バイオディーゼル燃料製造技術を持つ米国ベンチャーへ出資

-新たな触媒を用いた燃料製造実証試験を日本で開始-

2011年3月1日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:岡藤正広、以下「伊藤忠商事」)は、このたび、Benefuel, Inc.(ベネフューエル・インコーポレーション)(本社:米国イリノイ州、CEO: Robert Tripp)以下「Benefuel社」)の株式を取得しました。出資比率は4%強となります。伊藤忠商事は、Benefuel社の新たな触媒を用いて効率的かつ安価にバイオディーゼル燃料を製造する技術のアジア展開を検討します。

従来のバイオディーゼル燃料の製造では、原料である油脂に含まれる脂肪酸(*1)を除去しなければ原料として使うことができず、食品工場や製油工場の残渣など、脂肪酸含有量の多い低品質の油脂を使用することは困難でした。そのため、食用並みに原料油脂を精製してからバイオディーゼル燃料を製造する必要がありました。

Benefuel社の新たな触媒は「多機能固体触媒」と呼ばれ、油脂と脂肪酸を同時にバイオディーゼル燃料に変換できる画期的な触媒であり、脂肪酸の多い低品質の油脂でもそのまま使用できるため、廃油や非食用油などを活用することが容易になりました。また、固体触媒を利用すると液体触媒が製品や副産物に残存しないため、製品から液体触媒を除去する工程が不要となり廃水の発生がなくなると同時に、副産物であるグリセリンも高純度となって工業用として利用が可能となります。また、製造工程そのものも簡素化させることができ、総合的に安価なバイオディーゼル燃料の製造が可能となります。

伊藤忠商事は,この多機能固体触媒を利用したパイロットプラントによる実証試験を、日本のバイオディーゼル燃料のトップメーカーである株式会社ダイキアクシス(本社:愛媛県松山市、代表取締役社長:大亀裕、以下「ダイキアクシス社」)と共同で開始しました。NEDOイノベーション実用化助成事業(*2)にも採択されている本試験は、「双機能固体触媒利用の次世代BDF(バイオディーゼル燃料)製造プロセスの開発」としてダイキアクシス社松山D・OIL事業所で実施されています。

伊藤忠商事は、2012年を目処にアジアを中心とした市場での多機能固体触媒の事業展開を目指すとともに、今後も環境に配慮した有望な先端技術の開拓を進め、事業投資・開発を通じて新たなビジネスの創出を積極的に推進します。

  • *1 脂肪酸とは
  • 油脂の分解物の一種。油脂は分解するとグリセリンと脂肪酸に分離する。
  • *2 NEDOイノベーション実用化助成事業
  • 民間企業等の優れた技術シーズの実用化開発に対し助成を行い、国際競争力の向上や新規産業の創出等を図ることを目的とした事業。

Benefuel社について

会社名 Benefuel Inc.
代表者 Robert Tripp
本社所在地 米国イリノイ州シカゴ市
設立年月日 2008年1月
URL http://www.benefuel.net/[別ウインドウで開きます]

ダイキアクシス社について

会社名 株式会社 ダイキアクシス
代表者 大亀裕
本社所在地 愛媛県松山市美沢1丁目9番1号
設立年月日 2005年7月
URL http://www.daiki-axis.com/[別ウインドウで開きます]