2011年 社長年頭挨拶

2011年1月4日

本日東京本社にて、新年祝賀式が開催されました。
社長挨拶に引続き、『獅子舞』を迎え、参加した約2,000人の社員と共に、今年一年の無病息災と商売繁盛を祈念しました。当社社長 岡藤正広による「2011年 年頭挨拶」を下記の通りお知らせします。


皆さん、明けましておめでとうございます。 日本および全世界の伊藤忠グループの皆さんへ年頭にあたり一言ご挨拶を申し上げます。

世界経済について

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21世紀の最初の10年間が終わり、今年は新しい10年が始まる節目の年であります。この10年間で世界経済は大きく変化しました。中国、インド、ブラジル、ロシア等の存在感が増し、新興国の成長が世界経済を牽引する状況となっています。2000年と2009年のGDPをドルベースで比較すると、新興国のインドが3.1倍、中国が4.2倍、ロシアは4.7倍と大きな成長を実現する中、先進国の成長率は総じて低調で、EUは1.9倍、アメリカは1.4倍、そしてわが国においては1.1倍の成長に留まっています。勢いの差は明白です。いまや、世界経済の主役は、先進国ではなく新興国といっても過言ではないと思います。

過去10年間の経営について

一方、伊藤忠商事の10年間はどうであったでしょうか。連結純利益を振り返ると、1999年度は経営改革により▲900億円弱の赤字、翌2000年度はV字回復により約700億円の黒字。その後は、2003年度に減損会計の早期適用による約▲300億円の赤字があったものの、資源・エネルギー価格の高騰もあり、利益は順調に拡大し、2005年度以降は安定的に1,000億円を超える純利益を上げられる体質に成長することができました。その結果、連結株主資本は大幅に拡充され、2000年度末にはわずか3,000億円強であったものが、今年度の第2四半期末時点では、1兆1千億円を超え、当時と比べ約3.5倍となっています。有利子負債の削減とも相俟って、NET DERは、8.0倍から1.5倍へと、大幅に改善しました。総資産については、10年間の増加率はわずか6%。効率は飛躍的に向上したものの、見方を変えると優良資産の積上げはほとんど成されませんでした。つまり、この10年間、伊藤忠は、過去の反省の下、徹底して「効率」を追求してきたと言えます。しかしながら、人間の体に例えれば、「健康は回復したものの、節制が過ぎた為、筋肉が一緒に減ってしまい体力を落としてしまった」ということではないでしょうか?

社長就任後の改革、成長の10年間へ

これからは、このままではいけません。どんどん変化する世界経済の中では、「停滞」は「衰退」を意味します。“ほどほど”、“そこそこ”の意識を払拭し、自ら打って出て、将来を切り開いていかなければ今後の成長はありません。ここ数年の取り組みの差が、将来の大きな差につながるのです。幸い、攻めるために必要な財務基盤は整いました。今こそ「攻めの姿勢を徹底」する時なのです。

私は、社長に就任して以来、「現場力の再強化」を掲げ、様々な改革を実行してきました。社内会議の削減、社内ルールの改定、リスクアセット算定方法の改定、組織業績評価制度の廃止、事業会社の役員定年制度の改定、経費の削減、今年4月の組織改編、いずれも大胆に且つスピード感をもって取り組んできました。また将来の懸念案件の年度内処理についても完遂する決意です。

これらはすべて、これから「攻め」へ転じるための土台作りです。今春から始まる次期中期経営計画では、思い切った「攻め」を前面に打ち出します。重点取組分野や重要施策については総花的ではなく、やるべきことを明確にします。投資についても、タイトな制限を設けるこれまでのやり方を大きく変更し、アグレッシブな方針を打ち出す考えです。

社員の皆さんへのお願い

以上を踏まえて、皆さんへのお願いを2点申し上げます。
1点目は、常日頃より言っていることですが、現場に出ることです。オフィスの中では良いアイディアは生まれません。世界中に飛び出し、顧客やパートナーに会い、現場で商売の種をどんどん作ってください。

2点目は、業界でのプロとしてスキルを高め、世界のマーケットから一目置かれる存在になって欲しいということです。日本同様、国内マーケットに限界のある韓国の企業は海外に活路を求め、社員はものすごい努力を行い、必死に働いています。中国やインドも同様です。世界を相手に猛烈に仕事をしているのです。皆さんも、彼らを常に意識し、日本に安住することなく、視野を世界に広げ、世界のマーケットで認められる存在を目指して日々努力をして頂きたいと思います。

最後に

私は、今年を「新たな成長の10年」のスタートとしたいと考えています。先ほどお話ししましたように過去10年間、徹底した管理体制を敷き「効率」を追求してきた結果、商社本来のあるべき姿である“営業”中心ではなく、知らず知らずのうちに“管理”中心に変わってしまいました。しかし、これからは、内向きの志向から脱却し、明確に「攻め」に転換し、規模の拡大を進めていきましょう。まさに本日がその出発点なのです。

以上にて私からの挨拶は終わります。

  • 小金井市無形文化財指定、目黒流貫井囃子の獅子舞