2022年 新入社員への社長メッセージ

2022年4月1日

入社おめでとうございます。本日、総合職94名、事務職10名、合計104名の新しい仲間を迎えることができました。

今朝は、正面玄関において、岡藤会長と共に、皆さんの大切な日である社会人としての第一歩をお迎えしました。実に2019年度以来3年ぶりの入社式開催です。本日この様に対面で皆さんと一堂に会することができたことを大変嬉しく思います。

本日私からは、皆さんに二つの重要な心得についてお伝えします。

一つ目は、当社の行動指針である「ひとりの商人、無数の使命」です。これは、私にとっても、自分をリセットする時にいつも振り返る重要なフレーズの一つです。 

創業者である初代 伊藤忠兵衛翁は、「商売は菩薩の業、商売道の尊さは、売り買い何れをも益し、世の不足をうずめ、御仏の心にかなうもの」としました。これは、「商人の使命」は、商いを通して社会の課題を解決し、人々の暮らしを豊かにしてゆくことだと理解しています。すなわち、私たち伊藤忠社員一人ひとりは、仕事を通じて、無数にある社会の課題に挑戦し、解決してゆくと言う使命を負っており、高い意識を持てという事だと思います。

今日から皆さんは、まずは伊藤忠商人になる為の見習いを始めることになります。日々の業務を通して、お客様や社会のニーズをいち早く捉え、課題を見出し解決してゆく商人としてのスキルを身に着けていってください。基礎的なビジネススキルや語学はもとより、貿易や金融経済、対面業界、地政学、異文化知識など、世界中の多様な業界を相手にするトップ総合商社である当社の社員に求められるスキルのレベルは広くて高いものとなります。

皆さんのこれからの商人人生の中で、行き詰まったり、失敗したりすることがあるかも知れません。そんな時、自分に原点を振り返らせ、克服するエネルギーを与えてくれるのが「ひとりの商人、無数の使命」です。この言葉を常に心にとどめておいて頂きたいと思います。

二つ目は、「三方よし」の精神です。

近年、企業経営におけるSDGsの重要性が一段と高まりを見せていますが、その中で、たびたび「三方よし」という言葉が引用されます。この「三方よし」は、売り手、買い手、世間の三方が共に満足すると言う共存共栄の考えにあり、伊藤忠兵衛翁に代表される近江商人の経営哲学をルーツとする、現在の当社の企業理念です。創業の精神として引き継がれ、160年間以上続く商いの精神であり、調和の心です。

この誠意ある「三方よし」のステークホルダー主義経営が、当社への長年にわたる信用を築き上げ、今の伊藤忠商事があります。ビジネスの基本は信用です。信用の無い仕事は 長続きしません。自分の利益中心では無く、お客様や仕入れ先のことを考え、また、そのビジネスが社会に貢献するものであるかどうかを大事にしていれば、必ず周囲からの信用を得ることができます。そしてその信用がまた次のビジネスに繋がり、信用の連鎖が生まれます。

皆さんもこれからビジネスに携わって行く中で、色々な判断や決断を迫られる場面が出てくると思います。当社の「三方よし」は、この時の判断基準の一つになると思いますので、これも本日からしっかりと心にとどめてください。
  
さて、当社は、ここ10年、好調な業績を継続しています。2018年度、2019年度はともに連結純利益が5,000億円を超え、コロナ禍の2020年度もその影響を最小限に抑え4,014億円を達成し、総合商社の中で、連結純利益、株価、時価総額で年間1位となり、当社史上初めての三冠を達成しました。2021年度も通期で史上最高益の更新を見込んでいます。

しかしながら、この好業績は、過去の苦しい時期を乗り越えて到達したものであり、今後の保証はどこにもありません。今年度も上位商社のトップ争いは、熾烈なものになると予想されます。また、私たちを取り巻く世界のビジネス環境は日々大きく変化しており、混迷を極めています。このような状況下においても、一人ひとりが目の前のビジネスに向き合い、高い視点を持って、着実に前に進んでゆきましょう。これから皆さんと一緒に、無数の使命を果たしていけることを楽しみにしています。

改めて、皆さんの入社を心から祝福します。