攻めの「変革」に挑み続ける一年に
| [スペシャル対談] | [インタビュー]伊藤忠商事株式会社 | ||
| IT企業役員/お笑いタレント | 厚切りジェイソン氏 | ファッションアパレル部門長 | 中西英雄 |
|---|---|---|---|
| 伊藤忠商事株式会社 常務執行役員 繊維カンパニー プレジデント | 諸藤雅浩 | 執行役員 ブランドマーケティング部門長 | 武内秀人 |
新年あけましておめでとうございます。2022年も新型コロナウイルスの影響は受けましたが、国内市況の回復に伴いファッション業界も回復基調にあります。第一部のスペシャル対談では、IT企業役員でお笑いタレントとしてもご活躍中の厚切りジェイソン氏をお招きし、伊藤忠商事の諸藤雅浩常務執行役員 繊維カンパニー プレジデントが、ユニークな仕事論やファッションポリシーについてうかがいました。第二部のインタビューでは、繊維カンパニーの2つの部門の今後の方針などについて部門長に取材しました。
厚切りジェイソン氏 × 諸藤雅浩価値あるモノを長く大切に使うサステナブルな暮らし
厚切りジェイソン氏
IT企業役員/お笑いタレント
1986年アメリカ・ミシガン州生まれ。17歳でミシガン州立大学に飛び級で入学。卒業後、イリノイ大学大学院に進み、修士課程を修了。GEヘルスケア社を経て2011年に米国IT企業の日本法人設立のために来日、現在もIT企業の役員を務める。2014年にはお笑いタレントとしてデビューし、最近はドラマや映画などにも出演。また、独自の節約術などお金に対する考え方が好評を得るなど、多方面で活躍している。NHK-Eテレ「えいごであそぼ with Orton」、「Why⁉プログラミング」、NHK WORLD-JAPAN「Japan's Top Inventions」にレギュラー出演中。
やりたいことがあれば無理だとか難しいとか決めつけずまずはやってみることです (ジェイソン)
諸藤雅浩
伊藤忠商事株式会社 常務執行役員 繊維カンパニー プレジデント
1960年生まれ。1983年に慶應義塾大学・商学部卒業、 伊藤忠商事入社。輸入繊維部配属後、一貫してブランドビジネスに携わり、2010年にブランドマーケティング第一部門長、2014年に執行役員、2016年に執行役員 繊維カンパニー エグゼクティブ バイス プレジデント(兼)同部門長に就く。2017年、常務執行役員に昇格。2019年に常務執行役員 繊維カンパニープレジデントに就任。
スキルアップには人と違った強みを重ねていくことが大事なんですね (諸藤)
異なるスキルを組み合わせ強みを創る
伊藤忠商事株式会社 常務執行役員 繊維カンパニー プレジデント諸藤雅浩(以下、諸藤)2023年もまた新型コロナウイルス感染拡大の収束は不透明な状況にあり、ウィズコロナの生活様式での暮らしが根付いているようで、ようやく回復基調となりつつあるファッション業界においても今後の消費動向が気になるところです。本日は、いつもテレビやYouTubeなどで元気な姿を見せていらっしゃるジェイソンさんに、活力あふれるお話をお聞かせいただけたらうれしいですね。著書である『ジェイソン流お金の増やし方』(ぴあ)が、大評判で売れ行きも上々、私も拝読しました。
IT企業役員/お笑いタレント 厚切りジェイソン氏(以下、ジェイソン)ありがとうございます! 昨年は、小中学生向けの『ジュニアエラ』(朝日新聞出版)など、さまざまなメディアでも取り上げてくれたことも大きかったと思います。日本人はあまりお金の話をしたがりませんが、子どもの頃からお金に関する知識を身に付けることは大事だと思いますね。
諸藤ご自身は、どんなお子さんだったのでしょう。きっと、勉強ができたんでしょうね。
ジェイソンはい、できました(笑)。でも、必要以上の勉強は絶対にしなかったし、なるべく早く勉強を終えたくて、宿題も親が学校に迎えに来るまでに済ませていました。
諸藤日本語との出会いは、どんなきっかけからですか。
ジェイソン初めて勉強したのはミシガン州立大学です。当時、コンピューターサイエンスを学んでいたので、ITの仕事に就くことを考えていました。けれど、ITで身を立てようとする学生がいっぱいいたので、人と同じことをやっていたのでは、いつかは取って代わられる可能性がある。いくつかのスキルを組み合わせないとだめだと思い、他の人が持っていないスキルとして選んだのが日本語でした。実際、僕の周りには1人もいませんでした。その後、学生時代に旭化成の研究所に1年間来ることができ、さらに日本語の勉強が深まりました。
諸藤それまで、日本とは何か縁があったのですか。
ジェイソン何もないです(笑)。
諸藤そうなんですね。でも、コンピューターサイエンスと日本語を組み合わせることで、さらなる強みを発揮できるということになった。商社パーソンとしても、スキルアップを考える際の参考になります。ちなみに同じアジアということなら、日本ではなく、シンガポールで仕事をするというのでも良かったのではないですか。
ジェイソン公用語の一つが英語ですから、シンガポールにいたら僕は「普通の人」(笑)。実際、日本でIT企業の仕事を始めてすぐに東日本大震災が起こって、会社からシンガポール行きを打診されましたが、断りました。日本だからこそ、今のような人生が送れていると思います。
目的を明確にすることがスキルアップの成功に
諸藤ミシガン州立大学を卒業後に、アメリカでGEヘルスケアに就職し、3年後には転職されていますね。
ジェイソン日本では、仕事自体をアイデンティティにする人が多いと思うんですね。「この仕事があるから僕は生きている」のではなく、まず「僕自身」があって「たまたまこういう仕事をやっている」というのが、僕の考え方。なので、この仕事がなくても次の仕事を見つける自信があれば、転職することに問題はないわけです。
諸藤著書には、転職の際、「GEヘルスケアに戻れる自信があったから辞めた」と書かれていますね。
ジェイソン確かに、戻る、あるいはそれ以上のいい仕事を見つける自信がありました。GEヘルスケアでも次世代リーダーシッププログラムの特別入社だったので、20歳代前半には30歳代半ばぐらいの社員が就く職位まで出世はしていましたが、そこから次のステップにいくには10年か20年はかかるだろうなと見てたんです。では、はたして20年間、この仕事をやり続けたいかと考えて、「いや、他のスキルがあるし、もっと活躍できるところがあるはずだ」と見つけたのがクラウドコンピューティングの会社で、その日本法人を立ち上げるために辞めました。
諸藤それはまさにアメリカ的な発想ですよね。
ジェイソン「この会社に入りたい」と考える日本と違って、アメリカでは「何をしたいのか」で会社を選びます。人事の流動性も事情が違いますしね。
諸藤以前とは異なり、日本でも転職することが選択肢の一つとなりました。たとえ給料が下がっても自分のスキルアップのために次にチャレンジしたいと。言い換えれば、やりたいことのために今何をすべきか、その目的がはっきりしているように思います。
ジェイソン目的が明確だと、成功につながるんです。やりたいことがあれば、まずはやってみること。無理だとか難しいとか決めつけず、行動に移すことが大事だと僕は思います。
諸藤時代に応じて多様な価値観が生まれている中、私たちもファッションに関するノウハウだけでなく、語学や投資知識、クリエイティブやマーケティングなど、人と違った強みを重ねていくことがスキルアップには大事だということがよくわかりました。
