脱炭素社会実現を目指したカナダのブルーアンモニア・ブルーメタノール製造販売事業プロジェクトについて
2022年5月24日
伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太、以下「伊藤忠商事」)、マレーシアの国営石油ガス会社Petroliam Nasional Berhadの100%子会社でカナダのガス権益を保有するPetronas Energy Canada Ltd.、インフラ大手地場企業Inter Pipeline Ltd(以下「IPL社」)と、アルバータ州でブルーアンモニア・ブルーメタノール※製造販売事業プロジェクトに関する覚書を締結し、共同事業化調査を行っておりましたが今般、当該プラントの概念設計が完了し、今年度中の基本設計への移行判断に向けた詳細スタディを開始いたしました。
本プロジェクトは、脱炭素社会実現に向けた世界最大級のブルーアンモニア、ブルーメタノールの製造および供給体制の確立を目指す取組です。事業化調査においては、コストの積算、製造プロセスの評価、西カナダを輸出港とした製品輸送の最適化等を実施中です。アンモニア、メタノールのプラントを併設し、水・電気・蒸気・排水処理等のユーティリティ設備の共有化により、大幅なコスト削減効果を見込んでいます。2024年着工、2027年の商業生産開始を目指します。
アンモニアは低コストで効率よく輸送・貯蔵できる水素キャリアとして注目されており、燃焼時にCO2を排出しない燃料として、火力発電所や弊社が推進中のアンモニア燃料船での利用等における温室効果ガスの排出削減効果が期待されています。日本政府は「2050年カーボンニュートラルにおけるグリーン成長戦略」において、2030年に3百万トン、2050年に30百万トンの国内需要量を見込んでおり、伊藤忠商事は新たなブルーアンモニアの製造拠点を整備し、安定的なアンモニア供給のためのサプライチェーンの構築を推進します。
またメタノールは世界で年間約8千万トンが消費されており、建材用の接着剤や塗料、農薬、自動車部品やアクリル板などのプラスチック樹脂、衣類やペットボトル等、基礎化学品原料として幅広く使用されています。本プロジェクトを通して、脱炭素に向けた取組の1つとして低炭素原料であるブルーメタノールへの転換を図ってまいります。
伊藤忠商事は、本取組を通じて持続可能なエネルギーシステム構築を加速し、中期経営計画の基本方針である「『SDGs』への貢献・取組強化」を着実に実行し、低炭素化社会の実現を目指します。
- ※ブルーアンモニア・ブルーメタノール:従来の化石燃料由来のアンモニア製造プロセスによって生成される二酸化炭素を地中深くに貯留・圧入するCCS(二酸化炭素回収・貯留)等の工程を加えることで製造されるアンモニア・メタノール。