マレーシアにおけるバイオマス燃料製造事業について

2009年11月24日

伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」)は、世界最大のパーム搾油事業者のFELDA Palm Industries Sdn.Bhd.(本社クアラルンプール 以下「FPI社」)とマレーシアにおいて固形バイオマス燃料製造事業を行う合弁会社を設立することに合意しました。

両社による合弁会社は、パーム油の搾油工程で発生する残渣物であるパーム空果房(Empty Fruit Bunch、以下「EFB」)を原料に固形バイオマス燃料「EFBペレット」を製造する工場をマレーシア、ジョホール州に新設致します。EFBはパーム搾油工場で大量に発生する上、繊維質で水分が高いため用途開発が進んでおらず、産地にて有効利用が課題になっていました。また、「EFBペレット」は食糧および他用途との競合が少ない、非常に画期的な固形バイオマス燃料です。今後、生産体制を拡充し、将来的には年産12万トン以上の業容拡大を予定しております。

合弁会社が製造する「EFBペレット」は伊藤忠商事を通じて日本の電力会社へ納入することとしており、既に伊藤忠商事は日本の電力会社への販売を合意しております。「EFBペレット」が工業用ボイラーの燃料用途として商業規模で導入されるのは世界で初めての試みです。

昨今、地球温暖化問題を背景に温室効果ガスの排出削減が大きな課題となっており、温室効果ガスの削減に貢献するバイオマス燃料に対する需要は世界各国で増大しております。日本においても2003年4月に施行された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」により電気事業者は一定量以上のバイオマス等の再生可能エネルギーの利用を義務付けられており、現在電気事業者によるバイオマス燃料の導入が相次いでおります。伊藤忠商事は、今後の環境問題の重要性を考えるとバイオマス燃料市場の拡大余地は大きいと判断しており、本事業を通じて新エネルギー関連ビジネスの拡大を進めて参ります。

  • パーム空果房(Empty Fruit Bunch)
    パーム搾油の初期工程で、パームの房から実を取った際に発生する残渣物であり、その発生量はパーム油の生産量と同程度となる

合弁会社概要

社名  FNI Biofuel Sdn. Bhd.
事業内容  バイオマス燃料の製造・販売
本社所在地  マレーシア クアラルンプール
工場所在地  マレーシア ジョホール州
資本金  6,500千リンギット(約1.5億円)
資本構成  FPI社 59%、伊藤忠 41%
生産能力  24,000トン/年
操業開始  2010年秋口稼働の予定

FPI社概要

社名 FELDA Palm Industries Sdn. Bhd.
事業内容 パーム油の搾油・販売
本社所在地 マレーシア クアラルンプール
代表者 Chairman of the Board:Tan Sri Dr Mohd Yusof Noor
CEO:Abdul Halim Ahmad
売上高 10,330百万リンギット(約2,580億円)
資本金 202百万リンギット(約50億円)
株主構成 Felda Holdings Bhd.(持株会社)72%
Koperasi Permodalan Felda(国営基金運用会社)28%
パーム油生産量 313万トン(2008年、世界生産量の8%、マレーシア国内生産量の18%)
マレーシア国内に70以上のパーム搾油工場を有する
EFB発生量 325万トン(2008年、推定)