複層フィルム包材におけるマテリアルリサイクル技術の協業展開について

2020年12月16日


伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:鈴木善久、以下「伊藤忠商事」)と東洋インキSCホールディングス株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:髙島悟、以下「東洋インキグループ」)は、複層フィルム包材のマテリアルリサイクル技術(※1)(以下「本技術」)の協業展開について合意しました。両社の技術とネットワークを活かして、2022年までに世界初(※2)となる高品質マテリアルリサイクル実用化を目指してまいります。

昨今、国内外で使い捨てプラスチック問題に関する動向が注目を浴び、対策が急がれています。日本でも、廃棄物として排出されているプラスチックの約16%が単純焼却や埋め立てなどで未利用のまま処理されているほか、約56%を「サーマルリサイクル」や「熱回収」と呼ばれる焼却型の対策に頼っており、多くがマテリアルリサイクルに至っていないのが現状です。特に食品のパッケージや洗剤等サニタリー商品の詰め替え用パウチなど、「軟包装」と呼ばれるフィルム包材は、用途ごとに異なる要求性能を確保するために、ポリオレフィンやポリエステル等のフィルムの間に、印刷インキと接着剤といった多素材を用いる複層構成になっており、脱離が困難であることがリサイクルにおける大きな課題でした。

昨年、東洋インキグループは総合環境サービス企業の世界最大手と提携し、複層フィルム及び包材を構成するインキや粘接着剤等を脱離する技術を開発致しました。2021年中に実証パイロットプラントを建設し、LCA(ライフサイクルアセスメント)評価・コストシミュレーション等の検証を進め、2022年のポストインダストリアルリサイクル(※3)事業開始を目指します。また、2025年を目途に商業プラントでのポストインダストリアルおよびポストコンシューマーリサイクル(※4)事業を開始する予定です。
伊藤忠商事は本技術に関連する主要な製品材料における国内での独占マーケティング権及びアジア・欧州での優先交渉権を取得するとともに、本技術を用いたマテリアルリサイクルの仕組みの構築、リサイクル可能な環境配慮パッケージ設計の訴求を通じて、食品・日用品メーカー、小売り、ブランドオーナーなどに向けた幅広い環境ソリューションの提供を行ってまいります。
両社はこうした取り組みにより現状再利用が困難な複層フィルム包材をリサイクル可能なものに転換し、国内外のマテリアルリサイクル率40%以上(※5)を目指します。

伊藤忠商事は、ESGを事業推進の重要課題と位置づけております。今回の取り組みと、国内外における伊藤忠グループのネットワークを掛け合わせることで、リサイクル領域での新たなビジネスモデルを創りあげ、世界の持続可能な発展に向けた循環型社会の実現を推進致します。

  • ※1ごみを製品原料として再利用することを主眼としたリサイクル手法をさす。
  • ※2東洋インキ調べ。複層フィルム素材及び包材を構成するインキや粘接着剤等を同時に脱離、リサイクルする技術として世界初。
  • ※3製品の製造工程で出る廃棄原料のリサイクルをさす。
  • ※4消費者が製品を使用した後に回収されたごみをさす。
  • ※5例えば日本における現在のマテリアルリサイクル率は約27%であり、本割合を約1.5倍に引き上げることを目指す。

東洋インキSCホールディングス株式会社 企業概要

会社名 東洋インキSCホールディングス株式会社
代表者 代表取締役社長 髙島 悟
本社所在地 東京都中央区京橋2-2-1
URL https://schd.toyoinkgroup.com/ja/index.html

複層フィルムの脱離技術について

脱墨用コーティング剤・剥離用粘接着剤により、主にOPP、CPP、PEなどのオレフィン系フィルムを取り出しマテリアルリサイクルします。

脱離後のフィルム包材イメージ

フィルム包材廃棄物(破砕後)

脱離後