米国リチウム資源開発会社への資本参加について

2010年7月5日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:岡藤正広、以下「伊藤忠商事」)は電気自動車やハイブリッド車などに使用されるリチウムイオン電池材料として需要急増が見込まれているリチウム資源の確保を目指し、米資源開発会社であるシンボル マイニング社(本社:カリフォルニア州、最高経営責任者Luka Erceg、以下「シンボル」)に資本参加しました。シンボルは、カリフォルニア州南部に位置する地熱発電所の使用済み地熱かん水に含まれるリチウムを回収、リチウム化合物を製造する事業を推進しており、数年以内の商業生産に向けて製造技術の開発及び改良を行っています。

同事業は、地熱かん水を利用する世界初のリチウム化合物製造事業であり、シンボルが開発を進めているカリフォルニア州南部地域に存在する地熱かん水にはリチウムが多く含まれていることが確認されています。シンボルはこのリチウムを工業的に抽出することで、世界で最も競争力のあるリチウム化合物を生産する技術開発に成功しました。また、地熱かん水に含まれる炭酸ガスや地熱かん水の持つ熱源を利用する等、地熱かん水が持つ特長を活用することにより競争力のあるリチウム化合物の生産だけではなく、二酸化炭素排出を抑えた、環境に優しい事業を推進しています。

シンボルの年間生産量は約16,000トン(炭酸リチウム換算)となる予定で、原料である地熱かん水からリチウム化合物の生産が短時間で行えることから、需要拡大に応じて短期間で増設・増産が可能です。将来、現在の世界の生産能力である約123,000トンの約50%に相当する年産64,000トンの炭酸リチウム生産が可能であり、電気自動車やハイブリッド車の普及によるリチウム資源需要拡大に向け、重要な供給源となることが期待されています。

シンボルは、2007年に米国エネルギー庁の傘下であるローレンスリバーモア国立研究所のスピンアウトとして発足後、地熱かん水に含まれるリチウムの抽出技術開発に専念、事業化の目処が立ったことから今回、戦略的パートナーとして伊藤忠商事の事業参画を受け入れました。現在シンボルの株主は、Mohr Davidow Ventures社やFirelake Capital社を始めとしたベンチャー投資家が中心であり、ローレンスリバーモア国立研究所も株主です。

伊藤忠商事はシンボルの生産するリチウム化合物の販売につき、日中韓を含めたアジア向け総販売代理店権を獲得しました。今回の投資に当たっては、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による融資を受ける方向で検討を進めており、既にJOGMECは技術者数名による現地視察及び技術面での検証を実施しています。

伊藤忠商事は中期経営計画Frontiere 2010において環境・新エネルギーに注力、中でも「蓄電池」を重点的に取り組む分野と位置付けており、米国のリチウムイオン電池メーカーであるEnerDel社を傘下に持つENER1社への出資や、戸田工業株式会社との合弁事業による北米での正極材および正極材前駆体製造等、リチウムイオン電池関連事業に積極的に参画しています。伊藤忠商事は、本投資によりリチウムイオン電池及びその部材生産のみならず、上流の資源確保にまで踏み込んだバリューチェーン構築を加速します。

シンボル概要

会社名 Simbol Mining Corporation
本社所在地 Pleasanton, California, U.S.A.
代表者 Luka Erceg
設立日 2007年2月