電通リテールマーケティングへの戦略的事業投資について

2020年5月12日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:鈴木 善久、以下「伊藤忠商事」)は、小売店舗向けのデータ分析や、販促・マーケティング支援サービスを提供する株式会社電通リテールマーケティング(代表取締役社長執行役員:近野 慎一、本社:東京都港区、以下「DRM社」)に、第三者割当増資を通じて、戦略的事業投資を致しました。出資比率は20%で当社の持分法適用会社となります。

世界でEコマース市場が拡大し、デジタルな顧客体験が益々豊かになる一方、小売店舗等でもデジタルトランスフォーメーション*1が進行しており、今後、小売店舗の役割や機能の多様化が加速することが予測されております。例えば、店頭サイネージや店頭の二次元バーコードによるコンテンツ提供や販促広告の表示等を活かした「店頭のメディア化」、店頭での携帯の充電やEコマースの商品の受け取りロッカーの設置等のサービス付加による「店頭のサービス拠点化」等、オフラインとオンラインのデータがシームレスに繋がり、より利便性の高い様々な顧客体験を提供することで、小売店舗の次世代化が進む見込みです。
一方、これらの環境変化に伴って、購買だけでなく顧客の行動データなど取得可能なデータは増加し、そのデータとテクノロジーを活用したマーケティングの高度化が求められることに加え、慢性的な人手不足を抱える小売業・メーカーからのフィールドサポート*2への要請の高さなどから、店頭販促領域におけるBPO*3サービスを利用する企業の増加も見込まれております。

DRM社は2006年の設立以来、店頭マーケティングの専門家集団として、小売業・メーカーに向けてID-POSデータ等の各種データの独自分析に基づくマーケティング戦略提案をはじめ、店頭販促ツールの企画・制作や棚割り提案などによる売り場の最適化支援、店舗オペレーションを支援するフィールドサポートまで、店頭販促領域におけるBPOサービスをワンストップで提供してまいりました。

伊藤忠商事は、2014年にコンタクトセンター国内最大手であるベルシステム24に資本参画して以降、CRM・BPO分野の事業拡大・次世代化を推進して参りましたが、今回のDRM社との資本・業務提携により、店頭販促領域におけるBPO事業に新たに参入いたします。ベルシステム24の非対面での消費者対応ノウハウとDRM社による店頭での対面を中心としたマーケティングノウハウを有機的に組み合わせ、オフライン・オンラインの販促領域におけるBPOサービスの拡充を図ると同時に、両者の保有するデータを活用した新たなリテールマーケティング事業の構築を目指して参ります。

伊藤忠商事は中期経営計画「Brand-new Deal 2020」にて、商いの次世代化として、生活消費分野のバリューチェーンの価値向上や新技術を活用したビジネスモデルの進化を推進しています。
データ、マーケティングの領域においては、2018年12月に、データマーケティング事業を展開するフリークアウト・ホールディングスとの資本業務提携をいたしました。また、2019年12月には企業のデータ活用を支えるソフトウェア・サービスを提供するウイングアーク1st株式会社へ戦略的事業投資を実施しました。今回のDRM社への出資を通じて、リテール領域の「商いの次世代化」を更に加速させて参ります。

  • *1デジタルトランスフォーメーション:
    企業の持つ様々なデータやデジタル技術を活用して、企業が提供するサービスや製品を変革させると共に、サービス・製品の顧客体験の最大化を図り、競争上の優位性を確立すること
  • *2フィールドサポート:
    商品やサービスの売上向上や利用率向上のために、営業担当者の代理として店舗を巡回し、店頭メンテナンスや売場作りを行うサービスのこと
  • *3BPO:
    ビジネス・プロセス・アウトソーシング(Business Process Outsourcing)の略で、企業の業務プロセスの一部を専門業者に委託すること

(参考)DRM社の事業領域