2023年 社長COO年頭挨拶

2023年1月4日

当社社長COO石井敬太による社員向け「2023年年頭挨拶」を下記の通りお知らせいたします。

皆さん、明けましておめでとうございます。
この数年、コロナの感染拡大等もあり、制約の無いお正月休みがありませんでしたが、各地でワクチン接種やウィズコロナの環境整備が進んだこともあり、ご家族・ご友人と気兼ねなく年末年始をゆっくり過ごされたり、有意義に休暇を満喫されたりと、十分にリフレッシュし、新たな気持ちで本日を迎えられたことと思います。新年のスタートにあたり、日本および世界の伊藤忠グループの皆さんに、一言ご挨拶を申し上げます。

昨年は、皆さんもご存じのように激動の一年でした。特に、世界が震撼した2月24日のロシアによるウクライナ侵攻は、コロナから回復しつつあった世界経済を混乱させ、依然として世界秩序に大きなマイナス影響を与えています。この侵攻による唐突な供給サプライチェーンの分断は、エネルギーだけではなく、肥料や穀物、木材等においても異常な価格高騰を生み、世界的なインフレが急加速しています。米国では、そのインフレの抑制を目的とした段階的な金利の引き上げが、金融・為替市場に影響を与え、更なる景気減速が懸念されています。一方、これまで世界経済を牽引して来た中国においても、不動産市場の低迷やゼロコロナ政策の緩和による感染再拡大などにより、経済活動が停滞しており、世界の2大 大国の経済は、減速傾向にあります。
加えて、急激なエネルギー供給バランスの変化は、世界的規模に拡大しつつあったカーボンニュートラルの進行を後退させています。

政治面では、中国習近平体制の3期目確立、中間選挙によるアメリカのねじれ議会化、中東諸国間連携の不安定化など、見通しが非常に難しい状況にあります。加えてロシアの行動は、国家間に分断と不信感を生み、安全保障に対する危機感を思い起こさせ、グローバル化の見直しと自国主義や経済圏の囲い込みが更に加速するかも知れません。安全保障では、エネルギーや食糧のみならず、防衛面での課題も浮き彫りになり、我々を取りまく環境を今まで以上に注視していく必要があります。 このように我々が進む道は今まで以上に混沌として不透明ですが、どんな環境であれ我々は、全員で全力を出し中期経営計画 「Brand-new Deal 2023」の最終年として今年も企業としての成長を継続しなければなりません。

さて、本日は皆さんに2つの事をお伝えしたいと思います。 1つ目は、我々はこの難しい情勢にあっても8,000億円のステージを目指して、改めて基本を確認し、原点に戻ろうということです。皆さんは昨年末から伊藤忠の歴史を振り返る、あるいは伊藤忠を感じるイベントが連続していた事をご存じでしょうか?
まず昨年の11月末に初代および二代目忠兵衛翁の法要式典が盛大に開催され、岡藤会長CEOが参列されました。そして12月に入ると、13日にダイヤモンド社で連載されていた伊藤忠を創り上げた歴史の集大成 「伊藤忠 財閥系を超えた最強商人」が出版、そして21日には日経新聞紙面に、「伊藤忠はここから始まった」と称し、今から150年前の1872年に新しく大阪本町に、後の伊藤忠商事、丸紅となる呉服商「紅忠」が開店したと言う全面見開き広告が掲載されました。
この昨年末に起きた祖業への振り返りを想起させる出来事は、初代 忠兵衛翁からのメッセージだと感じ、気を引き締めています。そのメッセージには、更なる飛躍に向け、今こそ伊藤忠の原点である近江商人の商売理念である「三方よし」や行動規範である「ひとりの商人、無数の使命」を復唱し、幾多の試練を乗り越えてきた伊藤忠の不屈の精神を心に刻み、初心に帰り商いに励めと言われている気がしています。当社の利益は、ひとりの商人たちの商いの積み重ねです。
改めて皆さんにも初心に帰る、つまり、商いの基本に帰ることを心掛けて頂きたいと思います。
2つ目は、8,000億円のステージにつながる基礎収益力の着実な積み上げに向けて、今一度各組織で設定した将来の目標や、やるべき施策、進捗の再評価を全員で行い、その実現に向けた各自の任務と意義を再確認し合って頂きたいということです。
サッカー ワールドカップの予選リーグ、スペイン戦をTV観戦いたしました。「ゴールラインギリギリの1mmまでボールを追い続けた三苫選手とそのパスを信じてシュートを決めた田中選手」、この昨年の侍ブルーの活躍は、全ての選手がチームの為に一瞬も手を抜かず、そして基本に忠実に、自分のやるべき事をしっかりやりきった結果だと評価しています。我々も手を抜かず、一人ひとりが自分のやるべき任務と意義を確認しながら行動することが、組織の目標達成につながるのだと思いました。 

当社の収益規模も2年連続の8,000億円超が見えてきていますが、これは円安や資源プレミアムの好影響も含まれた結果であり、まだまだ真の力がついた訳ではありません。初心に帰り、お客様や社会が求めているものが何か改めて考え、自分たちが今やらなければいけない任務と意義を確認しながら、行動することが重要です。商いのネタは社内にはなく、現場にしかありません。現場から離れれば、あっという間に他社に置いて行かれます。我々が直面するその現場では、次々に取引の多様化、多角化、異業種連携が進んでおり、日々進化しています。そして現場には、縦割り発想では対応できない異業種連携型のビジネスチャンスが増えているような気がします。いつも同じ世界で、同じ方向から、同じ仲間だけでの発想では限界があります。常に新たなチャレンジが必要であり、決して世間の進化に遅れることなく、一人ひとりがリーダーとして各事業を牽引するぐらいの気概をもって取組み、今年も我々の底力を存分に発揮していきましょう。

今年の干支は、兎です。うさぎ年は、その跳躍する姿から「飛躍」、「向上」を象徴するものとして親しまれてきました。 繰り返しになりますが、今年も引き続き、我々を取り巻く経営環境は、不透明ですが、過信、慢心をすることなく、8,000億円の収益ステージに向けた景気変動に強い収益基盤を構築し、当社の更なる「飛躍」、「向上」につながる1年にしたいと考えています。世界で活躍する全伊藤忠グループの社員とご家族の皆さんのご健勝とご多幸を祈念し、私の新年の挨拶とさせて頂きます。

写真:社長 COOの石井が挨拶をしている様子

写真:伊藤忠東京本社ビル1階のエントランスに飾られた生け花