コーポレート・ガバナンス

取締役会改革~2017年度以降の体制について

取締役会改革に関する審議に参加して

写真:村木 厚子

村木 厚子

厚生労働事務次官等を経て、2016年6月に当社取締役就任。当社ガバナンス・報酬委員会委員。当社における「働き方改革」に加え、コンプライアンス問題や経営計画におけるサステナビリティの課題等についても積極的に発言している。

ガバナンス向上のために、当社でも取締役会における社外取締役の割合を高め、執行に対するモニタリング機能の強化を図ることの是非を検討しました。取締役会にて実質的な議論ができる適正規模を考慮し、カンパニープレジデントを取締役から外し総本社オフィサー中心での取締役会構成とすることがモニタリング機能の強化に結び付くかが論点となりました。

懸念は2つ。カンパニープレジデントが外れることで取締役会の議論が現場から乖離し、あるべき論に偏るのではという点。また、執行という重要な役割を担うカンパニープレジデントが、会社の意思決定を大所高所から見る機会を失うことにならないか、という点です。この懸念を払拭するため、取締役会にカンパニープレジデントが同席し、現場の生の情報を踏まえ意見を述べる場を確保すること、また社外取締役がより現場の状況に精通できるよう、社内での意見交換、現場視察等の機会を増やすこととしました。

取締役会の構成の見直しそのものは難しいことではありません。しかし、意図した運用ができるかは難しい点です。その意味から、2017年度は「取締役会改革元年」として、その実効性向上を追求していく年にしたいと考えています。

取締役会の更なる進化に向けて

写真:望月 晴文

望月 晴文

経済産業事務次官等を経て、2014年6月に当社監査役、2017年6月に当社取締役就任。当社指名委員会委員。兼職先における企業経営者としての経験を踏まえ、当社のコーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、内部統制等について積極的に発言している。

3年間当社の監査役を務め、様々な場面でガバナンス改革にも関与してきました。その間、日本全体でも取締役会改革が叫ばれ、当社も日本を代表する企業として、この改革に適切な対応をとってきました。

今般、社外取締役として選任され、新たな立場で経営に貢献したいと考えています。行政にあって長い間、産業政策に携わってきた経験やその後の企業経営に直接関わっている経験・知見を大いに活用し、特に取締役会の経営監督機能を効果的に発揮させ、当社の持続的な企業価値向上を図る一助を担えればと思っています。

ガバナンス強化と並行して、内部統制・コンプライアンスは、その違反が時に会社の存立を危うくするリスクをはらんでいることから、そのような事態を組織として未然に防止する仕組みを常に工夫する必要があります。一方、企業価値向上に資する自由闊達で活気のある企業風土を醸成していくことも重要です。

私自身、社外取締役としての使命を果たすことで、当社の取締役会もより一層進化させていきたいと考えています。

当社のコーポレート・ガバナンスの特徴

役員報酬
企業価値向上と連動した透明性の高い報酬制度

取締役(社外取締役を除く)報酬(イメージ)

取締役(社外取締役を除く)の報酬は、①月例報酬と②業績連動型賞与に加え、③業績連動型株式報酬(信託型)から構成されています。①月例報酬は役位ごとの基準額をベースに会社への貢献度等に応じて決定され、②業績連動型賞与、及び③業績連動型株式報酬は当社株主帰属当期純利益(連結)に基づき総支給額が決定されます。業績連動型株式報酬は、当社の中長期的な企業価値の増大への貢献意識を高めることを目的として2016年度より導入されました。

  報酬の種類 内容 報酬限度額 株主総会決議
取締役 ①月例報酬 役位ごとの基準額をベースに会社への貢献度等に応じて決定 月例報酬総額として年額12億円(うち、社外取締役分は年額50百万円) 2011年6月24日
②賞与 当社株主帰属当期純利益に基づき総支給額が決定算定式は下記参照 賞与総額として、年額10億円※社外取締役は支給せず
③株式報酬(信託型)2016年度導入 下記は2事業年度分かつ、取締役及び執行役員を対象とした限度額
  • ・当社から信託への拠出上限額:15億円
  • ・対象者に付与するポイントの総数:130万ポイント (1ポイント=1株として換算)
※社外取締役は支給せず
2016年6月24日
監査役 月例報酬のみ   月額総額13百万円 2005年6月29日

業績連動型賞与及び株式報酬の算定式

総支給額

総支給額 =(A + B + C) × 対象となる取締役の役位ポイントの総和 ÷ 55
2017年度当社株主帰属当期純利益のうち、
A = 2,000億円に達するまでの部分 × 0.35%
B = 2,000億円を超え3,000億円に達するまでの部分 × 0.525%
C = 3,000億円を超える部分 × 0.525%(うち、株式報酬として0.175%)

総支給額は、A、B、及びCの合計額に、対象となる取締役の員数増減・役位変更等に伴う一定の調整を加えた額です(賞与及び株式報酬それぞれにつき報酬限度額による制限があります)。

個別支給額

個別支給金額 = 総支給額 × 役位ポイント ÷ 対象となる取締役の役位ポイントの総和

各取締役への個別支給額は上記に基づき計算された総支給額を、役位ごとに定められた下記ポイントに応じて按分した金額です。

取締役会長
取締役社長
取締役
副社長執行役員
取締役
専務執行役員
取締役
常務執行役員

10

5

4

3

個別支給額のうち、総支給額中のA及びBにかかる部分は全額現金で支払われます。Cにかかる部分については、0.175%分を株式報酬で支給し、残額は現金で支払われます。株式報酬については、在任中は毎年ポイント(1ポイント = 1株)を付与し、退任時に累積したポイント分に相当する株式報酬を信託よりまとめて支給することとしています。なお、信託より支給する株式はすべて株式市場から調達しますので、希薄化は生じません。

報酬制度に対する評価

写真:藤﨑 一郎

藤﨑 一郎

駐米大使等を経て、2013年6月に当社取締役就任。2016年6月より、当社ガバナンス・報酬委員会委員長。外交官としての長年の経験を踏まえ、当社の海外政策や大型プロジェクト等について積極的な助言を行っているほか、ガバナンス・報酬委員会の委員長就任後は、同委員会における審議の充実化に努めている。

当社は2017年度より、取締役に対する業績連動型の賞与を改定しました。今回の改定は、自社株報酬制度と合わせ業績連動比率をより高めるものですが、当社が更なる企業価値向上を目指すにあたり、高い経営目標を達成した際には経営陣に対して相応の報酬を支払うとの考え方に基づいており、ガバナンス・報酬委員会としては適当と評価しています。

現中期経営計画の最終年度である2017年度は、2年連続の最高益の更新となる連結純利益4,000億円を計画していますが、モニタリング重視型の新たな取締役会で、より一層の監督機能を発揮していきます。

指名
指名委員会を通じた後継者計画の監督

当社の指名委員会は、取締役会の任意諮問委員会として2015年度に設置され、その後2016年度からは、社外取締役を委員長とし、委員の半数を社外役員とする体制に移行しています。当社の制度上、執行役員及び取締役・監査役候補の選任議案の立案権は社長に付与されていますが、指名委員会は当該議案を事前に審議し、その結果を取締役会に答申することを通じ、主として議案策定プロセスの適正性を監督する役割を担っています。また、社長の後継者計画についても、指名委員会における社長との質疑等を通じ、その進捗の監督を実施しています。

指名委員会の活動状況について

写真:川北 力

川北 力

国税庁長官等を経て、2013年6月に当社取締役就任。2016年6月より、当社指名委員会委員長。当社の資本政策や投融資案件について積極的に発言しているほか、指名委員会の委員長就任後は、当社における在るべき指名の監督プロセスについて検討を進めている。

「ひとりの商人、無数の使命」のコーポレートメッセージに象徴されるように、当社全社員がそれぞれの使命を果たすべく活躍し、我が国のリーダーカンパニーとして今まで以上に社会に貢献して欲しいと思っています。そのためには、社員一人ひとりの意欲と能力が、十二分に発揮されるような経営体制を作ることが重要です。

当社指名委員会は設置から2年が経過しましたが、社外役員もその見識や経験を活かしてより積極的に意見を表明し、後継者計画を含め、様々な角度から活発な議論を展開しています。毎年度の株主総会で、株主の皆様に安心かつ、大きな期待をもってご賛同いただけるように進めていきたいと思います。