Metsa Groupとのセルロースファイバー合弁工場の設立について

2018年10月3日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:鈴木善久、以下「伊藤忠商事」)はフィンランドの森林業界大手のMetsa Group(メッツァ・グループ)と、同グループの新規事業投資を目的に設立された新会社Metsa Spring Oyとの共同出資によるセルロースファイバーのパイロットプラントを設立することについて合意いたしました。総投資額は約40百万ユーロ(約50億円)となります。

Metsa Groupは、フィンランドの森林業界におけるリーディングカンパニーとして、森林管理、原木供給、パルプ生産からティッシュペーパーや木材製品の販売まで幅広く事業を展開しています。伊藤忠商事は、Metsa Groupの中核企業であり、年間約310万トンのパルプ生産能力を誇る世界最大級の針葉樹パルプメーカーであるMetsa Fibre Oy(以下、「Metsa Fibre」)と、1970年代に製紙用パルプの日本向け取引を開始して以来、長年にわたり良好な関係を築いており、2012年には同社の株式を取得し、当社の持分法適用会社とするなど関係を強化してきました。

Metsa Groupは、森林を基盤とする持続可能な生物経済と循環型社会の実現を目指し、針葉樹パルプを活用した新規事業の創出に向けて研究開発を進めて来ました。一方、伊藤忠商事は、ファッション業界における欧米ブランドを中心とするサステナブルの潮流を受け、環境配慮型素材の取り扱い拡大に向けて取り組んで来ました。こうした中、独自製法による革新的なセルロースファイバーの基礎的な研究開発に成功したMetsa Fibreから伊藤忠商事に協力要請があり、試験開発段階における品質確認が完了したことから、今般の合意に至りました。

当セルロースファイバーの生産においては、パイロットプラントをMetsa Fibreの工場内に併設し、パルプ製造からファイバー製造までの一貫生産体制を確立することで、安定的且つ低コストでの原材料調達を実現するほか、Metsa Groupが独自に開発した新特殊溶剤の使用により環境負荷が低減されます。さらに、伊藤忠商事の有する繊維業界における川上から川下までのグローバルバリューチェーンの活用により、木材資源から繊維製品という広範囲にわたるトレーサビリティを実現するとともに、原材料から製品までの一貫したブランディングも可能となります。

伊藤忠商事は、中期経営計画の基本方針である「商いの次世代化」の一環として、繊維事業における主導権を持った原料起点でのバリューチェーンの構築に取り組んでいます。今後も、当社ならではの総合力を発揮することで、原材料から製品までのバリューチェーンを軸に、他社には追随できないビジネスモデルの確立に取り組んでいきます。

メッツァ・グループについて

グループ名 Metsa Group
URL http://www.metsagroup.com
代表者 Ilkka Hamala(President and CEO)
グループ子会社 Metsa Fibre, Metsa Tissue, Metsa Board, Metsa Wood, Metsa Forest、他
売上高 約5,000百万ユーロ(2017年度実績)
従業員数 約9,000(2017年末現在)

パイロットプラントの併設を予定しているMetsa Fibreのアネコスキ工場