アラブ首長国連邦ドバイ首長国における廃棄物処理発電事業プロジェクトファイナンス契約締結について

2021年3月29日

伊藤忠商事株式会社(代表取締役社長COO:鈴木 善久、本社:東京都港区、以下「伊藤忠商事」)、日立造船イノバ社、DUBAL Holding社、Dubai Holding社、BESIX社、およびTech Group社の6社が出資する事業会社Dubai Waste Management Company P.S.C.社(以下「DWMC」)は3月28日、総額約9億米ドル相当のプロジェクトファイナンスベースの融資契約を、株式会社国際協力銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行、ソシエテ・ジェネラル銀行、KFW-IPEX銀行 、スタンダードチャータード銀行、クレディ・アグリコル銀行、シーメンス銀行と締結致しました。また、民間金融機関の一部融資には株式会社日本貿易保険の海外事業資金貸付保険が付保されます。

本事業はドバイ首長国初、そして世界最大級となる廃棄物処理発電施設に関し、同首長国における廃棄物行政の所管官庁であるドバイ都市行政庁から建設・運営・移転(BOT)方式のコンセッション契約として2020年12月に請け負ったものです。伊藤忠商事は、DUBAL Holdingとの共同持株会社を通じた出資により、本案件のために特別目的会社として新設されたDWMC株式の20%を保有致します。

廃棄物処理発電施設は都心部から約15km東に位置し、一般廃棄物を年間約1,900,000トン処理する他、焼却時に発生する熱を利用し発電を行います。発電容量は約200メガワットであり、本事業においては化石燃料に頼ることのない電力供給が可能です。また、廃棄物焼却後に残る焼却灰からは金属資源を回収しリサイクルする予定です。

ドバイ首長国の重要政策である「ドバイ・クリーンエネルギー戦略2050」に基づき、ドバイ都市行政庁は廃棄物の埋立処分量削減、持続可能な環境に配慮した廃棄物管理及び代替エネルギーの開発促進といった政策目標を設定しており、本事業の実現はそれらの目標達成に加え、国連の定める「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にも資するものです。

伊藤忠商事は、英国において自治体向けに4件の一般廃棄物処理発電事業の開発・投資・事業経営を担っており、同国の廃棄物焼却処理市場の15%にあたる年間130万トンの廃棄物を焼却処理、16万世帯分の国内家庭消費電力に相当する電力を供給しています。また現在、中欧に位置するセルビア共和国において、地域最大の環境・社会問題の解決に向けた取組みをセルビア政府、国際金融機関、パートナーと共に進めています。また昨年11月にはサウジアラビア ジュベイル工業都市において工業系廃棄物処理サービスを提供するEnvironment Development Company(EDCO社)の株式を20%取得し、工業系廃棄物処理事業への本格参入を開始致しました。

伊藤忠商事はESG先進企業として、このような廃棄物処理分野における取組を拡大させ、SDGs以下5目標達成にも寄与することを通じ、持続可能な地域社会の実現・地球環境への負荷軽減に貢献して参ります。

建設する廃棄物処理・焼却発電施設の完成予想図

建設工事の様子

ドバイ廃棄物処理発電事業プロジェクト概要

事業用地 アラブ首長国連邦ドバイ首長国Warsan工業地帯
事業内容 廃棄物処理発電施設の新設・運営
事業期間 運営35年間
コンソーシアム 伊藤忠商事、日立造船イノバ、DUBAL Holding、Dubai Holding、BESIX、Tech Group
契約先 ドバイ都市行政庁

各社概要

●日立造船イノバ社について
スイスのチューリッヒに拠点を置く日立造船イノバ社(HZI)は、日立造船グループの一員であり、世界の廃棄物処理発電(EfW)におけるグローバルリーダーです。
同社は廃棄物焼却発電および嫌気性処理を用いたコンポガスプラントの設計、調達、建設(EPC)を請け負うと共にプロジェクト開発も手掛けており、ターンキー形式でのプラント建設とシステムソリューションサービスを提供しています。
提供するソリューションは効率的かつ環境に配慮した技術に基づいており、顧客の要求に柔軟に対応することができます。
同社の技術サービスグループは、確かな研究開発への取組みと製造・組立能力により、プラントのライフサイクルを通じて顧客に貢献しています。
1933年以来、700を超えるプロジェクトを手掛ける中で、同社は革新的で信頼性の高い廃棄物及び排ガスの処理、またバイオガス精製やPower to Gasシステムを提供してきました。
HZI の詳細については、www.hz-inova.com をご覧ください。

●DUBAL Holding 社について
DUBAL社は、ドバイ政府のソブリン・ウェルス・ファンドであるドバイ投資公社(ICD)の投資部門として2014年に設立され、アルミニウム業界最大手、アラブ首長国連邦のエミレーツ・グローバル・アルミニウム社(EGA)の株式を50%保有しています。
同社は環境に配慮した慎重な投資並びに、川下のバリューチェーンにおける持続可能なプロジェクトを通じて、バランスのとれた資産ポートフォリオの構築に注力し、同地域における産業拠点を拡大しています。

●Dubai Holding 社について
Dubai Holding社は、13カ国で事業を展開し、16,000人以上の従業員を擁する多角的グローバル企業です。
同社は2004年に設立され、約350億米ドル超の資産価値を持つ、不動産、ホスピタリティ、レジャー&エンターテイメント、メディア、ICT、デザイン、教育、小売、製造・物流、科学と10部門に及ぶ広範囲のポートフォリオを運用することで、ドバイ経済の多様化と成長を支えています。
同社の詳細については以下のリンクをご覧下さい。
https://dubaiholding.com/en/

●BESIX 社について
BESIX 社は、ブリュッセルに拠点を置き、建設、不動産開発、公共施設運営の分野で、世界 25 カ国、5 大陸にわたって事業を展開するベルギーの大手グループです。
1909年の創業以降、象徴的な成果として世界で最も高い高層ビルであるドバイのブルジュ・ハリファ、ブリュッセルの欧州議会議事堂、ギザのピラミッド台地にある大エジプト博物館などがあります。
複雑でユニークなプロジェクトを遂行するにあたり、同社のエンジニアリング部門は特に技術面や環境面において強みを持っており、同社は飲料水や廃水処理、廃棄物処理の分野において、最先端の環境施設の設計・建設を行っているほか、これらのインフラにおける資金調達、管理、メンテナンスに対するソリューションも提供しています。
アラブ首長国連邦においては、同社は1965年から事業展開をしており、中東最大級の建設請負業者に成長しています。
www.besix.com

●Tech Group 社について
Tech Group社は、UAEに拠点を置く多角的な企業グループで、ターンキー形式での土木建築、金属・ガラス加工、木工・内装、生コンクリート、コンクリートブロック・舗装製品、打ち・基礎工事、不動産、石油物流・貿易、販売・マーケティングサービスなど、様々な分野に事業を展開しています。
2003年に設立された同社は、最先端技術への大規模な投資を行い、顧客に価値を提供することで飛躍的な成長を遂げてきました。
また過去5年間においては、ドバイ首長国連邦の持続可能な未来へ貢献することに注力し、環境と食料の保全に対して持続可能なソリューションを提供するプロジェクトの投資家および共同開発者として、更なる変革を遂げてきました。 同社は今後、廃棄物管理、水処理、養殖、農業プロジェクトの開発に積極的に取り組んでいきます。
www.techgroup.ae