米国最大級のバイオマス発電所開発について

2009年10月23日

伊藤忠商事株式会社が北米・IPP事業会社のティア・エナジー社(Tyr Energy, Inc.)を通して49%出資しているバイオマス発電事業開発会社・アメリカン・リニューアブルス(American Renewables(AR))社(本社:ボストン)は、この度テキサス州東部にて開発中であった米国最大級の100MW木屑焚バイオマス発電所・ナコドチェス・パワープロジェクトの開発フェーズを終え※1、その全開発権益を米国大手電力会社・Southern Company子会社のSouthern Power Company(SPC)社に権益を譲渡いたしました。

今回の権益譲渡により、本プロジェクトは建設フェーズに移行し、2012年夏頃に商業運転開始をする予定であり、その後、電力引取契約に基づき、地元自治体が所有する公営電力会社・Austin Energy社に対して20年間に亘って売電を行います。

伊藤忠商事は米国において再生可能エネルギー導入が加速してきていることを背景に、ティア・エナジー社を通して2008年8月にパートナーであるBayCorp Holdings社、及びEnergy Management, Inc.社と共にAR社を設立し、再生可能エネルギーの中でも安定的な電力供給が可能なバイオマス発電所開発事業を進めて参りました。

AR社は、今回の第一号案件の開発実績を生かし、引き続きバイオマス発電事業開発に注力し、米国における同分野のリーディングカンパニーを目指します。

本件は、伊藤忠商事としても北米における初めての再生可能エネルギー発電所開発における初の実績となります。伊藤忠商事は、今後もTyr Energy社による事業投資・事業運営機能、NAES Corporation社による発電所運転・保守機能等これまでの実績を通して培った伊藤忠グループのノウハウを最大限活用し、米国において従来型発電所の買収、事業運営、開発のみならず、再生可能エネルギー案件の開発事業にも積極的に関与し、地球環境の保全に寄与して参ります。

※1 ここでの発電所「開発フェーズ」は、発電所用地取得、許認可取得、及び売電契約、燃料調達契約、発電所建設請負契約等関連契約の締結を意味する。

Southern Power Company社概要 (本社:アトランタ、ジョージア州)

アトランタを本社として米国南東部を中心に合計42,000MWの発電容量、及び送配電網を保有する全米最大規模の電力会社・Southern Companyグループ企業。南東部最大の卸売電力事業者であり、公営電力会社、電力共同組合、及び私営電力会社に対して卸売電力事業を手掛ける。発電資産は南東部を中心とし、アラバマ、ジョージア、フロリダ、ノースカロライナにて7,500MW以上を保有しており、現在、ノースカロライナ、テキサスにて820MWの新規発電所を開発中。

BayCorp Holdings, Ltd. 社概要(本社:ポーツマス、ニューハンプシャー州)

BayCorp社は1996年に設立され、2005年からグローバルな投資会社であるタビストックグループ(The Tavistock Group)のグループ会社となった。タビストックグループは30年前に投資家ジョー・ルイスが設立し、現在は15カ国、170社への投資を行っている。
BayCorp社は天然ガス、石油生産、電力分野の開発型資産を保有するエネルギー企業であり、電力分野ではシーブルック原子力発電所(ニューハンプシャー)の株主であった経験も有している。現在は、バーモントにおける水力発電所、及びテキサス州において石油、天然ガス開発・生産等を手掛けている他、原油、石油精製品のトレーディングを手掛けるHoustonStreet社の主要株主でもある。

Energy Management, Inc. 社概要(本社:ボストン、マサチューセッツ州)

EMI社は設立後30年以上の実績を有するIPP事業開発会社。1986年にEMI社はニューハンプシャーにおいて15MWの木屑焚火力発電所(Alexandria Power Associates社)を開発し、その後6地点において合計860MWのガス焚火力発電所発電所(マーチャント発電所※2第一号案件含む)を開発した実績を有する。現在は、マサチューセッツ沖にて470MWの洋上風力発電所(Cape Wind Project)を開発中。

※2 特定の電力会社との間で売電契約を持たず、電力卸売市場へ発電した電気を販売していくビジネスモデル。

Tyr Energy, Inc.社概要 (本社:オーバーランドパーク、カンザス州)

代表取締役社長 : 宇佐美 薫
主な事業概要 : 伊藤忠商事(株)と伊藤忠米国現地法人が共同で出資するIPP事業会社(主たる出資者は伊藤忠商事(株))であり、現在、ティアキャピタル経由でカリフォルニア州に5箇所(250MW)、独自にバージニア州、及びウィスコンシン州の2箇所(計915MW)、計7地点にて持分容量ベースで665MWを保有。また、Tyr Energy社は現保有資産、及び第3者向けアセットマネージメントサービス実績多数。

NAES Corporation社概要: (本社:シアトル、ワシントン州)

代表取締役社長 : Thomas A. DeNova
主な事業概要 : 世界最大手の発電所運転保守サービス会社※3。現在は伊藤忠米国現地法人と伊藤忠商事(株)が共同で出資する。(主たる出資者は伊藤忠米国現地法人)。
現在、北中南米10カ国・合計105発電所(発電所容量ベース:約30GW)に対して発電所運転保守サービスを供与中。また、バイオマス発電所についても10発電所/269MWの実績があり、同種発電所オペレーターとしてはトップシェアを持つ。発電所運転保守サービス以外にもタービン、ボイラー等の発電所機器メンテナンスサービスも供与する。

※3 外部向けにサービスを提供する発電所運転・保守会社の中でトップシェア。

案件所在地

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