米国地熱かん水から世界初の炭酸リチウム製造に成功

2013年10月11日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:岡藤正広、以下「伊藤忠商事」)が2010年6月に出資した米国シンボル社(本社:カリフォルニア州、最高経営責任者 Dr. John Burba、以下「シンボル」)はカリフォルニア州ソルトンシーに完工させたデモプラントにおいて、地熱発電所から供給される地熱かん水よりリチウムを自社技術にて回収し、地熱かん水由来による炭酸リチウム(純度99.9%超)を製造することに世界で初めて成功しました。

現在、炭酸リチウム等のリチウム化合物は、世界の約7割が南米の塩湖由来のかん水から天日乾燥工程を経て生産されています。シンボルが独自に開発した製法は、高温の地熱かん水を利用することにより二酸化炭素排出を抑え、エネルギーコストを下げることができ天候に左右されることもありません。また、この技術を今後新増設が計画されている地熱発電所の新増設に導入することで生産能力の拡大やコスト競争力を一層高めることが可能となります。

今後はデモプラントで技術的な検証を重ね、リチウムイオン電池(以下「LiB」)用正極材製造会社等の潜在的な顧客に対して、原料となる炭酸リチウム及び水酸化リチウムのサンプル提供を行った上で、本年度末までに商業プラント1号機(年産15,000トン)の建設を開始し、2015年度に商業生産の開始を予定しています。

炭酸リチウム及び水酸化リチウムはLiBの主要部材である正極材製造に欠かせない原料であり、電解液中の電解質製造にも用いられます。それ以外にも、ガラス、セラミックスや潤滑剤等の原料としても広く用いられています。これらのリチウム化合物は今後、電気自動車向け用途等において需要拡大が見込まれており、現在、世界で年間約15万トンの需要(炭酸リチウム換算)は、2017年には25万トン超と増加する見通しです。

本案件については、2011年6月に独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による融資を受けています。伊藤忠商事はシンボルの生産するリチウム化合物について、日本・中国・韓国を含めたアジア地域における総販売代理店権を取得しており、今後も米国発の炭酸リチウムや水酸化リチウム等のリチウム化合物の販売を通じて、リチウム資源の安定供給に努めてまいります。

シンボル概要

会社名 Simbol, Inc.
本社所在地 Pleasanton, California, U.S.A.
代表者 Dr. John Burba
設立日 2007年2月