CFOインタビュー

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Q1. 2016年度の財務・資本戦略の総評を聞かせてください。

A1. お約束した以上の実績を示すことができました。

「Brand-new Deal 2017」の2年目となる2016年度の財務・資本戦略は、期初にお示しした「4つのコミットメント」をお約束した以上に果たすことができたと評価しています。
実質営業キャッシュ・フローは史上最高の4,200億円となり、実質フリー・キャッシュ・フローは3,000億円と「1,000億円以上」を大きく超過しました。稼いだ営業キャッシュ・フローの範囲内で投資を行うことの徹底や、資金効率への意識の高まり等、現場にもキャッシュ・フロー経営が浸透していることを肌で感じており、その結果は4期連続でほぼ4,000億円レベルの営業キャッシュ・フローが創出されていることに表れています。
連結株主資本は、史上最高額に迫る2兆4,019億円まで積み上がり、株主資本比率は史上最高水準となる29.6%となりました。その結果、NET DERも史上最も低い0.97倍となり、「NET DER1.0倍」というコミットメントも達成しました。ROEは「13.0%以上」を大きく上回る15.3%となり、他商社との比較において圧倒的優位なROEを確保できました。マーケットが期待する株主資本コストも十分にクリアしたという認識です。基本方針の一つである「財務体質強化」は、3カ年計画の2年目で目途をつけることができました。
他社に先んじて導入した「配当の下限保証」と「収益連動型の配当性向」に基づき、2016年度は「1株当たり55円の配当」というコミットメントを果たした上で、自己株式取得も実施し、更なる株主還元を図ることができました。(→株主価値)[PDF]

Q2. 成果が出ている事業会社管理について考えを聞かせてください。

A2. 分野分散は当社の強みです。

当社はこれまで、投資時の計画に対する下方乖離に加え、黒字であっても利益が資本コストを賄えない事業は整理統合の対象とする等、EXITを厳格に行ってきました。(→事業投資管理の高度化) [PDF]「稼ぐ・削 る・防ぐ」は事業会社にも浸透してきています。2016年度の黒字会社比率が86.4%と史上最高になり、過去最高益を更新した事業会社が73社に達したのは、こうした一貫した姿勢が、収益基盤の足腰の強さに繋がっているからだと考えています。
事業会社268社中、利益規模が100億円を超える事業会社は5社しかなく、75%以下の200社が20億円以下という点にご注目いただきたいと思います。こうした規模が小さい事業会社は、ハンズオンで丁寧な経営改善が可能です。更にそうした事業会社が幅広い領域に分散していることは、特定の分野で何か生じてもカバーできる、リスク分散が図られているということを意味しています。分野分散は、当社の大きな強みだと考えています。

Q3. 2017年度の財務・資本戦略のポイントを聞かせてください。

A3. 引続き潤沢なキャッシュ・フローの創出を目指します。

「Brand-new Deal 2017」の総仕上げの年に相応しい連結純利益4,000億円を目標に掲げる2017年度の財務・資本戦略では、引続きお約束したことを確実に達成していく考えです。2017年度は、2016年度を上回る以下の「4つのコミットメント」で中期経営計画の最終年度を締めくくる方針です。

4つのコミットメント

  1. 株主還元の充実
    • 前年度比9円増配、史上最高となる1株当たり64円を下限とする業績連動累進型の配当
    • 2016年度に引続き自己株買入を選択肢とする
  2. 実質フリー・キャッシュ・フロー
    • 1,000億円以上+α
  3. NET DER
    • 2017年度末は2016年度末の0.97倍を超える0.9倍を目指す
  4. ROE
    • 2017年度末は更なる株主資本の拡充等を行い、2016年度末の15.3%を上回る15.8%を見込む
      なお、中長期的にもNET DER 1.0倍程度及びグローバル水準となるROE13%以上は継続する方針

2015年にCITICに6,000億円の投資を実行しましたが、これまでの2年間でその投資額を上回る合計7,100億円の実質フリー・キャッシュ・フローを創出したという実績で、投資のコントロールを徹底していることをお示しすることができたと思います。最終年度も引続き確実性の高い案件を厳選すると共に、「削る・防ぐ」を着実に行いながらキャッシュ・コントロールを行い、潤沢な実質フリー・キャッシュ・フローの創出を目指していく考えです。その強い意志を込めたのが「+α」です。

[図]
  1. 「営業キャッシュ・フロー」–「運転資金等の増減」
  2. 実質的な出資及び設備投資に係る支出及び回収
    「投資CF」 + 「非支配持分との資本取引」–「貸付金の増減」等。
    CITIC出資を除く

Q4. 資本政策に関する基本方針を聞かせてください。

A4. 最適な「バランス」をとっていく考えです。

連結純利益の安定的な成長と同様に、「継続」は資金提供者に信頼していただくために大変重要なキーワードだと認識しています。株主への総還元、NET DERやROEの水準、そして厳選した優良な投資の実行について、これまで同様に最適なバランスをとっていく考えです。自己株買いに関するご要望が多いことは認識しています。2016年度に明確に舵を切りましたので、継続的に選択肢としていく考えです。このように「断絶」で信頼を裏切らない姿勢を徹底しながら、次期中期経営計画に繋げていきたいと考えています。

代表取締役
常務執行役員 CFO
鉢村 剛