ サウナ)」などの新サービスも導入しました。都心部で開催する会員向けのイベントや、会員やそのご家族と現地の方が交流できる機会などを積極的に設けており、会員の皆様と共にサービスをつくっていることが、「SANU」ならではの特徴だと思います。
今後は独立型のプライベート空間である「SANU CABIN」に加えて、ラウンジカフェなどの施設を持つ連棟型の「SANU Apartment(サヌ アパートメント)」を導入予定です。ポストコロナ時代を見据え、多くの人が集い、緩やかにつながることができる場もつくりながら、2024年には関東近郊を中心に20拠点200棟の運営体制を実現し、その後は全国や海外への展開も視野に入れています。


