中国・遼寧省瀋陽市で下水処理契約を受注

2012年3月8日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:岡藤正広、以下「伊藤忠商事」)の中国現地法人、伊藤忠(中国)集団公司の関連会社である成都聯和環保科技有限公司(本社:中国・四川省成都市、総経理:蒲炜)は、この度、遼寧省瀋陽市の新規開発区である浑南新区において5ヶ所の下水処理契約を一括受注しました。
 
今回の下水処理契約受注に際しては、帝人株式会社の水処理事業の中核技術である多段式生物処理装置「MSABP」(*1)が採用されました。「MSABP」技術の採用により、余剰汚泥の発生量が大幅に削減可能となり、また、中小規模の下水処理場を数箇所に分ける分散処理方式を採用したことで、投資コストの大幅な削減並びに工期短縮が可能となります。

この度の契約は、成都聯和環保科技有限公司と瀋陽市とのEPC契約(*2)によるもので、帝人株式会社は伊藤忠(中国)集団公司を通じて、「MSABP」技術、及びコア部材を供与します。

成都聯和環保科技有限公司は、1995年に設立以来、中国・四川省地域を中心に中国国内において排水処理事業を展開、生活排水から工業排水までの、設計・施工・設備調達と据付・試運転・トレーニングなどを含む最適なトータルソリューションを提供しています。

瀋陽市は、2013年秋に当市で開催される全国国体に向け、現在急ピッチでインフラ建設を推進していますが、「MSABP」技術の採用により、汚泥削減の先進技術導入と同時に、下水管網整備にかける莫大な費用の削減、また工期の短縮が叶うなど、当市にとり、大きなメリットが期待されます。

中国は、第11次5ヵ年計画(2006年-2010年)の間に汚水処理能力が飛躍的に向上しましたが、その反面、汚泥の発生量が確実に増加しました。その為、第12次5ヵ年計画(2011年-2015年)の期間では汚泥の安全処理が強化され、国の汚水処理総額の8%を占める360億元を投下する計画となっています。余剰汚泥そのものが削減される帝人株式会社の技術は、注目の技術であり、伊藤忠商事は、今回の瀋陽市の案件をモデルにして、成都聯和環保科技有限公司を核に、引き続き他地域での受注活動を目指します。

下水処理方式イメージとそのデメリット

[写真]
  • *1 MSABP(Multi-Stage Activated Biological Process):
  • 帝人株式会社が展開している生物処理による排水処理装置。生物反応槽を多段に区切り、各曝気槽内に特殊繊維を用いた微生物担持体を配列して、食物連鎖の場を生物反応槽内に構成させることにより、汚泥減容・省メンテナンス・省エネ・低コストなどを実現する。コンテナサイズにコンパクトにまとめることも可能で、移動・携帯性に優れることから、分散処理ニーズにも対応可能な装置となっている。「MSABP」は、米国Aquarius Technologies Inc.社の登録商標。
  • *2 EPC(Engineering, Procurement & Construction)契約:
  • 工事の設計から設備の調達、建設および指導員派遣までを請負う業務形態。