無限にシナジーを創出し続ける「商人」たち

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ユニー・ファミリーマートホールディングス(株)のコンビニエンスストア事業との連携に見る投資先の企業価値向上策

連結純利益4,000億円を射程圏に捉えた当社は、ユニー・ファミリーマートホールディングス(株)をその先の長期的な企業価値拡大に向けた柱の一つと位置付け、伊藤忠グループ横断的な取組みを推進しています。ここでは同社を例に、「衣・食・住」でノウハウを磨き上げてきた当社ならではの事業会社の企業価値向上に向けたアプローチをご紹介します。

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(株)ファミリーマートを起点としたビジネスモデルの変革

2016年9月1日、(株)ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングス(株)が経営統合し、ユニー・ファミリーマートホールディングス(株)として新たに船出しました。営業収益で1.2兆円を超える国内第3位の巨大流通グループの誕生です。同時にこれは、筆頭株主である当社にとって、生活消費関連分野の更なる強化に向けた大きな一歩となりました。
1998年、当社は(株)ファミリーマートの発行済株式総数の約30%を取得しました。初めての本格的な小売事業への参入となるこの取組みを機に、それまでの卸・物流事業を中心とする伝統的ビジネスモデルから、川上の食糧資源の確保、川中の加工・製造、中間流通、川下のリテールに至るバリューチェーンを構築する「SIS(Strategic Integrated System)戦略」を通じたビジネスモデルの変革に踏み出し、総合商社ならではの機能を提供しながら、(株)ファミリーマートの競争力向上に貢献してきました。現在では、消費者接点で得られる情報を活かしながら、下流(小売)から上流(原料)へBottom up 型の強靭なバリューチェーンを構築し、食料カンパニーのみならず伊藤忠グループでの幅広いビジネスに収益機会を拡げています。

より一層「太い幹」となったバリューチェーン

ユニー・ファミリーマートホールディングス(株)の傘下に入った(株)ファミリーマートは、(株)サークルKサンクスとの経営統合により、国内約18,000店舗と業界トップ企業と肩を並べる規模になりました。当社は、太い幹となったバリューチェーン上で、伊藤忠グループの総力を結集し、(株)ファミリーマートとの大きなシナジーの創出を進めています。当社の戦略の方向性を、いくつかのキーワードでご説明します。

VALUE CHAIN

KEYWORD1
周辺ビジネスの取込み

(株)ファミリーマートは、食料品をはじめとする様々な生活必需品から、金融、その他幅広いサービスへと機能を拡充しながら、人々の生活インフラとして進化してきました。当社は、食料品にとどまらず、日用品や用度品、様々なサービス分野でシナジーを創出しています。今後は、原材料供給や商品開発サポート、物流効率化、ITを駆使した省力化・省人化やEC関連ビジネス、金融ビジネス等の周辺事業における連携を、長期的な視座のもとで更に強化していきます。

OUR VALUE 生活、社会インフラを支える

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KEYWORD2
食料バリューチェーンの更なる強化

(株)ファミリーマートと(株)サークルKサンクスの経営統合をテコとした商流の拡大に加え、商品開発力の強化や物流の効率化、製造拠点の集約によるコスト削減等、これまで以上に幅広く大きなシナジーを創造していきます。

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業界トップクラスの店舗網を支える(株)日本アクセス
(株)日本アクセスは、日本最大規模の業容を誇る食品流通企業です。ドライ・チルド・フローズンといった全温度帯対応の独自インフラを全国449拠点に整備し、「サークルKサンクス」とのブランド統合を進める(株)ファミリーマートを縁の下から支えています。

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ファミマカフェ
当社がコーヒー豆の調達スキームや製品開発、什器の選定・調達等で(株)ファミリーマートと連携し、原料豆の集荷・精製工程を含めたコーディネートをしています。

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RIZAPコラボ商品
当社、(株)ファミリーマート、RIZAPグループ(株)の食品開発・販売を含めた業務提携に基づき、健康ニーズへの取組みの柱として共同開発商品の企画を進めています。

KEYWORD3
小売運営は、「その道のプロ」に任せる

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株式会社ファミリーマート
代表取締役社長
澤田 貴司
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ユニー株式会社
代表取締役社長
佐古 則男

小売は、品揃え、地域ごとの消費者の嗜好に合わせた商品政策、店舗レイアウト等、きめ細かなオペレーションが求められます。中間流通や川上の原材料調達に事業の軸足を置いてきた総合商社的な発想を持ち込むのは適切ではないというのが当社の考え方です。こうした考えに基づき、コンビニエンスストア(CVS)事業、総合小売(GMS)事業それぞれの事業会社の経営は、小売の経験が豊富な「その道のプロ」に任せ、当社は小売周辺ビジネス構築等の面で協業関係を深めていくことで、ユニー・ファミリーマートホールディングス(株)の収益力強化に寄与していきます。

KEYWORD4
力点はガバナンスと有機的連携に

当社は、ユニー・ファミリーマートホールディングス(株)に経営者人材を派遣し、ガバナンスを効かせながら、経営の方向性を見定めると共に、様々な分野のプロフェッショナルを派遣することで、当社の事業部門を越えた有機的な連携を促進し、シナジーの創出に繋げています。

伊藤忠グループの力を最大限に活用する

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ユニー・ファミリーマートホールディングス(株)
代表取締役社長

髙柳 浩二

ユニー・ファミリーマートホールディングス(株)では、コンビニエンスストアのブランド統合と、(株)ファミリーマート、ユニー(株)を中心とする事業会社の強みを融合させたグループシナジーの最大化という2つの「統合」を最優先事項として進めています。中期経営計画で掲げた指針のうち、「店舗機能の強化」に際しては、伊藤忠グループとの連携がカギを握ると考えています。とりわけ金融、EC等の機能については、伊藤忠グループのリソースの活用に大きなメリットがあります。筆頭株主とはいえ、当社グループが伊藤忠商事を最大限に活用するというつもりで、当社グループの企業価値向上を追求していく考えです。