子どもと取り組むSDGs ~次世代が安心して暮らせる社会へ〜
CASE❷ 佐川急便株式会社
体験を通じて「気づき」の機会を提供し子どもたちのアクションにつなげる
トラックから排出されるCO₂の吸収源となる里山、人と自然が共生する生態系豊かな里山の再生を長期ビジョンに掲げ、2007年より東京都八王子市の社有林「高尾100年の森」で森林保全活動を続けてきた佐川急便株式会社。次世代に向けた自然体験学習などを通じて、持続可能な社会の実現につながる子どもたちのアクションを促している。

竹下博士氏
佐川急便株式会社 CSR推進部 CSR推進課 課長
長年取り組んできた環境活動
佐川急便では、本社を置く京都において「京都議定書」が採択された1997年を機に、環境対策をCSRの軸に据え、さまざまな取り組みを行ってきました。物流事業を展開し、多くの貨物自動車を使用している当社は、グループ全体で脱炭素ビジョンを掲げており、2050年のカーボンニュートラル実現を目指しています。
現在は、「環境に配慮した事業推進」、「安全・安心なサービスの提供」などCSRの重要7課題を定めており、各課題と関連するSDGs項目も抽出しています。これらに基づき、子どもに向けた主な活動として交通安全教室や一日職場体験などのプログラムなどを実施してきました。こうした活動の一環で、社会・自然との共生を目指し、次世代を担う子どもたちを対象とした環境コミュニケーションの場として、「高尾100年の森」での自然体験学習を行っています。
森の資源を活用した体験プログラム
「高尾100年の森」は、2007年当時荒廃しつつあった東京・八王子市の社有林を、生態系豊かな里山に再生するプロジェクトとしてスタートしました。地域の方々の理解を得ながら、当社が主体となって保全活動を行い、2010年頃から森の散策や保全活動など森の資源を最大限に活用した子ども向けの体験プログラムの提供を始めました。2016年に八王子市より「体験の機会の場」と認定されたことによって、都心の小学校の遠足から、高校・大学のサークル・クラブによる自然保全活動、社会人のチームコミュニケーションまで、利用者の層や用途はさらに広がりました。森を訪れた小学校の子どもたちに向けては、自然体験を振り返るとともに環境について学ぶ機会を提供する出前授業も行っており、森林保全の重要性や佐川急便の環境活動などを伝えています。
自ら考えてもらうための工夫を
私たちには、森での体験を通じて得た「気づき」を子どもたちに大切にしてほしいという思いがあります。「高尾100年の森」は、SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」の達成に貢献できる活動だと捉えていますが、SDGsを子どもに伝えていく上でも楽しい体験を提供するだけでなく、自ら考えてもらうための工夫が必要だと考えています。子どもたちにも、森で得た「気づき」を持ち帰り、日々の生活の中で自分ができることをしてほしいと伝えるようにしています。
今後もこの森から佐川急便として発信できるメッセージを継続的に伝えていくことで、環境の保全や持続可能な社会の実現に向けてアクションを起こす人が、老若男女を問わず一人でも増えることを願っています。


