米国西海岸最大級の穀物輸出施設新設について
2009年6月2日
この度、伊藤忠商事(株)(本社東京都港区)は、穀物メジャーのBunge North America(本社セントルイス)及び韓国最大のバルクキャリアーの米国法人であるSTX Pan Ocean (America), Inc.(本社ニューヨーク)と共同で、2億ドル強を投じ米国西海岸最大級となる穀物輸出施設を新設することに合意しました。
三社の合弁による新会社は、米国ワシントン州ロングビューに西海岸最大級の穀物輸出施設を建設いたします。米国における穀物輸出施設の新設は1980年代初頭以来のこととなります。新設される穀物輸出施設は、ループ式の線路敷設により貨車受入の効率を大幅に引き上げることで、同地域で最高率の穀物受入能力を有し、また最新鋭機材を導入することで最大の穀物積出能力を備えます。また、コロンビア川におけるはしけ輸送による穀物の受け入れも行う予定であり、小麦、大豆、とうもろこし、副産物等、年間約800万トンの取扱いを目指していきます。
人口増加や所得レベルの向上を背景に成長著しい中国・アジア市場の拡大、また世界レベルでのバイオ燃料増産なども加わり、穀物需要が増大してきております。一方、食の安心安全に対する消費者ニーズも高まっており、質量両面において食糧資源を安定確保することが、日本を始めとしたアジア各国における大きな課題となっております。本事業は世界的な穀物メジャーとして強力な穀物オペレーション力を持つBunge、グローバルに海運業を展開するSTX Pan Ocean、日本・中国・アジアにおいて川中・川下分野を含め顧客基盤に強いネットワークを持つ伊藤忠がパートナーとなり、地理的優位性の高い米国西海岸において、最大級・最効率となる穀物輸出施設を新設するものです。
伊藤忠はグローバル・バリューチェーンの構築を目指すSIS(Strategic Integrated System)戦略を推進しておりますが、本事業は川上における食糧資源供給体制作りの一環として位置づけております。日本・中国を含むアジア市場のユーザー向けに食用・飼料用穀物・油糧種子等の安定供給と食の安心・安全の提供を行っていくものであり、グローバル・バリューチェーンの構築に大きく貢献する事業と考えております。
新会社概要
社名 | EGT Development, LLC |
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所在地 | 本社オレゴン州ポートランド |
設立 | 2009年6月 |
株主構成 | Bunge North America (Bunge Limitedの100%子会社) 51% 伊藤忠商事・ITOCHU International Inc. 計29% (伊藤忠商事4%、当社米国法人25%) STX Pan Ocean (America), Inc. (STX Pan Ocean Co., Ltd.の100%米国法人) 20% |
総投資額 | 2億ドル超 |
従業員 | 約50名 |
輸出施設概要
所在地 | 輸出エレベーター ワシントン州ロングビュー |
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取扱数量目標 | 約800万トン |
着工 | 2009年6月 |
操業開始 | 2011年秋口稼動の予定 |
出資会社概要
Bunge North America, Inc.
本社所在地 | 米国ミズーリ州セントルイス |
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穀物メジャーBunge Limitedの100%子会社。
Bungeは世界各国で穀物関連事業を運営。特に南米での穀物物流の展開、搾油事業に強み。
08年9月、Bunge保有のブラジルでのエタノール事業会社2社に対して伊藤忠として20%出資。
STX Pan Ocean (America), Inc.
本社所在地 | 米国ニューヨーク |
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韓国資本STXグループ内で海運業を行うSTX Pan Oceanの100%米国法人。
STX Pan Oceanは世界有数の総合的な海上輸送業者かつバルク分野において韓国最大(年間取扱は約9,000万トン。内、穀物は約2,000万トン)。
STXグループは他に造船、エンジン製造、プラント等を手がけている。