2022年 社長COO年頭挨拶

2022年1月4日

当社社長COO石井敬太による社員向け「2022年年頭挨拶」を下記の通りお知らせいたします。

皆さん、明けましておめでとうございます。
今年のお正月休みは例年よりも少し短いものでしたが、ご家族・ご友人と年末年始を過ごされたり、有意義に休暇を満喫されたりと、充分に英気を養い、新たな気持ちで本日を迎えられたことと思います。年頭にあたり、日本および世界の伊藤忠グループの皆さんに、一言ご挨拶を申し上げます。

コロナウイルスの感染拡大から既に2年が経過しようとしていますが、いまだ終息が見えておらず、まだまだこの闘いは継続しそうな状況です。このコロナウイルスは、この2年間だけでも次々と変異し、増殖し続けています。昨年はデルタ株が猛威を振るい、そして昨今はオミクロン株の感染が驚異的なスピードで拡大しており、感染防止には次のワクチン接種が重要になっているのは言うまでもありません。当社でも昨年6月から他社に先駆け職域接種を実施し、接種希望者には出来る限り早く着実に接種できる体制を整え、さらに3回目の接種に向け準備している状況です。

さて、経済を振り返りますと、昨年は早々に2回のワクチン接種を終えた先進国と中国の消費活動が正常に戻りつつありましたが、これまでの人々の行動制限の為、縮小を続けていた生産・物流網では、一気に急拡大する需要に対応できず、労働力や原材料の不足が顕著になり、急激なインフレが発生している状況です。現在、資源価格においては一時の異常値からやや沈静化しているものの、サプライチェーン全体の正常化にはまだ時間がかかると共に、サプライチェーンそのものがコロナ以前の状態には戻るとは思えません。また、米中の緊張関係が各国の経済安全保障の懸念を生み、基幹産業の再国産化や、多国籍化した脆弱なサプライチェーンの再構築等、今までの経済拡張路線とは異なる動きをしています。さらに、世界の共通課題である脱炭素社会の実現に向け、欧米諸国では、政府主導で巨額なグリーンインフラ投資を計画している等、前例のない予測の難しい経済環境に直面しています。

また、今年も多数の政治イベントがあります。2022年は伊藤忠が中国から『友好商社』と認定され総合商社として初めて対中国貿易を展開してから50周年にあたります。そのような、伊藤忠にとって最重要市場の1つである中国では、5年に1度の党大会が11月に予定されています。党大会では、習近平氏の共産党総書記の三選が注目され、党大会を経て政府方針がより明確になっていくはずです。
その他、米国では中間選挙、フランスや韓国の大統領選、日本の参議院選等、複数の政治イベントが控えています。このような政治動向は、市場に大きな影響を与えることになるため、引続き各国の政治情勢を注視する必要があります。

さて、新年を迎え、本日皆さんには、中計に示した2つの基本方針の重要性を今一度再認識頂き、初心・基本精神を忘れぬようお話させて頂きます。
まず1つ目は、「マーケットインによる事業変革・利は川下にあり」です。岡藤会長CEOが、2年前に発信された「マーケットイン」の発想は、今やコロナを経て益々重要なキーワードになってきています。既に2年が過ぎようとしているコロナ禍ですが、我々の生活や社会において、非常に大きい変化が起きていることは、既に皆さんお気づきの通りかと思います。コロナ禍が始まった当初は、コロナが終息すれば、元の社会に戻るという声もありましたが、今やそんな事を言う人は少ないのではないでしょうか。変化の連鎖は止まることなく、もうコロナ前の社会に戻ることは想定しづらい状況です。

コロナ感染が広まった当初は、コロナ前の生活を継続するために緊急措置としてのマスク、ゴム手袋、防護服、遮蔽版等の調達が不可欠でありました。しかしながら、今では、人々の行動制限が長期化したこともあり、オンライン会議やテレワーク等、人々が物理的な移動を最小限にした新たな生活様式へ変化していると共に、お家時間が長期化することで電子レンジ食品の需要拡大やオンライン販売等、消費活動やマーケティング手法に至るまで人間が関わるあらゆる部分にコロナ禍が、大きな影響を与えています。また、様々な変化が起きる中、コロナ禍で得られた最大の成果は、デジタル技術が広く利用されるようになったことだと思っています。不自由な世の中だからこそ、デジタルの可能性が深く理解されるようになり、その進化のスピードが加速した事は大きな進歩であると言えます。デジタル技術が家やオフィス、医療、行政システム等を変化させ、ウィズコロナの社会を大きく動かしています。多くの変化は需要側から巻き起こり、デジタル化や他のビジネスとの融合により、各々のビジネスが複合的に結び付き、新たな商品・サービスとなっています。これから我々が見る景色は、今後コロナが終息しても、コロナによって炙り出された課題を乗り越えた新たな社会やビジネス環境であるはずです。改めて我々の全てのビジネスにおいて、プロダクトアウトや縦割り発想に基づくかつての売れ筋、消費行動等で判断せず、変わりゆくビジネス環境を日々観察することが必要です。つまり市場や消費の変化に目を向けたマーケットインの目線で、社会や市場の潮目によるニーズの変化をいち早く捉え、素早く適切に対応できる「商人の目利き」が重要です。この一歩先を行く対応が出来るか出来ないかが大きな違いとなり、今後の結果に表れることを再認識してください。

二つ目は、SDGs貢献・取組強化につながり、全てのステークホルダーに貢献する「三方よし」の精神についてです。先日、日本の資本主義の父、渋沢栄一翁の子孫にあたる渋沢健氏のお話をお伺いいたしました。渋沢栄一翁の提唱した「合本主義」の基本精神の解釈等をお聞きしながら、岡藤会長の「あすへの話題」第一回、「渋沢栄一の心意気」の記事を思い出しました。「合本主義」とは、株主だけではなく、経営者、従業員、顧客、取引先、社会等、いろいろなステークホルダーが力を合わせることによって価値をつくることを意味しており、自らの利益のみを追求することをよしとせず、社会全体の幸せを願う点において、当社の企業理念であり、160年以上も前の近江商人による共存共栄の精神「三方よし」と共通しています。またこの共通した精神は、JPモルガンを始めとする米国を代表する企業により構成されている財界組織「ビジネス・ラウンドテーブル」が、2019年に全てのステークホルダーを尊重し長期的な企業価値向上に取り組む姿勢を表した「ステークホルダー資本主義」に通じています。これらの価値観は、現代のSDGsやESGの考え方を内包し、世界中で共通した価値観となり、企業価値向上の不可欠な要素となって行くと思います。我々には、企業理念である「三方よし」の精神が先輩方より継承され、体に染みついています。皆さんが高いSDGs意識を持って仕事に取り組んでいる事、そしてその多くの案件が実装段階に入っている事が、正しく継承されている証です。世の中に善き循環を生み出し、持続可能な社会に貢献する伊藤忠の目指す商いの心「三方よし」の精神で引続き各自のビジネスに向き合ってください。
このように、中計に示した2つの基本方針の重要性を再認識頂き、本日から業務に臨んでもらいたいと思います。

最後になりますが、今年の干支は、壬寅です。壬寅は、厳しい冬を越えて、芽吹きを始め、新しい成長の礎となる年と言われています。不透明な政治・経営環境下ですが、過信、慢心をすることなく、史上最高益の更新、中計期間の6,000億円の収益基盤の構築を目指し、更なる飛躍につながる伊藤忠の歴史に残る1年にしたいと考えています。
世界で活躍する全伊藤忠グループの社員、家族のご健勝とご多幸を祈念し、私の新年の挨拶とさせて頂きます。