SPECIAL FEATURE 01

「ビジネスの次世代化」に向けて

当社の「ビジネスの次世代化」における本当の狙いを正しくご理解いただくために、株主・投資家の皆様より頻繁にいただくご質問への回答という形でご説明していきます。

Q1 「ビジネスの次世代化」の意味を教えてください。

ANSWER

現在、「第4次産業革命」や「デジタル革命」と評される大きな変化が世の中で起こっており、当社グループにおいても、産業構造の変化に応じてビジネスモデルを変革させていく必要性があると考えています。既存のビジネスモデルの陳腐化を防ぐ一方で、新たな産業界のゲームチェンジに繋がる取組みを着実に実行していくことが重要であり、当社においては、それを「ビジネスの次世代化」と称しています。

Q2 「ビジネスの次世代化」に向けた投資方針について教えてください。

ANSWER

世の中では、先端技術・新素材の商品・サービスが非常に注目を浴びていますが、当社の「ビジネスの次世代化」は、先端技術・新素材の商品・サービス中心のビジネスだけにフォーカスするという意味ではありません。従来と同様、当社の強みである非資源分野を中心に「既存ビジネス」の進化・変革に繋がる投資と、先端技術・新素材の商品・サービスを含めた「新規ビジネス」に対する投資の両方をバランス良く行っていく方針です。

ビジネスの次世代化

Q3 「ビジネスの次世代化」を推進するにあたり、懸念点とその対応について教えてください。

ANSWER

現在、EC等の「消費者接点」を基盤とする巨大なプラットフォーマーが存在感を示す中、従来の商品基軸の「タテ割り」組織のみでは、今後、更なるビジネス展開を図っていく上で、限界に達する可能性があります。従って、当社は、「マーケットインの発想」からワンストップで商品・サービスの提供を可能にし、従来とは異なる新たな考え方でビジネスを行うべく「第8カンパニー」を設立しました。すべての社員が世の中の動きに対する感度を磨き、既存7カンパニー及び第8カンパニーにおいて、当社グループのビジネスを進化させ、更に拡大させていくことが重要です。

Q4 CDO(Chief Digital Officer)を新設する理由について教えてください。

ANSWER

異業種融合、カンパニー横断での取組みを加速し、新たな横串機能の強化を目的として、CDOを新設、従来の情報化戦略及び情報セキュリティ対策の統括等の機能を含むCDO・CIOとして、「ビジネスの次世代化」を更に推進することにしました。

RPAによる業務自動化と効率化
RPA(Robotic Process Automation)とは、人が行っている単純作業をソフトウェアロボットによって効率化・自動化する取組みです。人の代わりにパソコン操作を自動化することにより、作業の時間短縮や正確性の向上が図られると同時に、社員の限られた労働時間を高付加価値業務に配分するといった労働生産性の向上にも役立っています。また、知見を持つ当社のIT企画部が業務担当部署を全面的にサポートすることで、このRPAの構築や活用をより効果的に推進しています。将来的には当社のみならず、当社グループに展開することも想定しています。CDO・CIO傘下のIT企画部は、IT基盤の構築を通じて、経営戦略として掲げる全社的な業務効率の向上を支えています。

Q5 「ビジネスの次世代化」を推進するにあたり、伊藤忠の強みについて教えてください。

ANSWER

当社のベンチャー投資の歴史は、インターネット黎明期に差し掛かったばかりの1990年代前半まで遡り、米国のシリコンバレー等で有力ファンド等とのネットワークを構築し、ベンチャー投資のノウハウを蓄積してきました。また、当社はこれまでも、マーケットポジションを確立した領域に隣接、あるいは強みを発揮できる領域に進出し、「点」から「面」への展開を図ることで、既存ビジネスの収益を拡大してきた実績があります。「ビジネスの次世代化」においても、ベンチャー投資のネットワークやノウハウを活かし、同様のアプローチで推進していきます。加えて、当社には、グループシナジーを追求する上で戦略的に重要な事業会社やパートナーが多数あり、これも「ビジネスの次世代化」を進める上で、当社の強みとなっています。

Q6 2018年度における次世代化関連の投資実績について教えてください。

ANSWER

2018年度は、3つの分野(生活消費バリューチェーン、次世代モビリティ・電力、その他新技術活用)において、「ビジネスの次世代化」の先行布石としての投資を総額約300億円実施しました。今後、これらの投資については、先行布石からの戦略的事業化を推進し、早期収益貢献の実現を目指します。

Q7 次世代ビジネスにおいて、サステナビリティ関連の投資も含まれるのでしょうか。

ANSWER

当然、含みます。既に、循環型バイオマス飼料や環境に配慮した脱プラスチック素材等の新技術に投資しており、社会課題の解決を意識したビジネス展開を着実に推進しています。

CASE STUDY

2018年度は、ビジネスの次世代化を図るため、「生活消費バリューチェーン」「次世代モビリティ・電力」「その他新技術活用」の3つの分野で、総額約300億円の投資を実行し、先行布石を打ちました。

モビリティ

[写真]

世界に先駆けて、乗用車や物流トラック、公共交通機関が電気自動車に移行する中国市場において、中国全土で物流網に電気商用車を提供する「地上鉄」や、中国における新興EVメーカーである「奇点汽車」との資本提携を実現しました。
また、ライドシェア分野において乗合サービスを提供する最先端テクノロジー企業である北米「Via」との資本提携を実施しました。国内のタクシー会社やバス会社等の交通事業者・地方自治体・企業等へシステム提供を行うことで、日本が抱える交通課題の解決に積極的に取組んでいきます。

電力(蓄電池)

[写真]

英国「Moixa」社との資本提携によるAI技術を活用した電力利用最適化サービスに加え、北米「Sunnova」や「24M」との資本提携による、海外での太陽光発電設置世帯向けの蓄電池の展開や、需要が拡大する次世代リチウムイオン電池の開発により、蓄電池ビジネスを国内外で拡大していきます。

リテール(小売)

当社グループ最大の顧客接点である「ファミリーマート」をはじめとするリテールビジネスと親和性が高いデジタルマーケティングやフィンテック関連ビジネスにおいて、「フリークアウト」や「Paidy」との資本提携を進め、新たな収益機会の創造を加速していきます。

2018年度 「ビジネスの次世代化」投資実績

2018年度 「ビジネスの次世代化」投資実績の図