昆虫テクノロジー企業「ムスカ」との戦略的パートナーシップについて

2019年4月23日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:鈴木善久、以下「伊藤忠商事」)は、昆虫を用いた100%バイオマスリサイクルシステムを開発した株式会社ムスカ(本社:福岡県福岡市、代表取締役CEO:流郷綾乃、以下「ムスカ」) に出資し、戦略的事業パートナーとなりました。

現在、世界全体で深刻な食糧危機が叫ばれる中、飼料(魚粉)市場は、63億米ドル(2017年)から120億米ドル(2026年)に到達し、天然資源である魚粉は供給限界に近づくと言われております。加えて、有機肥料市場も、人口増加に伴い、59億米ドル(2017年)から83億米ドル(2023年)に拡大すると言われております。*1

 ムスカは旧ソ連の宇宙開発関連技術を研究起源とする昆虫(イエバエの幼生)を活用した100%バイオマスリサイクルシステムを確立しました。一般的に家畜の排泄物を原料としてつくる堆肥は、微生物の活動により通常最低2~3か月程度の時間を要し、堆肥過程で温室効果ガスも排出されており問題視されております。一方、ムスカの昆虫を活用したシステムは、1週間程度と短期間で肥料化でき、昆虫の消化酵素により分解されるため、温室効果ガスの発生量も抑えられます。それにより、環境負荷も低くなります。また、このシステムで成長した昆虫は、畜産農家や魚の養殖業者等に提供され、供給限界に近づく飼料市場にも貢献します。

伊藤忠商事は、ムスカへの出資に加えて、国内初となるムスカのバイオマスリサイクル設備の第1号プラントへの参画を検討いたします。また、同参画を始め、国内外における伊藤忠グループのネットワークを活かし、既存事業・ビジネスとの相乗効果を創出しながら、将来の食糧危機解消の一翼を担うとともに、世界の持続可能な発展に向けた循環型社会の実現を目指します。

また、伊藤忠商事は中期経営計画「Brand-new Deal 2020 いざ、次世代商人へ」の中で「技術革新による商いの次世代化」や「低炭素社会への寄与」を掲げており、本取組はこれらに合致するものです。サステナビリティ推進の観点からも非常に有意義な取組であると考えており、この事業活動を通じて、循環型社会の構築に積極的に取り組んで参ります。

ムスカの100%バイオマスリサイクルシステム

  • *1出典元 :
    Fishmeal - Global Market Outlook (2017-2026)
    Global Organic Fertilizers Market(2013-2023)