商船三井とのアンモニアバンカリング実証に関する覚書締結
2025年8月19日
伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太、以下「伊藤忠商事」)は、株式会社商船三井(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員:橋本 剛、以下「商船三井」)とアンモニアバンカリング実証等の共同開発に関する覚書(以下「本覚書」)を締結しました。
国際海事機関(IMO)は「2050年頃までに国際海運からの温室効果ガス(GHG)の排出をネットゼロにする」という国際目標の実現に向け、今年4月には、中期施策として、舶用燃料を段階的にGHG排出量の少ない代替燃料に転換する制度や、ゼロ・エミッション燃料船導入に対して経済的インセンティブを与える制度を含む条約改正案が、国際間で承認されました。この枠組みが発効すると、GHG排出量の少ない代替燃料供給に向けた取組みや、ゼロ・エミッション燃料船の導入が加速します。
代替燃料の中でも、アンモニアはゼロ・エミッション燃料として期待されており、アンモニア燃料船は現在多くの海事関係者が検討し、開発を進めております。その中で舶用アンモニア燃料供給を行うアンモニアバンカリング事業は、海事産業と燃料産業の接点であり、特にバンカリング船は燃料供給のラストワンマイルを担う重要な設備として世界でも注目されています。
伊藤忠商事は2025年6月に世界初となる新造5,000m3型アンモニアバンカリング船(以下「本船」)を発注、佐々木造船株式会社にて建造(シンガポール船籍、2027年竣工予定)し、本船でのアンモニアバンカリング実証を通じて、洋上での安全な舶用アンモニア燃料の供給オペレーションを確立します。その上で、シンガポール他の主要な海上交通要所でのアンモニアバンカリングの事業化を目指しています。
商船三井は、中国船舶集団青島北海造船有限公司にて世界初の竣工(2026-2027年竣工予定)となるアンモニア二元燃料ケープサイズバルカー3隻※を、CMB.TECH NV(本社:ベルギー)と共同保有の上、商船三井が定期用船を行います。
本覚書を通じて、アンモニアバンカリング船とアンモニア燃料船の先行者である両社が協力し、両社の実船を用いて、シンガポール沖合等で船から船へ舶用アンモニア燃料を供給するバンカリング実証等の具体的な共同開発を進めてまいります。両社は2027年下期に予定している実証を通じ、アンモニアバンカリング船・アンモニア燃料船の早期社会実装を目指します。
伊藤忠商事は、経営方針「The Brand-new Deal~利は川下にあり~」を掲げ、市場・社会等のあらゆるステークホールダーの声に耳を傾けながら、「SDGsへの貢献・取組強化」を推進しています。今後もアンモニア燃料船の「統合型プロジェクト」を推進し、アンモニア燃料船の早期の社会実装を実現することで、国際海運における脱炭素化に貢献してまいります。
- ※「アンモニア」と「従来燃料(主に重油など)」の両方の舶用燃料を使うことができる大型貨物船