米国クリーンエネルギー・ホールディング会社 Ener1社の第三者割当増資引き受けについて

2009年12月7日

伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」)はEner1社(エナール・ワン、本社:米国ニューヨーク州ニューヨーク、NASDAQ:HEV、以下「Ener1」)が実施する第三者割当増資(以下「本増資」)を引き受けます。引き受け額はUS$20百万です。伊藤忠商事では、2003年にEner1に出資をしており、本増資引き受け後の出資比率は5%弱となります。2009年12月1日に増資契約を締結、2009年12月10日までに実行予定です。

現在、電気自動車の中核要素として、リチウムイオン電池が注目を集めている中で、Ener1の100%子会社であるEnerDel社(エナデル、本社:米国インディアナ州インディアナポリス、 以下「EnerDel」)は、OEMレベルの車載用のリチウムイオン電池システムを製造可能な電池メーカーです。米国内で唯一、セルから電池システムまで一貫して開発・製造できる量産設備を持っており、2009年8月には米国政府が実施するグリーンニューディールの一環で助成金$118.5百万ドルを獲得しています。既に、スウェーデンのVolvo社やノルウェーの電気自動車メーカーTh!nk社※1等への電池システムの供給が決まっています。定置用蓄電池の分野においても、2009年11月に米国政府の助成金を獲得したPortland General Electric (PGE) 社のスマートグリッド実証試験向けに、1メガワット級定置用蓄電池システム5基を供給することが決定しています。

本増資引き受けにより、伊藤忠商事は、EnerDel をはじめとするEner1グループとの関係をさらに強化することで、製品販売をはじめとするリチウムイオン電池関連の総合ビジネスを強化し、2012年度のリチウムイオン電池関連事業の売上350億円を目標とします。

「蓄電池」分野は、伊藤忠商事が掲げる中期経営計画「Frontiere 2010」の注力分野「LINEs」※2の中でも、「太陽光」「水関連」と並んで特に重点的に取り組む分野です。蓄電池関連については製造装置のトレードを皮切りに13年前より取り組みを開始しており、Ener1に対しては2003年に出資を行い、その後出向者を派遣、中核企業である EnerDelの事業計画立案、立ち上げ支援等を中心に取り組んできました。また、伊藤忠商事はつくば市での「クリーンエネルギーを活用した低炭素交通社会システムの共同実証プロジェクト」において、EnerDelの電池システムを電気自動車だけでなく定置用蓄電池としても活用し、車載電池の再利用モデルの実証を行います。伊藤忠商事は、リチウムイオン電池関連事業において、原材料、製造装置の販売から電池の二次利用まで幅広くビジネス展開を進めており、本増資引き受けは重要かつ戦略的な位置づけています。 

Ener1グループについて

持ち株会社Ener1を中心に、クリーンエネルギー分野の基幹技術に強みを持つ企業によって形成されるホールディンググループ。グループ企業には、リチウムイオン電池メーカーのEnerDelをはじめ、韓国でリチウムイオン電池の製造・販売を行うEnerTech社(本社:韓国ソウル)、燃料電池の開発・製造・販売を行うEnerFuel社(本社:米国フロリダ州ウエストパームビーチ)、ナノテクノロジーをベースとした材料及び加工装置の開発を行うNanoEner社(本社:米国フロリダ州フォートローダーデール)がある。また、Th!nkに31%出資しており、筆頭株主。

  1. Th!nk社について
    ノルウェーにある電気自動車メーカー。1992年創業。1999年から2003年までFordが保有。欧米の衝突安全試験をクリアしており、現在欧州を中心にThink Cityを販売中。
  2. LINEsについて
    ライフケア分野Life Care、インフラ分野Infrastructure、先端技術分野New Technologies & Materials、環境・新エネルギー分野Environment & New Energy、synergyの頭文字を組み合わせた略称。

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