Management Eye
世界基準のブランド価値を保ち続ける
「三方よしの精神で社員の幸せも考える 」

中川有司氏
この企画は毎回リレー形式で展開していますが、今回は株式会社栗原の代表取締役社長栗原亮氏からのバトンとなりました。
栗原さんとはかなり以前からご縁があり、同世代ということもあってゴルフや食事といったプライベートでもよくご一緒しています。創業100年という歴史を持つ会社を経営されている栗原さんは「帽子」が専業ですが、私も「バッグ」という専業から始めていること、企画から製造、販売までを行うSPAであることなど共通点も多く、お互いに情報交換をしたり、刺激し合ったりしながら同じ時代を走っているという感じがしています。
「バッグ」を基軸に成長を遂げられていますが、現在はどのようなビジネスを展開しているのでしょうか。
当社は1992年に創業し、バッグを軸にした小売、海外ブランドの輸入卸などを行っていましたが、98年にはアメリカ製の「BRIEFING(ブリーフィング)」を、2005年にはイタリア生産の「FARO(ファーロ)」を立ち上げました。現在、「BRIEFING」はバックパックやキャディバッグ、ゴルフウェアなど幅広くラインナップし、「FARO」は機能とミニマルなデザインを融合させたライフスタイルブランドに育っています。また、2021年にはイタリア発のバッグ&レザーブランド「Felisi(フェリージ)」を取り扱う株式会社フィーゴの株式を取得し、本物にこだわるブランド集合体としてビジネスを展開しています。
本物にこだわる、そのモノづくりについてお聞かせください。
当社では、商品における「Quality、Creative、Craftsmanship(QCC)」をとりわけ大切にしています。グローバルに通用する世界基準の品質、ブランディングに関わるすべてのデザインを司るクリエイティブ、そして世界トップクラスの職人技術。このQCCをとことん追求することで世界レベルのブランドとしての価値を維持したいと考えています。特に大事なのが商品の価値を伝えるクリエイティブで、パッケージから製品のタグや説明書に至るまですべて自社で制作・管理し、ブランドへの憧れや信頼を醸成することに努めています。
社員の方からも風通しがいい会社であると伺いました。どのようにコミュニケーションをとられているのでしょうか。
情報共有プラットフォームを取り入れ、パソコンやスマートフォンでいつでも全社員とコンタクトがとれるだけでなく、社員同士で情報共有することを可能にしました。こうした取り組みで社内コミュニケーションの質が高まり、多くのアイデアが生まれてビジネスに好影響を与えています。
また、5年前にオフィスのフリーアドレス化やペーパーレス化に取り組み、自由な働き方ができるオフィス環境を整えました。誰でも使用できるバーもつくり、自由に交流できる場として活用しています。私自身、父が滋賀県で会社を経営していたこともあり、近江商人の「三方よし」という経営哲学の実践を子どもの頃から見てきました。買い手であるお客様に喜んでいただくには、売り手である社員がハッピーでなくてはいけないと考えています。
コロナ禍を経て、今後の抱負をお聞かせください。
幸い、コロナ禍においても順調に売上を伸ばしており、「For Everyday Happiness」というコーポレートスローガンのもと、「豊かで毎日が幸せになれる」商品とサービスの拡大に取り組み、社員とともにこれまで以上の成長を目指していきたいと思います。


