航空輸送分野における再生可能資源由来の燃料ビジネスの展開について

ANA社・Neste社と協働で日本初となる商用フライトでの供給を実現

2020年10月26日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:鈴木善久、以下「伊藤忠商事」)は、全日本空輸株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:平子 裕志、以下「ANA社」)と世界最大級のリニューアブル燃料(※1)メーカーであるNeste Corporation(本社:フィンランド、President and CEO:Peter Vanacker、以下「Neste社」)グループと協働で、石油代替航空燃料(Sustainable Aviation Fuel(以下「SAF」)の日本初となる商用フライト規模での供給を実現致しました。本取組を契機に、航空輸送分野での再生可能資源由来の燃料(以下「リニューアブル燃料」)ビジネスに本格参入し、循環型低炭素社会の実現及びGHG排出削減を目指します。

昨今、各産業界での気候変動に関する動向が注目を浴び対策が急がれています。航空業界では国際的なGHG排出削減枠組(※1)実現の為に欧米を中心にSAF導入が進んでおり、今後世界的な市場規模の拡大が予測されています。日本国内でもSAF供給体制構築を目指す中で、生産量の確保及び燃料製造から航空機への給油迄のサプライチェーン構築は喫緊の課題となっておりました。

伊藤忠商事はこのたびの本取組にて、Neste社(※2)との間でSAFの日本国内向け輸入契約を締結。ANA社・Neste社と3社協働で、SAF輸入・品質管理から空港への搬入までの一連のサプライチェーン構築を実現致しました。

今回輸入されたSAFは羽田空港及び成田空港でのANA社運航の航空機燃料として使用されます。これは、航空輸送分野でのGHG排出削減を可能にするSAFを燃料とした商用フライトとしては日本での初運航になり、今後の日本・アジアでのSAF供給体制構築に向けたマイルストーンとなります。また、Neste社製造のSAFは食品競合のない廃食油や動物油等を原料として製造され、ライフサイクルアセスメントベースでのGHG排出量で石油由来航空用ジェット燃料比約90%削減を実現致します。

当社は航空輸送分野に加え、陸上輸送分野においてもGHG排出削減効果が期待されるリニューアブルディーゼル(Renewable Diesel)(※3)の導入に向けて、同様に日本向け初輸入を実現すべくNeste社と協働で取り組んでいます。

伊藤忠商事は、“「三方よし」による持続的成長”の企業理念の元、サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)の一つに「気候変動への取組(低炭素社会への寄与)」を掲げ、循環型低炭素社会へ寄与する事業活動の推進やGHG排出量の削減に取組んでおり、今後もリニューアブル燃料の日本及びアジア市場での導入/普及に取組み、循環型低炭素社会・持続可能な社会の実現に向けた課題の解決を目指していきます。

  • ※1航空業界の環境施策:2016年のICAO(国際民間航空機関)総会で、2021年以降はCO2排出量の増加を伴わない国際航空の成長スキーム「CORSIA(Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation)」が採択
  • ※2Neste社:世界最大級のリニューアブル燃料メーカーであり、フィンランド、オランダ、シンガポールに製造施設を所有し、年間約300万トンのリニューアブル燃料を製造。欧米を中心に2018年よりSAF導入実現/商業生産を続ける。現在SAFの生産量が年間約10万トンであるが、今後シンガポールとオランダの生産能力を増強し、2023年までに年間約150万トンのSAFを生産する予定。
  • ※3リニューアブルディーゼル:主にトラック・バス等の燃料として、ライフサイクルアセスメントベースでのGHG排出量で石油由来軽油比約90%削減する次世代型バイオ燃料。追加での設備・車両投資が必要なく、既存車両と流通網をそのまま利用出来るドロップイン燃料であることが特徴で、地球環境対策をリードする欧米諸国にて既に広く流通。