アフターコロナを勝ち抜く、繊維カンパニーのビジネス戦略
コロナ禍のさまざまな取り組みが花開くときが到来(2)
大室続いてブランドマーケティング部門の取り組みについて、この4月に着任した福垣新部門長よりお話しください。
執行役員 ブランドマーケティング部門長 福垣 学(以下、福垣)当部門はコロナ禍においても歩みを止めることなくさまざまな手を打ち、基盤構築に努めてきました。コロナ禍でも堅調に推移したアウトドア分野では、「L.L.Bean(エルエルビーン)」や「Eddie Bauer(エディー・バウアー)」など新しいビジネスが始まり、スポーツの分野においても「Reebok(リーボック)」などのブランドと契約することができました。
また、ファッションブランドに関しては、事業会社の株式会社ジョイックスコーポレーションが、「Paul Smith(ポール・スミス)」でウィメンズウェアの取り扱いも開始しました。コロネット株式会社とともに日本市場に展開してきた「mila schön(ミラ・ショーン)」では、イタリアのコフェド社とマスターライセンス契約を締結し、今後ヨーロッパや米国、アジア地域での販売を強化していきます。さらに、韓国コスメブランド「JUNG SAEM MOOL(ジョンセンムル)」や 「TONYMOLY(トニーモリー)」の日本市場における独占販売権を取得するなど、当部門が培ってきたノウハウを生かし、アパレル以外の分野におけるブランドビジネスにも乗り出しており、今後の成長に大いに期待しています。
大室繊維資材関連についてはいかがでしょうか。
福垣当部門の繊維資材・ライフスタイル部は海外拠点が多いのですが、コロナ禍で非常に厳しかった時期にも、中国・アジアを中心に現地の駐在員が地場の情報を掴みビジネスにつなげ、まさにマーケットイン発想で奮闘をしてくれました。加えて、国内でもウェルネス&ライフスタイルブランド「LALACA(ララカ)」を自らのブランドとして立ち上げ、まずはヒーターブランケットの展開を始めるなど、新たなチャレンジも進めています。
大室ここまで両部門長にコロナ禍での取り組みについてお話しいただきましたが、武内新プレジデントはこの3年間の歩みをどのように捉えていますか。
武内コロナ禍によって売り場がなくなってしまうという衝撃的な出来事が起こる中、繊維カンパニーとしては「低重心化」を掲げ、経費の削減や海外拠点の縮小・撤退など構造改革に踏み切りました。厳しい状況の中で大変苦労されながら立て直しを図ってきた諸藤雅浩前プレジデントの舵取りを隣で見てきましたが、一つ確実に言えることは、このような状況だからこそ繊維カンパニーは前進できたということです。
事業会社のコロネットによるハンティング ワールド ジャパンの吸収、繊維カンパニー内におけるブランドマーケティング第一、第二部門の統合をはじめとする組織再編は、コロナ禍の3年間がなければ実現しなかったことだと感じています。苦労しながらも「低重心化」を進めたことで本来あるべき姿に近づけた実感がありますし、2021年度以降は着実に利益の積み上げができており、良い芽が出始めています。コロナ禍に行ったさまざまな取り組みが、2023年度以降いよいよ花開くと期待しています。