中国 寧波杉杉股份とリチウムイオン電池正極材製造で基本合意

2010年2月9日

伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」)と戸田工業株式会社(本社:広島県大竹市、代表取締役社長:戸田俊行、以下「戸田工業」)は、寧波杉杉股有限公司(本社:浙江省寧波市、法定代表者:庄巍、以下「寧波杉杉」)の子会社でリチウムイオン電池の正極材製造分野では中国トップクラスである湖南杉杉新材料有限公司(本社:湖南省長沙市、法定代表者:李智華、以下「湖南杉杉」)に共同出資することで基本合意いたしました。
本年4月に出資を行い、順次製品ラインナップを充実し生産能力の増強を図って参ります。
なお、戸田工業と伊藤忠商事で設立するSPCにて当初は25%出資を行い、その後50%の取得を目指します。

市場背景

リチウムイオン電池は携帯電話やパソコン向けに加え、環境対応車(ハイブリッド車、電気自動車・バス等)の本格普及で大幅な市場拡大が期待されています。加えて、太陽光発電設備等の拡充に伴う大型蓄電池分野でのリチウムイオン電池の活用といった新規需要も期待され、正極材の世界市場は、現在の年間3~4万トンから2020年には8~10倍程度まで拡大することも期待され、中国においても同様に大きな伸びが見込まれています。また中国は巨大市場であるだけなく、グローバル市場を見据えた生産拠点としても、その重要性が高まっています。

合弁の位置づけ

戸田工業は、正極材事業を民生用から出発し、現在は自動車、大型蓄電池用まで広げ、製品の品揃えではコバルト系、ニッケル系、三元系、マンガン系、さらには鉄系まで増やしつつあります。また生産拠点は、日本国内のみならず、カナダでのニッケル系正極材料の原料である前駆体の生産、2011年からは米国でのニッケル系の生産開始を予定しておりグローバルにその生産拠点を拡大しています。今回は更に巨大市場である中国での事業拡大を目指すものです。
伊藤忠商事は、中期経営計画「Frontiere 2010」の中で環境・新エネルギー関連事業を注力分野とし、中でも蓄電池分野を重点分野と位置づけ、全社横断的に取り組んでいます。これまでの米国のリチウムイオン電池メーカーであるEnerDel社を傘下に持つEner1社への出資、つくば市における低炭素交通社会システムの共同実証プロジェクトへの参画などに加えて、今後は天然資源確保から蓄電池用部材、蓄電池生産、スマートグリッドビジネスを含めたバリューチェーン構築を加速する方針です。

また、伊藤忠商事は2009年2月に寧波杉杉股份の親会社である杉杉集団有限公司と資本業務提携を行い、相互の企業価値の拡大を目指しています。今回の合意は、杉杉グループの既存のプラットホームと戸田工業の幅広い高度な技術とノウハウを活用し中国で最強の正極材メーカー目指すもので、本提携後に検討を開始した重要案件の1つとなっています。
寧波杉杉は傘下にリチウムイオン電池材料関連の正極材・負極材・電解液工場があり、中国を代表する総合電池部材製造グループになっております。中でも正極材を製造する湖南杉杉はコバルト系を中心とする中国でもトップクラスの大手正極材メーカーで、現在年間4,000トンの生産能力を有し、中国の大手電池メーカーのメインサプライヤーとして高い評価を得ています。今後のさらなる需要拡大をにらみ、戸田工業との提携により三元系、マンガン系など製品バリエーションを広げ、中国国内のより多様なニーズに対応して行く方針です。

リチウムイオン電池市場は、特に自動車用途を中心とする新規分野において高容量かつ安全性の高い正極材の開発が急務となっており、高度な技術をもつ戸田工業と、中国国内の優れた生産設備と強固な顧客基盤を持つ湖南杉杉、グローバルなマーケティングネットワークを持つ伊藤忠の機能を活かし、成長著しい同市場の新規需要を最大限に取り込んでいく方針です。

参考 会社概要

会社名 湖南杉杉新材料有限公司
本社所在地 中国 湖南省 長沙市
代表者 李智華
李智華 2003年11月

資本金 

50百万元
売上 687百万元(2008年度)
出資比率 寧波杉杉股份有限公司 100%
生産品目

LCO(コバルト酸リチウム)

LNCM(3元系リチウム)

LMO(マンガン酸リチウム)

LFP(オリビン系)
生産能力 現状年産4,000トン