アフターコロナを勝ち抜く、繊維カンパニーのビジネス戦略
垣根を越えてシナジーを生み出し、グループ全体の成長へ(2)
大室プレジデントのお話にあったように、ポートフォリオのグルーピングを意識し、カンパニーとしての価値や業績を最大化していくことが今後のテーマになると感じています。その中で経営企画部は、グループ間の調整役となってビジネスを推進していきたいと考えていますが、そこでポイントになるのはやはりデジタル化です。
繊維カンパニーでは、デジタルツールを活用した業務効率化やECプラットフォームの強化、基幹システムの刷新などに取り組んできましたが、これらをポートフォリオと照らし合わせながらより効率的な経営を実現できればと考えています。3年前に発足したデジタル戦略室もここに来て取り組みを加速させていますし、今後も繊維カンパニー全体のデジタル化を推進していきたいですね。
武内デジタル戦略室の新しい室長にはジョイックスコーポレーションで物流とECを担当した人材が着任しました。さらに、デジタル人材強化に向けて情報・金融カンパニーで2年間経験を積んだ中堅・若手人材が戻って来るなど、さまざまな領域でノウハウを吸収した人材を循環させながら、繊維カンパニーのデジタル戦略を進化させていきたい。今後はデジタル戦略室が旗振り役となり、各事業会社のレガシーな基幹システム刷新などの支援をしていく必要がありますね。
大室各事業会社が個別にDXを進めるのではなく、全体最適の観点から当カンパニーがしっかりモニタリングしていく必要があると考えています。小売やアパレル企業においてもデジタル化は最重要課題であり、その基盤となる基幹システムがしっかりしていなければ次の手が打てないような状況です。当面の目標は、データの一元管理を進めることで川上から川下までのバリューチェーンをデジタルでつなぐことであり、今後はこの分野でも業界のリーダーとなることを目指していきます。
武内これまでは繊維カンパニーの部門長を務めた後に事業会社に出向するケースが多かったのですが、今回は両部門長と私それぞれがすでにアパレル事業会社での経営の経験を持っていることが一つの特徴です。現場の経験に基づいた消費者目線の発信ができることは、マーケットイン発想のビジネスを推進する上で大きな強みになるはずです。
また、コロナ禍に「FOREVER 21(フォーエバー21)」、「Eddie Bauer」という日本に再上陸するブランドのビジネスパートナーとなることができ、これも新生繊維カンパニーにおける特徴的な出来事だったと感じています。アフターコロナに向け、新たにブランドビジネスに取り組もうとされた企業が伊藤忠を頼っていただけたことは非常にうれしいことでした。
これからも、既存のお客様との関係を大切にしながら、新しいお客様とのパイプも太くし、グループ全体がさらに成長できるよう、カンパニーをあげて尽力したいと思います。