社長COO挨拶

社長COO挨拶

謹賀新年 「か・け・ふ」と“次世代化”

みなさん、あけましておめでとうございます。

全世界の伊藤忠グループの社員、並びにご家族の皆さんに、新年のお慶びを申し上げます。

【2018年の総括】
新年にあたり、まずは、簡単に昨年を振り返ってみたいと思います。昨年5月、歴史上初となる4,000億円台の連結純利益にて2017年度決算を公表したのに続き、2018年度計画も順調に推移した結果、10月には当初計画4,500億円を、これも史上初となる5,000億円に上方修正しました。配当金も83円と史上最高となり、株価についても、2,303円と最高値を更新するなど、記録更新が続いた年でありました。格付けも20年ぶりにA格が定着し、名実ともにトップ商社の地位を確立した一年となりました。

また、5月には新中期経営計画を発表し、「伊藤忠の商いの次世代化」をスタートさせました。ユニー・ファミリーマートの連結子会社化、パナマのディーラー事業、豪州での鉄鉱山開発、イラク油田権益獲得などに加えて、中国のEV会社や欧州のカーシェアへの出資、蓄電池ビジネスの本格展開といった新しい風も ございました。将来懸念の払拭としてCITICの減損も、断行いたしました。

創業160周年であった昨年2018年は、市場の期待にもしっかり応えることのできた、大変素晴らしい年であったと思います。

【2019年の経済環境】
さて、本年、2019年は創業161年目、新たな10年の始まりの年であります。これまでの勢いを持続させ、更なる記録の更新を目指したいと思いますが、いかんせん、足元の経済環境は極めて不透明な状況 です。

まだ好調に見える米国景気ですが、新築住宅着工件数は減少し、中古住宅販売市場も鈍化、米国経済もさすがにピークアウトの様相です。トランプ大統領の動きは、もはや予測もつかない世界経済の波乱要因になってまいりました。

中国もまた、米中貿易摩擦の本格化により、その先行きは大変心配です。中国政府は減税などの刺激策を総動員して、6%成長は下支えしてくれるとは思いますが、現地駐在員の話しを聞いても減速感は顕著になってきています。

こういった米国や中国の減速懸念は、商品需要の低下を招き、原油やパルプ市況も短期間で大きく下落しています。日経平均も年末はなんとか2万円を維持したものの、クリスマスにおける1,000円を超える急落は、実に10年前のリーマンショック以上の大幅な下げでありました。 2019年はこれまでとは違うという覚悟で臨んで頂きたいと思います。


課題① 景気後退への備え、「か・け・ふ」の強化

そこで、新年にあたり、本日、皆さんに三つのことをお願いしたいと思います。その一つ目が、「か・け・ふ」の徹底、特に、「削る」「防ぐ」の徹底であります。

景気に不透明感が強い時には、足元を固めることと、そして、変調を見逃さない勘と機敏さが大切となります。その基本が「稼ぐ!削る!防ぐ!」の「か・け・ふ」経営であります。

「稼ぐ」ためには、お客様のニーズを敏感に捉えることが大切ですが、この敏感さこそが、変調に気付く原動力となります。2019年は、お客様の変化や、市況の動きに、特に、注意を頂きたいと思います。最前線の営業の皆さんは、目先に忙しく、変化に気付かないということもあるかもしれません。そんな時こそ、職能部門の出番であります。営業の気付かぬ変化の兆候をしっかり見ぬく力を発揮して頂きたいと思います。

次に、「削る」ですが、どんなに効率が良くなった事業でも常に無駄は発生します。伊藤忠の事業会社の黒字比率は会社数では既に91%を超えてきていますが、中身を精査していくと、まだまだ改善できることはあるはずです。コツコツと削ることを怠ってはいけない、「削る」に終わりはないということであります。

更に「防ぐ」ですが、過去の経験からも、景気が悪化すると、不良債権の発生、減損、売却損、そして事業の撤退損など、負のスパイラルに入る危険が高くなります。個々の与信枠もきちんと見直し、大きなエクスポジャーは徐々に減らすなど、日々の管理にはこれまで以上に目を光らせるようにお願い致します。また、投資に際しては、高買いは絶対に避けなくてはいけません。右肩上がりの計画は見直し、景気の先行きをよく検証し、粘り強く交渉することが大切です。時には投資を見送る、待つということも、将来リスクの低減につながる「防ぐ」の一つと、心得て頂きたいと思います。

2019年は、景気後退モードを想定し、まずは「か・け・ふ」の強化をお願い致します。


課題② 「商いの次世代化」

二つ目のお願いは、新年にふさわしい挑戦のお願いです。中計で掲げている「商いの次世代化」に向けた挑戦についてお話します。

昨年、いろいろな場面で、第四次産業革命やデジタル革命により、世の中が急速に動いているとお話しました。業務部には次世代ビジネス推進の組織を創設し、ベンチャー投資や横断的な取組みも進みつつありますが、世の中のスピードはもっと早いのが現実です。例えば、伝統あるトヨタが新興のソフトバンクと提携し、歴史あるみずほ銀行は、若いLINEと組んで、新たな銀行を設立しました。

これまで、ものすごい勢いで成長してきた新興のネット企業も、更なる成長には、リアルを持つオールド企業と組むことを選び、一方で、オールド企業も、持続的成長を目指し、新興企業と組む時代になったということであります。

それでは、伊藤忠は、これからどうやって成長していくのか?伊藤忠の強みは、ネット企業にはない過去から積み上げてきた商流であり、それを可能にする人材であり、客先やパートナー企業との信頼関係、そして金融や情報・物流などの洗練された機能にあります。

生活消費の分野では、ファミリーマートのリアルな顧客接点と購買データこそ、ネット企業にはない新しい価値を生み出す宝です。本年も、ファミリーマートと共に、データ活用による商品開発力とバリューチェーンの強化に加え、金融・保険など周辺事業の収益化を、更に加速して頂きたいと思います。

電力分野においては、自由化や再生エネルギーなどの新しい動きに呼応し、蓄電池など電力バリューチェーンへの取り組みを更に強化頂き、情報・金融分野では、フィンテック、AI/IOTへの投資や、事業化を一層進めて頂きたいと思います。

機械カンパニーが投資した中国の奇点汽車には、私も昨年訪問しましたが、外見は自動車ですが、中身はまさにスマホのような新時代のプラットフォームというべき車でした。今後のEVのモデルとして、日本市場への応用も期待されています。「地上鉄」というEVトラックの運行管理事業への出資は、先日、NHKの「おはよう日本」で、「中国に学び新しい事業を立ち上げる」これまでにない流れとして紹介されました。

今や、中国は新技術や新しいビジネスモデルの創出という点で最先端です。技術覇権問題から米国が警戒を強めている面はありますが、中国は、伊藤忠にとってはまたとないビジネスチャンスを生み出す宝庫であります。 

昨年の岡藤CEOのメッセージにもありました如く、「ビジネスの次世代化」においては、新しいビジネスの「ルート」、「商流」を押さえていけるかが勝負の分かれ目です。2019年は「商いの次世代化」へ向けた重要な年になります。この一年を、今までにも増して、世の中の流れに敏感に、好奇心も高めて、皆さん自身の担当するビジネスの将来像を描きだす一年にして頂きたいと思います。


課題③ 海外事業について

本日の三つ目のお願い、最後のお願いが海外事業についてです。2019年、伊藤忠の更なる成長に向けては、次世代化に加えまして、海外収益拡大も大きなカギとなります。

昨年は、中国、台湾、中近東、アフリカ、北米、ロシアに出張致しました。重点地域である中国やアジアはもとより、北米の重要さにも変わりはなく、アフリカの成長性やロシアの資源や市場としての可能性も大変 楽しみではありますが、その中でも、伊藤忠の強みは、なんといってもやはり中国にあります。安倍総理の訪中にもみられる如く日本と中国の関係が今後新たなステージに入っていく中で、伊藤忠の2019年の成長の要も、やはり、中国となってまいります。

先ほども申し上げましたが、中国はシンセンにみられる如く、今やシリコンバレーにも匹敵する新しいビジネスの宝庫となっています。CITIC、CPという心強い戦略的パートナーを持つ伊藤忠は、他商社に比べ一歩も二歩も優位な立場にあります。中国語人材も1,000人を超え、新たな事業に挑戦する人材も育っています。アナリストも投資家も株主様も、伊藤忠の中国での次の一手に大きな関心を寄せています。ファミリーマートを中心とする生活消費分野、中国が先行する金融・フィンテック分野に加え、EVを中心とするモビリティ分野などが事業拡大の有望分野ですが、2019年は、今一度、全社一丸となって中国での事業展開を加速頂きたいと思います。


結び
以上、新年の私からのお願いは3つ。「か・け・ふ」、次世代化、海外事業、特に中国、の3つと覚えておいて頂きたいと思います。

伊藤忠のDNAは、「持ちくだり」を始めた伊藤忠兵衛の時代から、常に新しいものに挑戦することにあります。そして、株主様、投資家、お客様のご期待に応えるためには、あらゆる努力を惜しまない、それが 伊藤忠の商人としての心意気であります。

2019年、創業161年目のこの年を、まずは5,000億円という基盤を固める年、そして、次の10年への扉を開く、歴史に残る年にしたいと思います。皆さんの本年の一層の頑張りをお願い致します。

それでは、全世界の伊藤忠グループの皆さん、そしてそれを支えておられるご家族の皆さんの、御健勝と御活躍を祈念して、私からの新年の挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。 

以 上

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代表取締役社長COO 鈴木 善久
2019年1月4日