2013年度 入社式 社長メッセージ

2013年4月1日

おはようございます。社長の岡藤です。

本日、ここに総合職110名、事務職14名、合計124名のフレッシュな仲間を迎えることができ、大変嬉しく思います。年々厳しさを増す就職戦線ですが、今年度、伊藤忠に入社された総合職の皆さんは筆記試験受験者数11,409名から選ばれた方々であり、その競争率は104倍、事務職の皆さんは1,618名からで116倍と、共に100倍を超える極めて狭き門でした。

今、皆さんは入社した喜びと将来への希望に満ち溢れている事だと思います。かつては、会社という組織の「歯車の一部」になることを不安に思っていた人もいました。しかし、残念ながら「歯車の一部」になど、そう簡単になれるものではありません。歯車は小さな歯の一部が欠けただけでも全体の動きが止まりますが、組織というものは、一人や二人が働けなくなっても全く支障が出ません。そこで皆さんには、我々を良い意味で裏切る、つまり皆さんが欠ければ組織が機能しなくなるくらいの「立派な歯車」を目指して頂きたいと思います。本日の入社式にあたり、改めて、皆さんに「立派な歯車」になる為に、是非実行して頂きたい心構えを2点に絞って、メッセージとしてお贈りしたいと思います。

1点目は、「常に “YESの思考” から入れ」ということです。
お客様の要請や上司・先輩のアドバイスを「難しい、無理だ」と考えるのではなく、まずは受け入れ、その上でどう対応するか考える、このような「前向きな思考回路」を常に持って下さい。ポジティブな発想をすることは、ビジネスパーソンにとってとても重要です。この様な対応は相手に好印象を与えることにもなり、円滑な対人関係の構築にもつながります。常にYESから入ることの大切さを胸に刻み、是非、習慣化するように努めて下さい。

2点目は、「配属された部署で “その道のプロ” を目指せ」ということです。
厳しい競争を勝ち残った皆さんは今、「大志」を抱いてこの式に臨んでいるのではないでしょうか。フレッシュな気持ちで、意欲を持つというのはとてもよいことです。しかしながら、おそらく大部分の人達は入社してしばらくすると、夢と現実とのギャップに悩むことになると思います。そこで、これからはその「大志」は一旦忘れて、まずは与えられた目の前の仕事をコツコツと地道にやるようにしてください。配属先が自分の希望ではなかったり、自分が思い描いていたような仕事ではなかったりするかも知れませんが、そんなことで腐ってはいけません。どんな小さな商売、どんな小さな世界でもいい、その道のプロフェッショナルを目指すことです。なぜなら、プロフェッショナルになりその道を極めることを通してしか、仕事の「肝(きも)」や「勘所」を学ぶことはできないからです。プロフェッショナルとして認められれば、みんなが話を聞きに来ます。それによってまた情報が集まり、さらに知識と経験が高められ、プロとしての領域が広がって行きます。
それらを極めた上で、いつか、自分なりの知恵を絞って伊藤忠のために新しいビジネスを切り拓いていってほしいと思います。そうすることで、皆さんが今思っている「大志」は、いつの間にか実現できているはずです。


話は変わりますが、ここで伊藤忠をファッションに例えてみたいと思います。伊藤忠はフランスの「メゾン」ブランドに似ています。フランスの「メゾン」とは、何人ものデザイナーがブランドを維持して歴史を作っています。一時期、世界のファッションの中心はイタリアに移りましたが、今またフランスに戻っているのです。イタリアファッションはデザイナーブランドでそのデザイナー1代限りですが、一方フランスのブランドは、例えばランバンは120年、ニナリッチは80年と古い歴史を持っています。そしてフランスが復活しているのは、歴史ある「メゾン」に若い力のあるデザイナーが入ってきたからだと思います。ただ、力のあるデザイナーであってもゼロから物をクリエートするのは至難の業です。「メゾン」と呼ばれる歴史あるブランドは昔からのサンプルや図案をアーカイブとして保存しており、メゾンに入ったデザイナーはアイデアに困るとこのアーカイブを再確認してアイデアを生み出せるのです。まさに、歴史・伝統と若い力の融合です。皆さんにも、150年以上の歴史を持つ伊藤忠というメゾンの中で、一人一人の才能を思い切り発揮して頂きたいと思います。若い力と融合することで伊藤忠も成長していきます。皆さんに期待するところは大きいのです。

選ばれて入社した自信と誇りを持って、伊藤忠商事で思う存分活躍されることを願っています。最後に皆さんの入社を心から祝福し、歓迎の挨拶と致します。