子どもと取り組むSDGs ~次世代が安心して暮らせる社会へ〜

CASE❸ ソニーグループ株式会社

外部パートナーとの連携を図り教育格差の縮小に貢献する

創業者の一人である井深 大氏が会社設立当初より掲げていた「国民科学知識の実際的啓発」のもと、次世代を担う子どもたちの教育支援活動を長年展開してきたソニーグループ。自社の多様なアセットを活用したSTEAM(※)教育や、学校外教育における体験機会の提供を国内外で行っている同社に、教育支援活動の概要や今後の展望などを聞いた。
※STEAMはScience、Technology、Engineering、Arts、Mathematicsの頭文字を取った造語。理系や文系の枠を超えて、問題を発見する力や解決する力を育てる学習。

ソニーグループ株式会社 サステナビリティ推進部 CSRグループ ソーシャルイノベーションチーム統括課長 森 悠介氏

森 悠介

ソニーグループ株式会社 サステナビリティ推進部 CSRグループ ソーシャルイノベーションチーム統括課長

社会課題解決に向けた教育支援

ソニーグループは、さまざまな社会貢献活動やサステナビリティへの取り組みを行っていますが、これらの根底にあるのは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurpose(存在意義)です。この実現には安心して暮らせる社会と健全な地球環境が不可欠であるという認識のもと、企業として持続的に活動していくための取り組みを進めています。

当社は「For the Next Generation」を掲げ、世界各地で社会課題の解決を目指しており、その一環として子ども向けの教育支援活動を展開しています。これらは、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」につながる活動だと認識しています。

企業のアセットを生かしたワークショップ

ソニーグループでは、子どもの好奇心を育むことを目的にしたプログラム「CurioStep with Sony(キュリオステップ)」をグローバルに展開しています。北京の科学館の運営やシンガポールや台湾で開催している「おもちゃ創作コンテスト」の実施のほか、自社のエンジニアや各分野のスペシャリストらが講師となり、当社のテクノロジーやクリエイティビティを活用したワークショップなどを対面およびオンラインで行っています。今後も「CurioStep with Sony」においては、グループの強みを生かしたコンテンツをグローバルに提供していく予定です。

また、国内で広がる教育格差という社会課題の解決に向け、NPOなどの外部団体と連携し、「感動体験プログラム」を展開しています。社会課題となっている体験機会の格差に着目し、放課後の学童や地方・離島の小学校、子ども食堂などにおいてSTEAM分野の多様なワークショップなどを提供しています。

活動の成果を測る「社会的インパクト評価」

子どもたちのリアルな反応を通して活動の意義を感じている反面、特に社会課題の解決を目指す「感動体験プログラム」においては、その有効性を客観的に測定する必要性を感じてきました。その中で2020年度より、第三者組織の協力のもと、ワークショップを通じて得られる成果を検討した上でロジックモデルを策定し、子どもたちや現場スタッフへのアンケートを通じて定量・定性的な評価を得る「社会的インパクト評価」を実施しています。また、評価の結果に基づいたプログラムの設計・改善にも取り組んでいます。

「感動体験プログラム」に関しては、自治体などと連携し、1回のプログラムを提供する単発型ではなく、半年間で複数のプログラムを提供する長期プログラムを実施しており、「社会的インパクト評価」を通じて、体験機会の重要性とそのインパクトを示すモデルの構築を行っています。その上で、対外的発信によりこれらのモデルを普及させ、さまざまなセクターとの連携を通して教育格差の縮小に貢献していくことを目指します。

「aibo(アイボ)」
子どもたちは自律型エンタテインメントロボット「aibo(アイボ)」と過ごし、AI技術に触れたり、プログラミングを体験できる。
「感動体験プログラム」
特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクールとともに、教育格差縮小に向けた取り組みとして「感動体験プログラム」を日本各地で展開。
「感動体験プログラム」の「社会的インパクト評価」
「感動体験プログラム」の「社会的インパクト評価」例。長期・単発プログラムに参加した場合を比較すると、前者の方がコンピテンシーの伸び率が高くなることを確認。