伊藤忠商事、Mapletree社と物流施設特化型の共同投資ファンド設立

物流施設の開発から保有まで一貫システム確立

2009年12月7日

伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」)は、Mapletree Investments Pte Ltd社(本社:シンガポール、CEO:Hiew Yoon Khong、以下「Mapletree」※1)と日本国内の物流施設不動産の開発・保有を目的とする、共同投資ファンドを設立することにつき、12月4日付合意致しました。

共同ファンド骨子

投資対象資産

日本国内の首都圏及び主要地方都市のBTS※2開発型物流施設

目標資産規模 500億円予定
設立時期 2010年1月末予定

伊藤忠商事は2004年以降、物流特化型の私募ファンドを組成・運営(運用資産実績累計約500億円)して参りました。最大の特徴は、他社が港湾エリアの常温(ドライ)、マルチタイプ型物流センターを中心に運用してきた中で、取引先等の顧客ニーズに基づくBTS型物流センターを軸に内陸エリアの多温度帯(ドライ・チルド・フローズン)物流センターの開発・保有ビジネスモデルを確立したことにあります。

日本の不動産マーケットは昨秋のリーマンショック以降、金融マーケット悪化の影響を受け、現在も低迷しており、物流施設に対しての新規投資はしばらく困難な状況が続くと見込まれています。一方で物流・運輸業界においては、物流サービスの高度化・物流コスト削減に対応するための物流拠点の統廃合並びに最適スペックを擁した物流施設への需要が根強いことも事実であります。

このようなマーケット環境に対し、伊藤忠商事は総合商社としての機能を活かし、他社に先駆けて本ファンドを設立・投資することにより、物流施設特化型ファンド事業における重要なファクターである「顧客ニーズ(新規施設開発・既存施設流動化)」に対応して参ります。またこれまで培って参りました物流施設開発・保有運営ノウハウの集結に加え、伊藤忠商事の持つ「商流」+「物流」のネットワーク力と不動産情報力を提供することで、本ビジネスの更なる拡大を目指して参ります。

一方で、Mapeltreeはアジアでの不動産投資を積極的に展開しており、シンガポール証券市場においてREIT上場しているMapletree Logistics Trust(以下「MLT」※3)のメインスポンサーです。日本国内の物流施設への投資は、伊藤忠商事との連携により、2007年に開始し、以降順調に推進してきております。伊藤忠商事は、Mapletreeの資金調達力・ファンドマネジメント力に大きな信頼と期待を寄せており、本ファンド資産についても、Mapletreeのポートフォリオ拡大戦略に基づき、将来のMLTへの組入れを視野に入れております。

また、伊藤忠商事は2005年10月のMapletreeとの業務提携契約締結以降、物件供給・人材交流等、戦略的パートナーとしての関係を強化して参りました。今般、伊藤忠商事とMapletreeは日本・その他アジア地域において、物流施設分野のみならず、インダストリアル施設含めたその他分野についても共同取組を検討開始することで合意し、同じく12月4日付で業務提携契約を更新、再締結いたしました。

  1. Mapletreeについて
    ・2000年12月18日設立。
    ・Temasek Holdings Ltd. (シンガポール政府投資公社)が100%株主。
    ・シンガポール政府港湾庁(PSA)の不動産部門を分離、PSAが保有していた施設・資産を譲り受け、不動産会社としてスタート。
  2. BTS(Build To Suit)型物流施設
    ・運営者(テナント)の希望する立地・建築スペックに基づき、開発するテナント専用の物流施設。
  3. MLTについて
    ・2005年7月 シンガポールREIT上場。
    ・投資対象国はシンガポール、香港、日本、韓国、中国、マレーシア、ベトナム等
    ・現状総資産約1,900億円(内日本の資産約380億円)