北米IPP・フォックス発電所買収の件

2009年1月5日

この度、伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠」)は、子会社である北米・IPP事業会社のティア・エナジー社(Tyr Energy, Inc.、以下「ティア・エナジー」)を通してウィスコンシン州カウカウナに位置するフォックス発電所(Fox Energy Company LLC、593MW 天然ガス燃焼・コンバインドサイクル(複合火力方式)発電所)を保有するGEエナジー・ファイナンシャル・サービス社(GE Energy Financial Services、以下「GE」)より、その50%権益を買収致しました。 米国における発電所及び発電所開発に関わる権益の買収はティア・エナジーとしては6件目、買収が完了すると米国での持分発電容量は661MW(グロス発電容量は1,153MW)となります。

また、ティア・エナジー及びGEは本買収と同時に本プロジェクト向けにノンリコース・プロジェクトファイナンスを組成し、GEキャピタルマーケッツ(GE Capital Markets, Inc.) 、ユニオンバンク・オブ・カリフォルニア(Union Bank of California, N.A.), アイエヌジー・キャピタル(ING Capital LLC), ウェスト・エルビー(West LB AG)の4行との間で融資契約を締結致しました。

当発電所は、米国中西部の電力送電網の系統運用機能を担う独立機関(Independent System Operator、以下「ISO」())であるミッドウェストISO (Midwest ISO)の管轄地域に属しており、1号機は2005年6月、2号機は同12月に運転開始、地元のエネルギー・ユーティリティー会社であるウィスコンシン・パブリックサービス社(Wisconsin Public Service Corporation)との間に2016年まで500MW相当の売電契約を有しております。 また50MWの追焚(Duct Burner)発電分に関しては、ミッドウェストISOの管轄市場へ直接売電を行っており、同地域への電力安定供給に寄与しております。

本件買収完了後もGEが引き続き50%持分を保有するパートナーとなりますが、GEとは昨年度に売却完了したグリーンカントリー発電所案件(在 オクラホマ)においても持分パートナーとなっており、本年2月に買収完了したチェサピーク発電所案件(在 バージニア)においてはLenderとして同発電所向けにプロジェクトファイナンスを供与するなど、過去4件の協業実績があります。

伊藤忠は、引き続き世界最大の電力市場であると同時に、堅調な電力需要の伸びが見込まれる北米において、ティア・エナジーによる事業投資・事業運営機能、NAES Corporation(NAES)社による発電所運転・保守機能等これまでの実績を通して培った伊藤忠グループのノウハウを最大限活用し、優良発電資産の取得、及び取得資産の価値向上に取り組んで行く方針です。

  • ISO:域内電力の安定化を目的にFederal Energy Regulatory Commission (FERC: 連邦エネルギー規制委員会)指導の下組織されている電力系統の運営・管理組織。

Tyr Energy, Inc. 会社概要

代表取締役社長 宇佐美 薫
所在地 米国、カンザスシティー
主な事業概要 伊藤忠商事(株)と伊藤忠米国現地法人が共同で出資するIPP事業会社(主たる出資者は伊藤忠商事(株))であり、現在、2件の発電資産の保有(カリフォルニア5地点における計250MW発電所、及びバージニアにおける315MW発電所)及びバイオマス発電所の開発会社であるアメリカン・リニューアブルス社(在 ボストン)への出資を行っている。また、Tyr Energy社は現保有資産、及び第3者向けアセットマネージメントサービス実績多数。

NAES Corporation 会社概要

代表取締役社長 Thomas A. DeNova
所在地 米国、シアトル
主な事業概要

世界最大手の発電所運転保守サービス会社※1。現在は伊藤忠米国現地法人と伊藤忠商事(株)が共同で出資する(主たる出資者は伊藤忠米国現地法人)。
これまで世界10カ国、約140発電所(発電所容量ベース:約3万7千MW相当)に対する発電所運転保守サービス供与の実績がある。発電所運転保守サービス以外にもタービン、ボイラー等の発電所機器メンテナンスサービスも供与する。

  1. 外部向けにサービスを提供する発電所運転・保守会社の中でトップシェア。

取組図

[図]