クリーンエネルギーを活用した低炭素交通社会システムの共同実証プロジェクトについて

2009年11月27日

伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」)並びに協力企業各社※1は、つくば市※2とのクリーンエネルギーを活用した低炭素交通社会システムの共同実証プロジェクト(以下「本プロジェクト」)を、2010年3月から実施します。日本固有のインフラネットワークであるコンビニエンスストアやガソリンスタンドを利用した国内初のスマートグリッドにも関連した取組みです。本プロジェクトは、株式会社ファミリーマート(以下「ファミリーマート」)の店舗や伊藤忠エネクス株式会社(以下「伊藤忠エネクス」)のガソリンスタンドをベースとし、電気自動車、急速充電器、定置用蓄電池、太陽光発電及びカーシェアリングを連携させた低炭素交通社会システムを実証するための総合的、複合的な取組みです。また、アドバイザリーコミッティーとして、つくば市、独立行政法人産業技術総合研究所、財団法人日本自動車研究所や株式会社日本総合研究所、電力会社他が参画し、実証を通して得られるデータを共有し、助言や提言を仰ぐことで、システムの最適化に反映させます。

本プロジェクトは以下3つの柱から構成され、いずれも国内初となる新規性ある取組みです。
1.車載電池の定置用2次利用モデルの実証
 ・電池リモート状態監視を含め、車載電池を定置用途に利用するためのシステム開発
2.再生可能エネルギーの電気自動車並びに店舗への最適有効活用モデルの検証
 ・ICT技術を活用した効率的蓄電と制御技術により、太陽光によって発電した電力の電気自動車と店舗での
  有効活用システムの開発
3.低炭素交通社会実現に向けた新サービスの実証
 ・コンビニエンスストアをベースとした電気自動車によるカーシェアシステムの導入
 ・非接触式ICカードによる急速充電器の課金システムとカーシェアシステムの連動

具体的には、つくば市の公用車、ファミリーマートの社用車、そして地域住民や出張者用のカーシェアリング車両として電気自動車を配備します。電気自動車は、マツダ株式会社(以下「マツダ」)が、同社の電気駆動開発活動の一環として、ベース車両となるマツダ・デミオを提供し、米国のEnerDel Inc(以下「エナデル」)の車載リチウムイオン電池システムを搭載する為の改造に多面的に協力します。また、市内のファミリーマート「つくば研究学園店」及び伊藤忠エネクスのガソリンスタンド「学園東大通りCS店」に、急速充電器、定置用蓄電池、太陽光発電を設置し、太陽光で発電した電力を電気自動車に給電するとともに店舗内でも活用します。定置用蓄電池を設置することで、昼間太陽光で発電した電力を、夜間に電気自動車への給電として利用することが出来ます。これら一連のサイクルにおける車載及び定置用電池の充放電及び磨耗・劣化データを、ICT技術を利用してリモート監視・収集することで、車載電池の2次利用の研究に役立てます。さらに電池システムの使用状況の“履歴・カルテ”を作成し、性能評価と製品保証の仕組みを構築することで、2次利用市場への普及促進と電池価格低減を目指します。

※1 協力企業一覧と各社役割

マツダ株式会社 ベース車両のデミオ提供、電気自動車への改造支援、完成車の性能評価
株式会社ファミリーマート コンビニエンスストア実証サイト(店舗)提供
伊藤忠エネクス株式会社 ガソリンスタンド実証サイト(店舗)提供
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 ICT技術、データセンター提供
株式会社オリエントコーポレーション 非接触式ICカード、クレジット決済機能提供
東京センチュリーリース株式会社 店舗設備のファイナンス機能提供
日本カーソリューションズ株式会社 車両のリース機能提供
株式会社東京アールアンドデー 電気自動車への改造
EnerDel Inc (米国) 車載用リチウム電池、定置用リチウム蓄電池の提供
Th!nk (ノルウェー) 自動車パーツ提供
株式会社キューキ 急速充電器提供
株式会社正興電機製作所 定置用蓄電池システム提供
株式会社日本エコシステム 太陽光発電システム提供
ウインド・カー株式会社 カーシェアリング オペレーション機能提供

アドバイザリーコミッティー

つくば市
独立行政法人 産業技術総合研究所
財団法人 日本自動車研究所
株式会社 日本総合研究所

※2 つくば市の環境への取り組みについて

2007年に、国立環境研究所や産業技術総合研究所等の6機関が筑波大学を中心に連携し、つくば3E(環境、エネルギー、経済)フォーラムが発足して、つくばを低炭素のエコシティとして発展させる最先端の取組みが始まりました。2030年までに、つくばの一人当たりの二酸化炭素排出量を現在の50%まで削減することを目標に掲げ、「つくば環境スタイル」を国内外に発信、波及を目指しています。市との協力協定に参加している各研究機関並びに市民・NPO・事業者の協働の下、5ヵ年の具体的な事業「つくば環境スタイル行動計画」をまとめました。今回の実証は、その中でも柱となる「実験タウン」の下で、伊藤忠商事を事業主体として取組みを行うものであります。

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