がん免疫細胞療法開発ベンチャー A-SEEDS社への出資について

2025年7月23日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太、以下「伊藤忠商事」)は、株式会社A-SEEDS(本社:長野県松本市、代表取締役:柳生 茂希、以下「A-SEEDS」)のシリーズA資金調達において、このたび第三者割当増資を引き受け、出資しました。

患者さん自身の免疫細胞(T細胞)に、がん細胞だけを探すアンテナ(CAR)を遺伝子改変により取り付け、増殖させてから体内に戻すがん免疫療法「CAR-T細胞療法」は、世界的に市場拡大が見込まれる治療法で、血液がんに対して有効な治療法として期待されています。一方で固形がんへの効果が限定的であること、製造コストや治療の複雑さ等が普及に向けた課題として挙げられています。

信州大学発のベンチャー企業であるA-SEEDSは、これまで適応疾患が一部の血液がんに限られていた「CAR-T細胞療法」において「非ウイルス遺伝子改変CAR-T細胞療法※1」という独自の技術・製法を確立し、ウイルス感染細胞やがん細胞を直接攻撃・排除するT細胞の疲弊防止、長期間にわたる薬効維持に加え、製造コストの低減を可能にしました。さらに固形がんを始めとした治療法の少ない患者さんに新たな治療法を届けることをミッションに掲げ、現在臨床ステージにある2つの開発治療法について、信州大学、国立がん研究センター東病院とそれぞれ第1相医師主導治験※2を進めています。今回の資金調達は、グローバル展開を見据え、オーストラリアで実施予定の製造・治験に充当されます。

伊藤忠商事では医薬・ヘルスケア領域を注力分野として位置付け、今回の資本提携に留まらず、A-SEEDSへの資材供給等によりA-SEEDSの開発・成長を支援し、更には当社ネットワークを活用して当該治療法を支える製薬・化学品業界との連携も進めてまいります。

今後も、医薬関連ビジネスで培ったノウハウを活用し、細胞療法を始めとした先進医療における事業展開を推進することで、いまだ有効な治療法がない疾患に対する医療ニーズ(アンメットメディカルニーズ)に対応し、人々が健康に暮らせる社会の実現を目指してまいります。

  • ※1CAR-T細胞の製法としてpiggyBac法というウイルスを用いないA-SEEDS独自の技術・製法を確立。ウイルスを用いた既存の製法とは異なり、T細胞の疲弊防止、長期間にわたる薬効維持及び製造コストの低減を可能としている。
  • ※2治験の3つのステップの第一段階で、少人数にて安全性を評価する臨床試験。医師が自ら研究者として主体的に行うもの。

細胞製造作業

細胞培養装置内