第2世代バイオエタノール製造技術を持つ米国ベンチャー企業へ出資

2012年3月5日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:岡藤正広、以下「伊藤忠商事」)は、このたび、ZeaChem Inc.(ジーケム・インコーポレーテッド)(本社:米国コロラド州、CEO: Jim Imbler)(以下「ZeaChem社」)の株式を取得しました。
伊藤忠商事とZeaChem社は第2世代のバイオエタノール事業分野、将来的にはバイオマスから生産する化学品事業分野(グリーンケミカル事業分野)に、地域ごとのパートナーを得ながら世界各地への展開を検討し、2014年中の事業化を目指します。また、今後も環境に配慮した有望な先端技術の開拓を進め、事業投資・開発を通じて新たなビジネスの創出を積極的に推進して参ります。

ZeaChem社について

会社名 ZeaChem Inc. 
代表者 Jim Imbler 
本社所在地 Lakewood, Colorado, the U.S.A. 
設立年  2002年 
URL  http://www.zeachem.com/[別ウインドウで開きます] 

第2世代のエタノールとZeaChem社の技術について

既存のエタノールの製造はトウモロコシやサトウキビなどを主な原料としてきましたが、これらは食料と競合しその生産量も限界が見えています。そこで、大量調達が可能で非食用のバイオマスを原料としたバイオエタノール生産に世界中が着目しており、第2世代バイオエタノールやセルロース系エタノールと呼ばれています。非食用のバイオマスとは、主に農地に不適な土地で育った木材や稲ワラ・麦ワラなどの農業残渣を指します。再生可能なので環境にやさしく、従来の原料より安価に入手でき、世界中で調達が可能です。しかしながら、このようなバイオマスからのエタノール生産は従来のエタノール生産と比べると、エタノール変換効率が極めて低く、安価に生産できないことが課題でした。

ZeaChem社は、従来のエタノール発酵で最大のロスであった炭酸ガスの発生をなくしたことや、これまで使い切れなかったバイオマスの残渣もうまく活用したことで、エタノールへの変換効率を大幅に上げることに成功しました。

実際の生産では、原料として保管倉庫を必要とせず一年中使える木材が最も便利で、樹木種をユーカリ、ポプラ、アカシアと変えることで寒暖にかかわりなく生産地を選ぶことも可能です。さらに、その木材生産地のそばでエタノールを生産すると原料運搬コストも低く抑えることができます。ZeaChem社のプロセスは使用するバイオマスの種類を選ばないので、収穫の季節に大量に出る農業残渣も利用でき世界中への展開が可能です。

更に、ZeaChem社のプロセスを利用するとプロピレンなどの化学品も作ることが可能です。これは化石原料に頼った化学品生産の構造を変え、環境改善に大きく貢献できる可能性があることから、世界的な注目を浴びています。