サウジアラビアで初となる海水淡水化用逆浸透膜エレメントの製造・販売会社を設立

2010年2月18日

伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」)は、東洋紡績株式会社(以下、東洋紡)、サウジアラビアのArabian Company for Water & Power Development(ACWA Power Development、以下、APD)、と合弁で、サウジアラビアに海水淡水化用逆浸透膜エレメントの製造・販売会社を設立することに合意し、合弁契約を締結しました。本年3月に合弁会社を設立、2011年3月を目処に生産を開始する予定です。

1.合弁会社の概要(予定)

社名 Arabian Japanese Membrane Company, LLC(アラビアンジャパニーズメンブレンカンパニー有限責任会社)
設立 2010年3月
資本金 当初約2億円(総投資額約7億円)
出資比率 APD49%、東洋紡36.1%、伊藤忠商事14.9%
所在地 本社・工場:ラービグ市(Rabigh Plus Tech Park 内)、営業:リヤド市
事業内容 海水淡水化用逆浸透膜エレメントの製造・販売

2.合弁会社設立の背景

サウジアラビアでは水資源の確保が重要な課題となっており、同国は世界最大規模(造水量ベース)の海水淡水化市場を有しています。

伊藤忠商事は、1970年代から中東地域における海水淡水化プラントの多数の納入実績を持っています。これまでに当社は東洋紡と協働で同(中東)地域における同社逆浸透膜の販売・営業活動を行っており、APDとも海水淡水化プラント事業に関連する合弁会社を設立しています。
東洋紡は、海水淡水化事業において独自の技術と20年を超える実績により、中東で最大級のサウジアラビア・シュケイク地区(日量24万立方メートル)やラービグ地区(日量22万立方メートル)の海水淡水化施設に採用されるなど、中東湾岸諸国では海水淡水化逆浸透膜の50%以上のシェアを誇っています。日本では、国内最大の「海の中道奈多海水淡水化センター」(2005年6月稼動、日量5万立方メートル、福岡市)にも採用されています。
サウジアラビアのAPDは、同国における主要なIWPP(独立系水・電力事業)案件に出資するなど、同国のインフラ事業における有力企業として事業展開しています。以上の理由から、海水淡水化事業の拡大を図るために、伊藤忠、東洋紡、APDの3社で同国に海水淡水化用逆浸透膜エレメントの製造・販売会社を設立することに合意しました。この会社は、同国初の海水淡水化用逆浸透膜エレメントの製造・販売会社となります。

3.今後の予定

本年3月に合弁会社を設立、2011年3月を目処に生産を開始する予定です。新会社は今後ますます拡大が期待される中東地域の海水淡水化市場における事業拡大の拠点として、サウジアラビアのみならず、その他の中東、北アフリカ諸国にも海水淡水化用逆浸透膜エレメントを広く販売していく予定です。
合弁会社は、2011年に売上15億円、2015年に40億円を目指します。

4.その他

当事業は、財団法人中東協力センターの「日本・サウジアラビア産業協力支援事業」の支援対象となっています。 (http://www.saudiarabia-jccme.jp/[別ウインドウで開きます]

  • 海水淡水化用逆浸透膜エレメントについて
    海水淡水化用逆浸透膜エレメントとは、海水を淡水にろ過する中空糸で構成される基幹部材です。圧力容器の中にエレメントを充填し、海水淡水化プラントに用いられるモジュールとなります。
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東洋紡製 海水淡水化用逆浸透膜エレメント ホロセップ®