メタバースが切り拓くファッションビジネスの未来

CASE❷ 株式会社ビームス クリエイティブ

持ち前の目利き力、企画力を武器にメタバースユーザーの支持を獲得

セレクトショップの枠を越え、さまざまな分野で新たな価値を創造してきた「BEAMS」。メタバース領域においても、世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」に2020年より継続的に参加し、持ち前の目利き力、企画力を生かした数々の施策を展開している。マーケティングや店舗企画などを通じて「BEAMS」ならではのカルチャーを発信する、株式会社ビームス クリエイティブの担当者に、その取り組みについて聞いた。

株式会社ビームス クリエイティブ ビジネスプロデュース部 ビジネスプロデュース3課 課長 木村 淳氏

木村 淳

株式会社ビームス クリエイティブ ビジネスプロデュース部 ビジネスプロデュース3課 課長

体験が重視されるメタバース

株式会社ビームス クリエイティブでは、2008年に3Dコミュニティ内に仮想店舗をつくり、アパレル商品を3Dスキャンしたアバター用のアイテムを展開したことを皮切りに、アニメやゲームの領域でバーチャルとリアルの世界を連動させる企画を行ってきました。こうした取り組みを経て、2020年からは株式会社HIKKY(ヒッキー)が運営する「バーチャルマーケット」に参加しています。

1回目の出店は、実店舗「BEAMS HARAJUKU」をベースにしたバーチャル店舗をつくり、リアル商品と3DCG商品の販売、リアル販売員によるバーチャル接客に加え、「ももいろクローバーZ」各メンバーがアバターで登場してファンと触れ合うコラボレーション企画なども行いました。これらを通じてメタバースは単にモノを売る場ではなく、体験価値が非常に重要だということが見えてきました。

リアルの場や人を持つ強み

実店舗の販売員が行っているバーチャル接客では、お客様の方から声をかけていただく機会も多く、お互いにアバターの姿でいるからこそ、実店舗以上に近い距離感でコミュニケーションを取れることが特徴です。メタバースでやり取りをしたお客様が実店舗に足を運んでくださるケースもあり、リアルの場や人などのアセットを持つことの強みを感じるとともに、メタバースはお客様をリアルの場とつなぐ接点にもなると感じています。

2回目の出店では実際に都内の銭湯とコラボで開催していたイベントを、漫画『テルマエ・ロマエ』の作者ヤマザキマリさんの描きおろした銭湯絵ごとメタバース上に再現したのですが、このときもリアルの銭湯に足を運ばれたお客様がいらっしゃったそうです。また、入浴用にタオルを巻いたアバターを無料配布したのですが、これがSNSなどでも話題になりました。こうしたさまざまな施策を通じて、メタバースにおける「BEAMS」の取り組みを楽しみにしてくださる方が徐々に増えてきています。

新たなカルチャーを根付かせたい

現在のメタバースはユーザー層に偏りがあり、一般消費者にはまだハードルが高いことが課題で、その分、伸びしろもあると感じています。今の子どもたちは、当たり前のようにゲームキャラクター用のアイテムを購入していますし、まもなく自分が買ったリアルの洋服をメタバース上のアバターにも着せるような時代が来るのではないでしょうか。実際、「BEAMS」らしいテイストの3DCG商品がほしいという声もいただいていますし、今後はバーチャルとリアルが連動したアパレル商品の販売に、より注力していくつもりです。

これからも当社はメタバースのユーザーに寄り添いながら、自分たちの目利き力を生かしてさまざまなコラボレーションに取り組み、現在のブームをより多くの人たちが日常的に親しめるカルチャーとして定着させていきたいと考えています。

「バーチャルマーケット6」の「BEAMS」ブース内「銭湯のススメ。2021」
2021年「バーチャルマーケット6」の「BEAMS」ブース内「銭湯のススメ。2021」。
「BEAMS」ブースのバーチャルショップで販売されたイベントオフィシャルTシャツ
同じく「BEAMS」ブースのバーチャルショップで販売されたイベントオフィシャルTシャツ。7種類のデザインが3DCGで再現された。