インドネシア政府の国土空間データ共有システムの構築を受託

2010年12月20日

伊藤忠商事株式会社と株式会社NTTデータは共同で、インドネシア測量地図庁(BAKOSURTANAL:National Coordination Agency for Surveys and Mapping)から国土空間データ共有システム構築事業(※)を受託しました。
本システムは、インドネシアの政府機関が天然資源、社会インフラ、地域開発計画等の管理を目的として整備している国土空間データを、行政業務の効率化・高度化を図るために複数の政府機関で共有するネットワークシステムであり、2011年1月から構築を行い、2013年5月に運用を開始する予定です。

背景

経済発展著しいインドネシアでは、天然資源、社会インフラ(道路等)、地域開発計画等の管理を目的として、政府機関や研究機関が国土空間データを急速に整備しています。一方で、国土空間データの効率的な情報共有がなされていないため、作業・投資の重複回避が課題となっています。こうした中、測量地図庁では、国土空間データの利用による行政業務の効率化・高度化を図るため、本システムを構築することとなりました。
こうした取り組みは、国土空間データ基盤(NSDI:National Spatial Data Infrastructure)構想として各国で取り組みが始まっており、日本でも2007年に地理空間情報活用推進基本法(NSDI法)として本格的に動き始めています。

経緯

本事業は、独立行政法人国際協力機構(JICA)によるODA案件として2007年3月29日に決定された「国土空間データ基盤整備事業」の一部であり、ネットワークシステムの構築を行うものです。NTTデータと伊藤忠商事は、本事業の入札にジョイントオペレーションとして共同参画し、2010年12月6日に契約調印、その後、JICAの同意を経て、12月15日に事業の正式開始となりました。NTTデータがプロジェクトマネージメント全般およびシステム開発を担当し、伊藤忠商事は代金回収などのアドミニストレーション業務を担当します。
NTTデータは、本事業の技術要素である「地理情報システム(GIS)」を利用したシステムを過去に多数手掛けており、こうしたGISシステムの構築経験・ノウハウ、また、大規模システムのプロジェクト構築ノウハウを評価され、契約の締結に至りました。

本事業の概要

(本事業の目的)
  本事業では、ネットワークシステムの構築を主たる業務として実施するほか、測量地図庁が保有する国土空間データの管理センターの強化、国土空間データを扱う政府機関へのデータ管理方法の研修等も含み、インドネシア政府全体として、国土空間データを継続して効率的に管理する仕組みを構築していくことを目的としています。
(システムの利用者)
測量地図庁以外に、国土空間データを業務で利用している10の政府機関が本システムを利用するほか、インターネットを通して一般のユーザーにも開放されるオープンなシステムです。
(システム機能について)
  システム利用者に対して、以下のような機能を提供します。

    
  • 国土空間データをシステムに登録する機能
  • 登録された国土空間データ全体から、システム利用者の利用条件(地図上の位置、作成機関、作成時期等)に応じて検索し、ダウンロードする機能
  • ダウンロードされた国土空間データの内容、ダウンロード回数によって課金する機能
  • 各国土空間データを公開/内部公開/非公開など、開示レベルによって管理する機能

今後について

NTTデータでは、インドネシア政府向けのシステム構築としては、本システムが初めての取り組みであり、今後、本システムを基盤とした地理情報システム(GIS)アプリケーションをインドネシア政府に積極的に提案を行っていく予定です。また、国土空間データ共有システムの整備の必要性は、各国で高まっており、インドネシア政府への取り組み実績やノウハウを活かし、他の東南アジア諸国にもソリューションの横展開を図る予定です。
 また、伊藤忠商事ではアジアの新興国の経済成長を背景に、今後も各国のインフラ整備などを積極的に推進して参ります。

  • 国土空間データ共有システム構築事業:「The National Geo-Spatial Data Infrastructure (NSDI) Development Project : Component 2-(1): Development of NSDI Networking System」(JICA Loan No. IP-544)