Green Crossover Project クリーンエネルギーを活用した低炭素交通社会システムの実証をスタート

2010年5月12日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:岡藤正広、以下「伊藤忠商事」)ならびに協力企業*1は、2009年11月27日に発表しましたつくば市*2との共同実証プロジェクト(以下「本プロジェクト」)を、2010年5月17日より正式に開始します。

本プロジェクトは、地球環境への負荷が少なく、太陽光などの自然エネルギーで創られたグリーンエネルギー(Green Energy)とリチウムイオン電池の用途開発を通した低炭素社会実現のための複合的(Crossover)な取組みを「Green Crossover Project」と称し、太陽光発電システムや電気自動車、定置用リチウムイオン電池、情報通信技術(ICT)など、日本が得意とする環境分野の個々の技術や製品を組合せ、また重ね合わせながら低炭素交通社会という「システム」を描いた国内初となる民間主導の実証プロジェクトです。

株式会社ファミリーマート(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:上田準二、以下「ファミリーマート」)の「つくば研究学園店」、及び、伊藤忠エネクス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:小寺明、以下「伊藤忠エネクス」)のガソリンスタンド「学園東大通りCS店」を交通インフラの中心として展開する、本プロジェクトの概要は以下の通りです。

① 定置用蓄電システム
本プロジェクトの主目的である、電気自動車用リチウムイオン電池を定置用途として2次利用する事業モデルの検証を行います。電気自動車の普及阻害要因の一つとされる電池コストを下げ、リサイクルまで視野に入れた電池ビジネスの構築に役立てます。ファミリーマートつくば研究学園店とガソリンスタンド学園東大通りCS店に、今回の電気自動車に搭載する蓄電池と同型のEnerDel製車載用リチウムイオン電池を設置し、太陽光発電システムにて発電された電力を蓄電の上、急速充電器を通じて電気自動車に供給します。昼間太陽光にて得られた自然エネルギーを、電気自動車にて使用する電力に最大限有効活用することを目指すとともに、夜間の充電においても、太陽光から得られた電力を使用することが可能になります。

② 太陽光発電システム
ファミリーマートつくば研究学園店とガソリンスタンド学園東大通りCS店に設置しています。本プロジェクトでは、太陽光で得られた電力を急速充電器からの充電用として主に交通システムに活用しますが、交通システム側で使用されない場合は、自動的に店舗側で使用できるようエネルギーマネジメントシステムを構築し、最適モデルを検証します。

③ 認証・課金機能付き急速充電器
ファミリーマートつくば研究学園店とガソリンスタンド学園東大通りCS店に設置しています。現在国内に普及している急速充電器は、認証・課金機能が付加されていないため、急速充電器の設置者や所有者が、利用者に代わり電気料金を負担しているのが実情です。本プロジェクトでは認証・課金機能を付加することにより、安全性や信頼性を向上させるとともに、事業性を追求していきます。

④ 電気自動車
つくば市の公用車、ファミリーマートの営業車、つくば市民のカーシェア用として、3台の電気自動車を提供します。EnerDel製リチウムイオン電池を、マツダ株式会社(本社:広島県安芸郡、代表取締役社長兼CEO:山内孝)の協力のもと、マツダ・デミオに搭載しています。

⑤ カーシェアリング
市民参加型環境プロジェクトとして、つくば市民やつくば市を訪問する出張者などに実際にご体験・ご利用頂ける電気自動車のカーシェアサービスを提供します。本プロジェクトでは、電気自動車やカーシェア利用の機会を市民に提供し、低炭素交通社会の啓蒙、普及活動を促進することも目的としています。

⑥ クレジット機能付き非接触ICカード
カーシェアリング利用時の本人認証や利用料金徴収、急速充電器利用時の認証や利用料金の課金を1枚のカードで行い、新規カードビジネスや事業モデル構築を目指します。

⑦ 情報通信技術(ICT)を活用したエネルギー統合管理システム
本プロジェクトでは、リチウムイオン電池の劣化状態や使用状況の遠隔監視、データ収集以外にも、カーシェア管理システム、急速充電器管理システム、店舗エネルギー管理システムを一つに集約し、データセンターにて集中管理するエネルギー統合管理システムを開発しています。本プロジェクトを通して、低炭素交通社会システムにおける、さまざまなエネルギーの動きや流れをデータとして収集し分析することにより、エネルギーの最適有効利用やCO2削減の最適モデルの構築に役立てます。

実証内容を適宜見直しながら、3年を目処に行う本プロジェクトでは、上述のとおり、電池価格の低減と新規電池ビジネスを目指すための車載用リチウムイオン電池を定置用として利用する2次利用モデル、自然エネルギーとICTを組み合わせた電気自動車ならびに店舗における最適エネルギーマネジメントシステム、急速充電器の認証課金システム、カーシェア事業などの「低炭素交通社会システム」の実証を行います。伊藤忠商事は、本プロジェクトで得られるさまざまなデータを収集・分析し、世界に通じる汎用性ある環境ビジネスモデルの早期構築を目指します。

Green Crossover Project コンセプト図

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ファミリーマートつくば研究学園店に設置された太陽光発電システムと電気自動車

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伊藤忠エネクス学園東大通りCS店の太陽光発電システム、電気自動車、及び、急速充電器

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*1 協力企業一覧と各社役割

マツダ株式会社 ベース車両提供、改造支援、完成車性能評価
株式会社ファミリーマート コンビニエンスストア実証サイト(店舗)提供
伊藤忠エネクス株式会社 ガソリンスタンド実証サイト(店舗)提供
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 ICT技術、データセンター提供
株式会社オリエントコーポレーション 非接触式ICカード、クレジット決済機能
東京センチュリーリース株式会社 店舗設備のファイナンス機能提供
日本カーソリューションズ株式会社 車両のリース機能提供
株式会社東京アールアンドデー 電気自動車への改造
EnerDel Inc (米) 車載用、定置用リチウムイオン電池提供
Th!nk (ノルウェー) 自動車パーツ提供
株式会社キューキ 急速充電器提供
株式会社正興電機製作所 定置用蓄電池システム提供
株式会社日本エコシステム 太陽光発電システム提供
伊藤忠エレクトロニクス株式会社 プロジェクト・ポータルサイトの企画、運営
ウインド・カー株式会社 カーシェアリング オペレーション機能提供

*2 アドバイザリー・コミッティー

つくば市
独立行政法人 産業技術総合研究所
財団法人 日本自動車研究所
株式会社 日本総合研究所