TOPTEC社ナノファイバー製造装置販売代理店契約締結について
2011年5月23日
伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:岡藤正広、以下「伊藤忠商事」)の子会社である伊藤忠システック株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:伊時和夫、以下「伊藤忠システック」)は、韓国TOPTEC Co.,Ltd.(本社:韓国龜尾市、President:Lee Jae-hwan、以下「TOPTEC」)とナノファイバー製造装置(量産・試験)の(韓国を除く)全世界販売代理契約を2011年4月22日に締結致しました。
ナノファイバーとは、数十から数百ナノメートル(ナノは10 億分の1)の極細繊維です。繊維を極限まで細くすることで、従来の繊維とは全く異なる新しい性質が生まれることが分かっており、さまざまな技術分野に革新を起こすと言われています。例えば、これまで採取できなかった異物のフィルタリング・浄化作用、化学繊維の強度や耐熱性の大幅なアップ、また、電気反応の効率化による燃料電池の性能アップが考えられ、用途としては、エアフィルターを始めエンジン、バグフィルターなどの集塵効率をさらにアップした高効率フィルター、有害ガスなどの化学物質に対する防護服、包帯または人工皮膚、リチウムイオン二次電池のセパレータならびに材料、他にも、センサー、触媒、CNT複合材料用補強材など多様な分野への応用が期待されています。今後、ナノファイバー製品の市場規模は、2010年の102百万米ドルから2020年には2,200百万米ドルまで成長することが予測されています。
これまで多くの企業・研究機関がナノファイバーの研究を取り組んできましたが、その大半は基礎研究のフィールドを越えるに至りませんでした。ナノファイバーにはいくつかの製造方法が提案されており、その中の一つである、ノズル方式によるエレクトロスピニング法(電界紡糸法)は、原料の溶液をノズルで押し出し、そこに非常に高い電圧をかけると、電界に沿ってナノサイズの繊維が飛ぶ現象を応用した製造方法です。この方法は、ノズル詰まりによる連続運転が困難、ノズル周りに固まったポリマーの飛散による品質の低下(不均一)、メンテナンスの手間などの問題により、大量生産には不向きであるとされていました。
この度、TOPTECと信州大学繊維学部の共同研究によって開発されたナノファイバー製造装置は、ノズル方式特有の問題点を解消し、ノズル詰まり、メンテナンスの心配がなく、均一なナノファイバー不職布を連続且つ大量生産できる画期的なエレクトロスピニングユニットの開発に成功しました。同システムでは、数十から数百ナノメートルのナノファイバーを生産することが可能であり、TOPTECパイロットファクトリーには、量産試験が可能な設備を設置しています。
伊藤忠商事と伊藤忠システックは、グローバル・ネットワークを活かした装置販売活動を行い、産業用フィルター・衣料・メディカル・電池分野のみならず、新分野での市場構築を目指します。
伊藤忠システック社について(2011年4月1日)
会社名 | 伊藤忠システック株式会社 |
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代表者 | 代表取締役社長 伊時和夫 |
本社所在地 | 大阪府大阪市中央区南本町3丁目6番14号 |
設立年月日 | 1969年4月1日 |
資本金 | 4億8千万円 |
従業員数 | 100名(グループ合計200名) |
事業内容 | 各種産業機械の輸入・輸出・三国間・国内取引・エンジニアリング業務 |
売上高 | 255億円(2011年度計画) |
主要子会社 |
ITOCHU Systech Singapore Pte. Ltd. (シンガポール) 忠創科技股份有限公司 (台湾) 騰新機械(上海)有限公司 (中国) TEXMAC Services (Private) Ltd. (パキスタン) |
URL | http://www.itochu-systech.co.jp/![]() |
TOPTEC Co.,Ltd.について
会社名 | TOPTEC Co.,Ltd. |
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代表者 | Lee Jae-hwan |
本社所在地 | 慶尚北道龜尾市山東面奉山里366 |
創業 | 1992年9月 |
資本金 | 7,800百万ウォン |
従業員数 | 約300名 |
事業内容 |
FA、LCD・OLED等のディスプレイ製造装備、2次電池の製造装備、 自動車部品の製造装備、太陽電池産業、ナノファイバー製造装備、 レーザー加工装備。ECU (Electronic Control Unit/自動組立システム80%占有率国内1位、Indexシステム15%占有率国内3位、太陽光装備14%占有率国内3位 |
売上高 | 1,322億ウォン(2010年12月) |
URL | http://www.toptec.co.kr/![]() |
表彰 |
2010.10 知識経済部の長官賞 2010.05 中小企業中央会長賞 2009.11 2009年グミ市最高企業賞 2009.05 模範中小企業人大統領表彰 |
信州大学繊維学部について
信州大学繊維学部の前身の上田蚕糸高等専門学校(官立)は、1910年に創設。
現在は、我が国で唯一の繊維学部として、感性工学分野を世界に先駆けて新設、大学院も生命機能・ファイバー工学専攻とし、生命科学分野から物質科学分野を基軸にした製品工学分野まで、広範囲に展開している。ナノファイバー工学関連の研究業績は、常に世界TOP3を維持しており、実績については、国際的にも認知されている。
また、産官学を通じた取り組みを積極的に行っており、2011年6月には、ファイバーイノベーション・インキュベーター(Fii)を設立。大学が中心となってファイバーを核とした産業分野と大規模に連携した取組を推進するFiiの例は、我が国では初めての試みである。研究シーズから製品化・標準化までの時間を短縮し、新製品開発・新市場開拓を加速化させ地域産業・繊維産業のグローバルな競争力の強化につなげる。今回のナノファイバー量産設備の開発は、本学部ナノフュージョンテクノロジーリサーチグループが、韓国TOPTEC社と共同開発により成功した成果である。
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