豪州MCi社との「CO2固定化技術」の活用に関する協業について

2021年5月6日

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、社長COO:石井敬太、以下「伊藤忠商事」)は豪州Mineral Carbonation International社(本社:豪州キャンベラ、CEO & Managing Director:Marcus Dawe、「以下MCi社」)と「CO2固定化技術」を活用した事業に向けた協業契約を締結しました。

「CO2固定化技術」は、製鉄工程で生じる副産物(スラグ)や火力発電所で生じる石炭灰、その他カルシウムやマグネシウムを含む様々な物質(廃コンクリートなど)にCO2を吸収させることで、炭酸カルシウム等を製造する技術であり、半永久的にCO2を固定化可能であり、鉄鋼業界や電力業界等から世界的な脱炭素の流れを加速させる技術として注目されています。また、製造された炭酸カルシウム等は、セメント、コンクリート、建設用資材等の原材料となり、幅広い用途での活用が見込まれます。

CO2 の「分離・回収工程」を必要としない、高い経済性を伴うCO2固定化技術
MCi社は2013年に豪州に設立以来、「CO2固定化技術」に関する研究開発を実施しており、同分野において世界有数の技術・知見を有しています。同社は本技術を用いて炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム)、シリカ、その他の製品を製造することができます。従来同種の技術において必須であったCO2の「分離・回収工程」(大気中のCO2を含む気体から、CO2のみを分離・回収する工程)を省き高い経済性を発揮する有用な製品を作ることが可能です。※
また、CO2をスラグや石炭灰に固定・付着させる際に化学薬品を使う必要がなく、様々な用途での使用が期待されます。
既に豪州連邦政府及びニューサウスウェールズ州政府が支援する同社のパイロットプラントでの実証実験を通じて、高い経済性を伴う技術として豪州国内で高い評価を受けており、世界での商業化に向けて準備を進めています。

MCi 社の技術と伊藤忠グループのネットワークを活かし早期の商用化を目指す
日本国内では、政府が推進する「2050年カーボンニュートラルに伴う グリーン成長戦略 」において「カーボンリサイクルは、CO2を資源として有効活用する技術でカーボンニュートラル社会実現に重要」と位置づけられ、本CO2固定化技術についても高いニーズが見込まれています。伊藤忠商事は今般の協業契約締結を機に、今後日本国内におけるネットワークを活用し、MCi社の実証プラント候補地の紹介・選定を行い、早期の商用化を目指します。本技術で製造された炭酸カルシウム等や、これらを使用したセメント・コンクリート等の活用、また本技術と日本国内のCO2削減需要のマッチングを図り、取引先企業のCO2削減課題の解決に寄与します。
CO2分離回収設備に関する世界市場は2030年に約6兆円、2050年には約10兆円になると予測されており、将来的には事業拡大に向けたMCi社への資本参加や、日本国外への本技術の展開も検討して参ります。

  • 一定以上のCO2濃度を満たす気体の場合

MCi社の豪州ニューキャッスルのパイロットプラント

MCi社の製造物
(左から、CO2を吸収させた炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム)

左記MCi社の製品をセメント材料として使用したコンクリートバー。
コンクリートメーカーのCO2排出量削減に寄与します。