米国大手電力会社Duke Energy社と電気自動車用リチウムイオン電池の再利用事業を共同展開

2010年11月24日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:岡藤正広、以下「伊藤忠商事」)は、米国の大手電力会社 Duke Energy Corporation (本社:米国ノースカロライナ州、代表:James Rogers、以下「Duke Energy社」) と、先端エネルギー技術における提携の契約を締結しました。第一弾として、電気自動車用電池(以下「EV電池」)の2次利用モデルの検証を開始します。

自動車業界の試算によれば、充放電を繰り返すなど電池性能が初期値の80%まで低下するとEV用電池は交換の必要があると言われています。伊藤忠商事とDuke Energy社は、電気自動車(以下「EV」)に利用できなくなった電池も、家庭用補助電源としてのエネルギー供給や再生可能エネルギーの蓄電、EV用急速充電の電力源など、様々な用途で再利用が可能であると考えています。

伊藤忠商事とDuke Energy社は、Duke Energy社の電力供給地域であるインディアナ州にて実証プロジェクトを開始します。インディアナポリスでの大規模官民共同EV普及プロジェクトであるProject Plug-IN (※1)へ参画し、EV電池が家庭用・地域用・商業用などの定置用途において2次利用された場合の性能を評価します。EV電池の2次利用モデルの技術的課題や商用化の検証のため、約80台のTh!nk社(※2)製EVに搭載された合計2,000kwhのEner1社(※3)製リチウムイオン電池のデータを収集・解析します。これにより、両社は商用化に向けた2次利用ビジネスモデルの有効性を確認するとともに、2次利用モデルを通じてEV電池の利用期間延長による初期電池コストの低減を目指します。

この実証プロジェクトにおいて、Duke Energy社は、蓄電池導入に際する技術的な設計サポートを行うとともに、テストサイトや実証のための人材を提供します。伊藤忠商事は、車載用での役割を終えたEV電池を、定置用蓄電池インフラとして活用するノウハウを提供します。

両社は、将来のEVの普及時期に備え、これまで主導的な役割を果たしてきました。Duke Energy社は、数年に渡って、自動車メーカーや充電器メーカー、電力事業者、EDTA(※4)と協業し、EVの普及に向けて、顧客満足度の向上や、電力網への影響について理解を深めるとともに多くの貢献をしてきました。伊藤忠商事は、2010年1月に米国以外の企業で初めて、Project Plug-INを主導しているインディアナポリスの組織ESN(※5)の幹事企業の一社となりました。2010年には、つくば市において「Green Crossover Project」を開始し、EV用電池の2次利用モデルの開発やエネルギーマネージメントの高度化、さらには急速充電システムや先端的な認証・課金システムなどインフラ設備の構築を推進しています。

  1. Project Plug-IN
    世界的に有名なカーレース・イベントである「インディ500」を毎年開催するほど車社会、自動車産業に深く関わっている米国インディアナ州において、電気自動車とスマートグリッド技術の融合を図りつつ、世界に先駆けてより効率的な低炭素交通社会システムの構築を目指す北米最大規模のプロジェクト。2012年に1,000台、2013年には4,000台のEV普及を目指す。
  2. Th!nk社
    ノルウェーのEV専業メーカー。1991年よりEVの開発・製造に携わり、生産・販売実績は欧州・北米を中心に9,000台以上。2011年に米国インディアナ州での新生産拠点の設立、2012年に全世界で年間22千台の販売を計画。伊藤忠商事は2010年7月にTh!nk社に出資するとともに、同社のEVとドライブシステムの日本での独占販売権とアジアでの優先販売権を所有。

    会社名 : THINK Holdings AS
    代表者 : Barry Engle (CEO)
    本社所在地 : ノルウェー
    設立年月日 : 1991年
    資本金 : NOK36.4百万 (2009年12月末現在)
  3. Ener1社
    OEMレベルの車載用リチウムイオン電池システムの製造能力を持つ米国電池メーカー。伊藤忠商事は、Ener1社に対し、2003年に最初の出資を実施、2009年に第三者割当増資を引き受けて増資し、現在の出資比率は約5%。伊藤忠商事は、Ener1社リチウムイオン電池システムの日本における独占販売権と世界における優先販売権を所有。

    会社名 : Ener1, Inc
    代表者 : Charles Gassenheimer (Chairman & CEO)
    本社所在地 : 米国ニューヨーク州
    設立年月日 : 2002年
    資本金 : US$1.3百万 (2010年3月末現在)
    売上高 : US$34.8百万 (2009年12月期)
    URL : http://www.ener1.com [別ウインドウで開きます]
  4. EDTA
    米電気駆動車協会(Elerctric Drive Transportation Association)の略称。EDTAは1989年に創設されて以来、電気駆動技術をサステイナブル(持続可能な)モビリティに向かう中核技術として推進している企業団体。自動車メーカー、電気事業者を初め、様々な業界の企業が参加。
  5. ESN
    2009年4月に設立されたEnergy Systems Networkの略称。米国インディアナ州インディアナポリス市を拠点に、電気自動車や再生可能エネルギーなどクリーンテック関連技術を有する企業・団体26社が加盟するNGO法人。加盟者間でのプロジェクト組成、JV、協力関係をアレンジしつつ、環境関連の新技術を活用した成功モデルの世界展開を目指す。

Duke Energy社について

会社名 Duke Energy Corporation
代表者 Jim Rogers (Chairman&CEO)
本社所在地 米国ノースカロナイナ州
従業員数 18,680 (2009年12月末現在)
総資産 US$570億 (2009年12月末現在)
収入 US$127億 (2009年12月期)
事業概要

米国大手電力会社。米国南東部と中西部の5つの州で約4百万世帯の約11百万人に安定的に電力を供給。商用電力・国際事業分野においては、北米と南米で多様な発電施設を所有・運用し、米国では再生可能エネルギー施設を増設。ノースカロナイナ州シャーロットに本社があり、DUKというシンボルマークでニューヨーク証券取引所に上場。Fortune500企業に選ばれている。

URL http://www.duke-energy.com/[別ウインドウで開きます]